アウトドア好きなら一度は「モンベル」というブランド名を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』の著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんでは、人材活用で大きな成功を収めているモンベルの創業者・辰野勇氏の言葉を取り上げながら、「従業員のホスピタリティ」の大切さについて説いています。

働き方改革とは

スターバックスで考えると、コーヒー飲料(商品)でさらなる差別化を図っていくことは難しいといえます。類似業態がたくさんあるからです。

一方で、訪れるといつも元気よく笑顔でテキパキ対応してくれる従業員を擁していることは、他にはない差別化された武器をもっているといえます。

モノ(コーヒー飲料)で差別化するのではなく、コト従業員のホスピタリティによる店舗体験で差別化しているのです。もちろん、モノ(コーヒー飲料)で差別化できていないと言っているわけではありません。

いずれにしても、今後はコトで差別化を図ることができない企業は淘汰されていくのではないでしょうか。

モンベルの事例

これまでスターバックスを主な事例として取り上げましたが、人材活用で成功しているもう一つの事例を紹介します。登山用品やアウトドア用品の製造、販売などを手掛けているモンベルmont-bell)です。モンベルは1975年に創業した企業です。

働いている本社従業員から直営店のアルバイトまで、みなアウトドアが好きな人たちが集まっています。モンベルはものづくりに強いこだわりがあります。「自分たちが欲しいものをつくる」という、ややもすると傲慢に聞こえる考え方をもっています。

自分たちが欲しいと思う製品の企画を提案してもらいます。何気ない会話からでてきたアイデアを商品企画案として吸い上げることもあります。商品企画案は年間4,000件以上にもなります。自分たちがつくりたいもの、欲しいものを企画します。

そして自分たちで実際に使ってみて、試行錯誤の上、新たな商品を次々と開発していきました。アルバイトを含めた全従業員に商品開発の一翼を担ってもらうことにより従業員に働きがいを与えています。

従業員は高いモチベーションを維持して働くことができます。人材の採用では、モンベルの価値観に共鳴し、かつアウトドアが好きな人が毎年400~500人、入社希望者として集まるそうです。大きな採用活動は行っていません

モンベルは終身雇用の日本型経営を目指しています。能力主義や実力主義が声高に叫ばれる昨今において、日本型の終身雇用制度は時代遅れの産物かのように見られる向きがあります。

しかし、店舗型ビジネスでは、終身雇用制度などの日本型経営は従業員にとっては心を落ち着かせて働くことができる土台となりえます。それがホスピタリティ精神を醸成させることにつながるとも考えることができます。

従業員のホスピタリティの醸成や働きがいのある職場は能力主義や成果主義からは生まれづら
のかもしれません。これは感覚的には理解できるものがあります。

働き方改革はトップの考え方に左右される

モンベルのトップの考え方はスターバックスのそれと似ています。モンベルの創業者である辰野勇氏の言葉を紹介します。

辰野氏はある時、アメリカの経営者から「能力の劣る社員がいた場合でも解雇できないのは、企業が収益を上げることができないのではないか?」と質問を投げかけられた時に、「もしあなたの子供が障害を持って生まれたり、勉強ができないからといってクビにできますか?」と切り返したと言われています。

「企業の社会的責任としてCSRとよく言いますが、その第一歩は、従業員の雇用を維持していくことだと考えています。自分の会社の従業員を都合よく解雇しながら、ほかで社会貢献をするといっても、わたしは信用できないと思ってしまいます」とも述べています。

従業員満足を大事にする会社
のトップの言葉として大きな示唆があるのではないでしょうか。これらの言葉から分かる通り、従業員を大切にするトップの考えと企業文化がモンベルにはあるのです。会社に大事にされれば従業員はその会社のファンになります。

強いブランド力を持つ企業
の条件の一つに「社員に自社のファンが数多くいる」ということを挙げることができます。自社のファンである従業員は楽しく仕事をするでしょう。接客業であれば、仕事が楽しいと感じてイキイキと働く人は顧客を引き寄せます。

そのような人が集まる集団であれば、売り上げも自然と伸びていくのではないでしょうか。安倍首相の音頭の元、「働き方改革」は加速していくことでしょう。また、少子高齢化は加速度的に進行していきます。減っていく若年労働者の争奪戦は激化していきます。

楽しくて実りのある「働き方」を提案できる企業だけが人材を確保できる
といえそうです。

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