出典『女の子は本当にピンクが好きなのか』(堀越英美/Pヴァイン)

「ピンク=女の子の色」「女の子はピンクが好き」。

このようなピンクのイメージは、誰に教えられるわけでもなく、自然と共有されているものだろう。また女性なら「物心ついたころにはピンクが好きだった」という人は多いだろうし、男性には「子供のころはピンクのものを身につけるのが本当にイヤだった」という人もいるはずだ(筆者は泣きわめいて拒否した記憶がある)。

女の子は本当にピンクが好きなのか』(堀越英美/Pヴァイン)は、そんな〈ピンク〉の歴史と、現代女児カルチャーの関係を考察した一冊だ。著者は2児の母で、「『女の子の色はピンク』なんて押し付けの考えだ」と思っていたそうだが、長女は3歳を前にピンクにしか興味を示さなくなったという。

「じゃあ女子のピンク好きは生まれつきなの?それとも社会的に作られたものなの?」
そんな疑問に対し、本書は両者の見解を裏付ける仮説・事例を紹介している。特に興味深いのは、女児向け玩具を中心に、社会との関係から女子のピンク好きを考察する視点だ。

多くの人が気付いているだろうが、現在はおもちゃもベビー服も、女児向けの製品はピンクを中心にパステルカラーのものばかりだ。戦隊モノの女性キャラは決まってピンク。大人になっても、女性向けキャンペーンのポスターはピンク。従来の製品の女性向けラインが登場したら、イメージカラーはピンク……。

これだけピンクにまみれていれば、「ピンク=女の子の色」という認識が広まるのは仕方がないことだろう。ちなみにピンク=女の子の色という認識が定着し、世界に広まったのは第2次世界大戦後だと本書では紹介されている。

ピンクの好みに生物学的な男女差があったとしても、現在は「ピンク=女の子の色」のイメージにもとづき女性向けの製品が作られ、それが「ピンク=女の子の色」というイメージを強化しているのは間違いない。

そして本書では、そのような「ピンクまみれ」の現状への反対運動が世界で起こっていることも紹介している。というのも、「男の子はブルー、女の子はピンク」のような色分けで性別を区別した製品は、男女の性差のステレオタイプを強化したり、特定の能力の男女差を広げたり、将来の職業選択にバイアスを加えたりしている可能性があるからだ。

たとえばピンク色の女児向け玩具は、ドールハウスやおままごとセットなど、「お世話」「家事」「美容」がテーマのものが多い。その結果、女性たちはサービス系(花屋、パン屋、ウェイトレス、CA)、美容系(美容師、ネイリスト、ヘアメイク、アパレルなど)、ケアワーク(看護師、介護士、保育士)などの職業を目指す傾向が強まる。

だが、例に挙げた職業は低賃金でキャリアパスが見えづらいものが多いため、これらの仕事は「ピンクカラー・ゲットー」とも呼ばれているそうだ。女の子らしさを象徴するピンクは、実際に多くの女性から愛される一方で、女性を呪縛する色でもあり、「女子らしくあること」が苦手な女性を抑圧する色にもなる。

社会における男女の扱いの違い、女性の社会進出の遅れ、自分の子供をどう育てるべきか……ということを考えるうえでも、本書でピンクについて考えることは大いに役に立つはずだ。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス