記事提供:テレビPABLO

出典1. 多くのことを残して星になったイソップ/『泣き虫先生の7年戦争 スクール・ウォーズ Blu‐ray BOX』‐(C)TBS・大映テレビ

『スクール・ウォーズ』といえば、生きることの大切さやひたむきさを説く名作ドラマですが、そんなメッセージを命を持って教えてくれる人たちが登場します。

「どうして!」と突っ込みたくなるぐらい、劇的なタイミングで、その悲しい出来事は起きるのです。

そこで連載第3回目は「涙・涙・涙で目がかすんでしまうぐらい悲しい死」を描いたシーンの素晴らしさを、新たに発見、新三大名シーンとしてご紹介したいと思います。

1. 多くのことを残して星になったイソップ

第14話【一年目の奇跡】「チクショー チクショー、イソップ、イソップ、イソップーーー」号泣する大木

ラグビーを愛し、川浜高校ラグビー部を愛したイソップ。

身体が弱いため、運動能力が低く、お荷物扱いされることもありましたが、みんなが嫌がるような仕事も笑顔で引き受け、ひたむきにラグビーに取り組む姿は、部員たちの心を一つにする大きな役割を果たしていました。

そんなムードメーカーの役割も果たしていたイソップでしたが、練習中に頭を抱えて倒れてしまうのです。検査の結果、脳腫瘍と判明。しかも腫瘍ができた場所が悪く、手の施しようがないという…。

周囲からは治ると言われ、懸命に前を向くイソップでしたが、親が頼んだイタコのお祓いによって、自身の病気が脳腫瘍であることを知ってしまうのです(イタコかよ!と突っ込んだ人多数!)。

その後、前向きになったり、自殺しようとしたりと、壮絶な紆余曲折があったものの、ついにイソップは、滝沢先生と川浜高校ラグビー部員が掲げた『打倒・相模一高』の志半ばで絶命してしまうのです。

失意のどん底のまま、大木をはじめ川浜高校ラグビー部のメンバーたちは、イソップがデザインしたライジング・サンのユニフォームを着て、宿敵・相模一高との試合に挑みます。

しかし前半はミスが多発し無得点。悪い流れのまま迎えたハーフタイムで、大木は滝沢先生に問います。

「先生、教えてくれ。どうやったら勝てるんだ。どうやったらイソップを泣かせずにすむんだよ」

それに対し、滝沢先生は、「いいか、今度ボールを持って走る時、お前の後ろには14人の仲間がいることを忘れるな」

大木もこたえます。「15人だ。イソップも俺の後ろを走っている。いや、俺と一緒に走っているんだ。そうだろ、先生」

この世を去ってしまったイソップでしたが、部員の心の中に彼はしっかりいました。後半、「イソップのために…」を合言葉に奮起する部員たち。そしてついに、川浜高校は「14‐13」で相模一高に初勝利するのです。

その夜、節子は大木につぶやきます。「小さい頃、死んだ人は空に昇ってお星さまになるんだって教えられたわ。イソップくんはどの星になったのかしら」。

そんな節子の発言に「やめてくれ。俺にそんな少女趣味はあわねぇよ」と突っ張る大木。さらに「イソップは星になんかなりゃしねぇ。明日になりゃ焼かれて灰と一つかみの骨になるだけだ」と強がります。

しかし節子は「イソップくんは、みんなが胸の中に思い出として残している間は、生き続けることができるのよ。それともあなた、明日、彼の体が焼かれるのと一緒に思い出まで焼き捨ててしまうつもりなの?イソップくんは誰よりもあなたの心の中で生き続けたいと望んでいたはずだわ。その願いを一つかみの骨と一緒に埋めてしまう気なの?」と大木を諭します。

そして「泣きなさい。男の子だからって恥ずかしがることはないのよ」という節子の言葉に大木は号泣し叫びます。

16歳というあまりにも短い人生を駆け抜けたイソップ。彼は「人間は弱い生き物。それでも命ある限り最後まであきらめない…」というメッセージと共に、多くの人の心に残る人生の勝者になったのです。

2. 川浜の大黒柱!下田大三郎の非業の死に街中が悲痛の叫び!

第23話【下町のヒーロー】「私は思い知らされた。偉い人は偉人伝の中にばかりいるのではなく、町の中、自分の隣にいるということを…」岩佐邦靖校長の呟き。

出典2. 川浜の大黒柱!下田大三郎の非業の死に街中が悲痛の叫び!/『泣き虫先生の7年戦争 スクール・ウォーズ Blu‐ray BOX』‐(C)TBS・大映テレビ

川浜高校の前に店を開くラーメン屋「新楽」のマスター・下田大三郎(梅宮辰夫)。悪が集まる川浜高校ではもめ事が絶えませんでしたが、そんな時、いつも鋭い眼光と啖呵で場を収めてくれる頼もしい存在。

滝沢先生や妻・節子も絶大な信頼を置いており、まさに“下町のヒーロー”と呼ぶにふさわしい男なのです。自身もよく「昔は悪かった」と言っているように、喧嘩の腕も一流で、怒らせたら怖い存在なのです。

そんな頼れる存在の大三郎が、川浜高校ラグビー部員の問題を解決するために立ち上りました。その生徒は、主力メンバーとして活躍していた清川誠一。

父親が作った借金を返済するため、朝早くから夜遅くまでバイトをしながら、大好きなラグビーに取り組む好青年。しかし執拗な借金の取り立てに、部を辞めようとするほど追いつめられていたのです。

滝沢先生は、自らが楯になり清川をかばおうと、借金取りの仲裁に入ろうと決断するのです。

しかし、不穏な空気を察した大三郎は、滝沢先生を制し、自ら借金取りに話をつけに行きます。そして悲劇が…。トラブルになったヤクザに腹を刺され、帰らぬ人になってしまうんです。

人格者だった大三郎の葬儀には多くの人が集まりました。そんな中、岩佐校長(名古屋章)が「私は思い知らされた。偉い人は偉人伝の中にばかりいるのではなく、町の中、自分の隣にいるということを…」と呟くのです。

実利主義で冷たい印象が強かった岩佐校長の言葉だけに、その悲しみは果てしなく深く、心に響くのです。

さらに、大三郎の妻、和田アキ子演じる夕子が泣かせます。いつもギャアギャアうるさく賑やかな夕子。突然、大三郎が亡くなっても、いつもと変わらず店を切り盛りする姿に、弟の光男も「可愛げがない」と軽口を叩くほど。

しかし、静まった店内で一人すすり泣く声が聞こえてくるのです。その嗚咽の主は夕子。忙しいときは気が張っていましたが、店を閉めて一人になると悲しみが襲ってくるのです。

「もういいひんのやな、あの人」と呟くと「人が亡くなっても空耳で声が聞こえたり、幻で姿が見えるってよういいまっしゃろ。せやけどうちにぶいねんなぁ。あの人の姿なんかみやしません。夢でもええ。幻でもええ。もう一度あの人に会いたいですわ」と号泣するのです。

普段は、大三郎に憎まれ口ばかり叩いている夕子ですが、このシーンを見ていると、二人がどれだけ深い愛情で結ばれていたかが分かります。同時に、どれだけ大切な人を失ってしまったかという喪失感でいっぱいになる印象的なシーンなのです。

3. 日誌に込めた想い…山崎加代は最後までマネージャーだった

第19話【友よ安らかに眠れ】「先生、みなさん。私がただ一つ心残りなのは、このノートにたった四つの文字を書けなかったことです。それは『花園出場』の四文字です」(加代のナレーション)

出典3. 日誌に込めた想い…山崎加代は最後までマネージャーだった/『泣き虫先生の7年戦争 スクール・ウォーズ Blu‐ray BOX』‐(C)TBS・大映テレビ

前回、加代のブレない魅力を述べましたが、そんな加代も大三郎同様、非業の死を遂げてしまうのです。その死は突然でした。和歌山で暮らすことになった加代は、家族と共に駅のホームで旅立ちの時を迎えていました。

しかし、あることを忘れて、川浜高校ラグビー部の部室に戻るのです。それは日誌を書くこと。

加代はラグビー部のマネージャーに就任以来、日誌を書くことを欠かしていませんでした。日誌に書かれた選手の特徴や個性、練習方法などは、滝沢先生をはじめ、後輩マネージャーや、川浜高校ラグビー部にとって大切な財産なのです。

自らが旅立つ日まで、責任感を持っていた加代。

しかし、このことが大変な事態を巻き起こしてしまうのです。部室に戻って昨日の日誌を書いた加代は、大木と名村直(鶴見辰吾)が決闘をすることを耳にしてしまいます。

名村直とは、8年前、大木の父親の自殺の原因を作った名村グループ総帥・名村謙三の三男であり、富田圭子の腹違いの兄(この繋がりも大映ドラマのドロっとした魅力…)。

大木にとっては、許しがたい敵であり、どちらかが死を迎えない限り、怨念は消えないと思っている相手なのです。もし本当に決闘などしてしまったら、川浜高校ラグビー部の『花園出場』などは夢のまた夢。

加代は「どんなことがあっても二人を止めなければ」と思い、決闘の場所まで急ぐのです。

完全に嫌なフラグが立ちました…。そうなんです。その直後、加代は車にはねられ重体に…。

「こら『スクール・ウォーズ』!こんな事故を起こさなくても!」と思った視聴者も多かったでしょう。一時は、命を取り留めたかに見えた加代ですが、最期、滝沢先生に何度も詫び、息を引き取ってしまうのです。

最後に残した加代のメッセージ…。

紹介した言葉のあとには「今の部の状態は大木くんと直さんが争いを起こせば、花園出場どころか廃部は目に見えている状態にあります。大木くん、直さん。あなた方は私にはいい人です。あなた方は本当に敵同士なのでしょうか?お互いの立場に立って考えてみてください。本当の敵はもっと巨大な世の中の悪なのだと思います。闘うならその敵と闘ってください」と綴られています。

この言葉に滝沢先生は言います。

「山崎はわずかこれだけのことを書くために駅から引き返してきたんだ。これを聞いてなにも感じないのか?大木、直くん。もし何も感じないとしたら君たちは人間じゃない」

大木は「加代さんすまん。あんたを殺したのはこの俺だ」と泣き崩れます。そして大木と直は和解するのです。

愛した川浜高校ラグビー部を離れる最後まで、チームのことを心配していた加代。「加代は最後までマネージャーだった」という言葉が強く胸に突き刺さる『スクール・ウォーズ』の中でも、最も悲しい別れのシーンの一つだと言えるでしょう。

コラムニスト

磯部正和

雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。

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