ネットやテレビで話題のニュースに関して、編集部が独自の切り口で取材調査をする「ソコ行く!?ソレ聞く!?取材班」のコーナー。今回も興味深いお話を伺ってきました!

近年、話題に上ることが多くなってきた「男性の育休」。生まれたばかりの子どもの育児にかかわりたいという気持ちは、母である女性だけでなく、多くの男性も持っているものです。

ところが、いざ男性が育休を取ることを考えたとき、どうしても仕事から離れることができなかったり、周囲の目を気にして躊躇してしまったりすることが多いようです。厚生労働省の調査によれば、2014年度の育児休業取得率は女性の取得率が86.6%であるのに対し、男性は2.3%と育休をめぐる状況はまだまだ改善の余地があることは明らかです。

その一方で、都内の総合商社に勤務する萩原聡さんは、1児の父として今年3ヶ月間の育休を取得し、奥様とともに育児・家事を行いました。一流企業に在籍し、ビジネスマンとしてバリバリと働く中で、萩原さんがそれだけ長い育休を取ったきっかけはなんだったのでしょうか。

1ヶ月だけの育休だと仕事をひきずる

出典Spotlight編集部

萩原聡さん(以下、荻原):最初は長期で取るつもりはなくて、もともとは2週間〜1ヶ月ほどの育休が取れたらいいな、と考えていました。ただ、ちょうどそのときに3ヶ月間の育休を取った先輩が隣にいて、「生まれたての子どもの成長を、すぐそばで常に見ていられる機会は今しかない」「育休を取るなら、3ヶ月取ったほうがいいよ」という話をしてくれて。そこから検討し出したのがはじまりです。

先輩のアドバイスでは、育休の期間が1ヶ月ぐらいだと、短い期間の中で仕事をひきずってしまうと。でも「3ヶ月取れば、仕事から完全に離れることができるので育児に専念できる」という言葉が響きました。

妻の最初の反応は「超イイ!」

気になるのは、奥様や会社の上司・同僚の方からの反応です。最初に育休を伝えたときの反応はどのようなものだったのでしょう。

萩原:妻はもう、「超イイ!」っていう感じで(笑)。妻ははじめての出産で余裕がないですから、私が育休を取ることによって育児のサポートができることを本当に喜んでくれました。

会社の上司や同僚もすぐに理解をしてくれました。ただ、周囲から反対されることはなかったんですけど、「3ヶ月間何するの?」という声はありました。もちろん、育児をするんですけど(笑)。育児ってそんなにやることないと思われていたのかもしれません。

育休期間は朝5時起き。やることはもりだくさん

確かに、3ヶ月間と聞くとかなり長く感じます。育休期間はどのような日々を送っていたのか、気になる方も多いはずです。

萩原:育休期間は仕事は休みですが、毎日けっこう忙しかったです。私の場合は、妻のサポートとして育児だけじゃなく家事もやっていましたので。

朝はだいたい子どもが朝5時くらいに起きるので、まずおむつを替えて、一緒に遊びます。そして7時くらいになると子どもがまた寝るので、私も1時間くらい寝て。私が朝ごはんを作り、一緒に食べます。

その後、また子どもが起きて、だいたい10時半くらいになると、外に出て公園や児童館に行きます。外出もベビーカーだと移動に時間がかかるので、家に帰るとあっという間に15時〜16時くらいになっていました。それからまたお昼寝して、起きたらお風呂に入れて、出てから保湿すると、もう寝る時間です。あと、寝る前には必ず絵本も読んでいましたね。

奥さんが授乳すると、18時くらいには寝てしまいます。そのときは大学院に通っていたので、そこから大学院に行って、そして22時くらいに帰って来て、すぐに寝て。でも、夜中の2時くらいには子どもに起こされるというような毎日でしたね。おむつは1日10回くらい替えていました。

我が子の指で気づいた愛しい変化

萩原:仕事をしているときの1日も早いんですけど、育休期間の1日もけっこう早くて、やることだらけなんですよね。暇だと思ったことは全然なかったです。

でもその分、子どものことを毎日常に見ているので、成長していく様子もよく分かりました。たとえば、最初は物を動かしても目で追わなかったんですけど、そのうち物を動かすと反応して「フッ」と目が動くようになったりとか、指が動く範囲が少しずつ広くなっていったりとか。子どもの人生の中で一番の伸び盛りといえる、生まれて間もない子どもの成長過程を逐一見ることができたのは楽しかったですね。

自分の顔を手で触ったりもするんですけど、その触り方も日々変わっていって。最初は「自分の顔」だということも認識してないので適当に触っている感じなんですけど、そのうち鼻とか目を自分の身体の一部だって認識し出したような触り方をし出したりとか。そういうのをボーっと見ているのが大きな喜びでした。

でも、やっぱり子どもが夜に泣いて、起きたりするので、基本的には寝不足なんですよね。なので、寝不足を私と妻でどう分け合うかというのはありました。ただ、口癖は「3ヶ月しかないんだから」ということで、私が率先して起きて面倒を見ました。寝不足で起きなきゃいけないことも、3ヶ月だけの我慢なので。

おしっこをかけられても妻と2人なら笑える

出典Spotlight編集部

家庭内では奥様との協力で、順調に育児を行ってきた萩原さん。しかし、ひとたびお子さんを連れて家を出ると、思わぬ問題に直面することもあったようです。いわゆる「ベビーカー問題」です。

萩原:ベビーカーで子どもを連れて出かけたときにけっこう睨まれたりしたこともあったんですよ。あれは辛いですね。自分が子ども連れの立場になってみないと分からないことはあると思うのですが、ベビーカーで移動すること自体がこんなに不便なのかと。なかなか普通に暮らしていると気付かないことが多かったです。「この段差が意外と大変」とか「エレベーターがこんなところにしかない」ということは初めて感じましたね。

その経験があったからこそ、今では子連れの方には圧倒的に優しくなれたと思います。

ベビーカー問題だけでなく、育児における「ここが辛いよね」ということを共有できたことは、妻にとってはだいぶ楽になったようです。うちの子どもは男の子なんですけど、おむつを替えているときにおしっこをかけられたりすることもあるんですよ。1人でいると笑えないんですけど、でも2人でいると笑えたりすることもあって、そういう意味では一緒に大変さを経験できてよかったなって思います。

育休最後の日…妻からサプライズが!

出典萩原さん提供

育休中は完全に育児に没頭できていた様子の萩原さんですが、職場を離れることに不安を感じたりはしていなかったのでしょうか。

萩原:仕事を離れること自体には、あまり不安は感じませんでしたね。ただ、当時関わっていたプロジェクトがちょうど節目だったので、そこに携われないさみしさはありました。職場の上司や同僚は育休を理解してくれていたので、育休の3ヶ月の間は職場から仕事上の連絡はなく、とてもありがたいことに平穏に過ごすことができました。

職場に復帰するとき、前日に妻から手紙をもらったんです。それは私の育休に対しての感謝状になっていて、子どもの写真のコラージュとともに、3ヶ月間の日々の振り返りが書いてありました。「3人で一緒に過ごせたことが、なによりよかったね」と。それは本当にうれしかったですね。

育休は、仕事面でもプラスに働く

出典Spotlight編集部

現在は職場に復帰している萩原さん。育休を取ろうか取るまいか考えている人たちにとって、萩原さんの経験は大きな参考になるはずです。ズバリ、育休を取ってみてよかったのでしょうか。

萩原:よかったと思っています。自分の仕事を見つめ直すことにもなりますから、私自身のキャリアという意味でも、大きな3ヶ月でした。仕事の活力がまた湧いてくるという意味でもいいと思います。

それに今後の日本の社会を考えると、仕事の中で時間的な制約が出る人が増えると思うんですよ。育児に限らず介護とか。そうなったときに育休などを通じて、子どもがいながら働いている人の気持ちがリアルに分かっていれば、ほかの人への理解やフォローにも役立つはずです。そういう意味では、あらゆる面で育休は仕事にプラスになる可能性があると思います。

もちろん会社の規模や社内の立場など、育休を実現させる上でさまざまな要素があるので、すべての人が育休をとるべきだなんて無責任に言うつもりはありません。

でも、もしも仕事にマイナスの影響があるという風に悩んでいる人がいたとしたら、簡単にそう決めつけない方がいい。自分の仕事や考え方にいい影響を与える可能性だってあるんですよと伝えたいですね。

出典萩原さん提供

3ヶ月の育休を通し、家族、そして仕事について見直すことができた萩原さん。

育休の取得になかなか踏み出せない…と悩んでいる男性は、今回の萩原さんのお話を参考に、育休によって子どもや夫婦にどんな未来が見えるか、ぜひ一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたユーザー

Spotlight編集部 このユーザーの他の記事を見る

Spotlight編集部の公式アカウントです。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス