・始まったパラリンピック

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9月7日(日本時間8日)から開会したパラリンピック。選手たちにとって4年に一度の戦いの場であり目標、希望であるパラリンピックの始まりです。世界中の人から選手達にエールを送る声が聞こえてきますね。

・パラリンピックに込めた想い

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競技を終えて、金メダルに輝いた選手はどんな気持ちなのでしょう。嬉し笑顔、嬉し涙、とにかく嬉しくていっぱいな気持ちになるのではないかと想像されると思います。
そんな中、ある思いの中パラリンピックにのぞんだ選手がいました。

・車いす陸上 マリーカ・ヴェルヴート選手

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その選手は車いす陸上のベルギー代表選手であるマリーカ・ヴェルヴート選手です。(写真右)彼女はロンドンオリンピックの車いす100メートルで金、200メートルで銀に輝いている実力の持ち主です。また、上の写真は2015年にカタールのドーハで行われたIPC陸上競技世界選手権大会、女子400メートルで、金メダルに輝いたときの様子です。

・「リオ大会が終わったら安楽死も考えている」

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2016年に行われるリオデジャネイロ・パラリンピックにも出場し期待されている選手ですが、フランスの新聞ル・パリジャンに彼女はリオの大会が終わったら安楽死も考えていることを告白しました。

・車いすでも人生を楽しみたかった

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ヴェルヴート選手は現在37歳です。今から16年前の2000年に「脊椎変性疾患」を発症しました。体が麻痺し、車いす生活が始まった彼女。車いすでも人生を楽しみたいと、バスケットボール、トライアスロン、陸上などスポーツにトライしてきました。そして今では世界を代表する陸上選手に成長したのです。

・耐え難い痛み

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そんな彼女がなぜ安楽死を考えるようになったのか。その理由は闘病生活の中にありました。

・脊椎変性疾患とは

脊椎(骨)が変形して起こる変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊椎をつなぐ靱帯が骨化して神経を圧迫する後縦靱帯骨化症があります。頚椎(首)と腰椎(腰)に生じることが多いです。症状は病気が起こっている部位より下の神経症状が出現します。例えば首の病気であれば手や足のしびれや脱力を、腰の病気であれば足のしびれや脱力を来します。腰の病気で手のしびれを生じることはありません。

出典 http://twmu-mcens.jp

この病気によって生じる神経症状の重度は人によって異なります。軽いしびれの人もいれば耐え難い痛みを伴う人もいるのです。

・頭に浮かぶのは金メダルと死

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ヴェルヴート選手の場合、症状は重く痛みが酷いと証言しています。リオ大会に向けて練習に励む日々の中でも、痛みのせいで夜たった10分しか寝られなかった日もあったというのです。夢の中で思い浮かぶのは「金メダルと死」。それぐらい耐え難い痛みがいつも彼女のそばにはあるのです。

・金メダルを取って笑っている私 でもそれは一面にしかすぎない

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彼女は「金メダルをとって笑っている私を知っている人は多いでしょう。しかし影の一面は誰も知りません。」と語っています。そして「リオ大会で金メダルを取ることが私の最後の夢です。」とも…。
日夜病気闘わなければいけない中でも、彼女は「人生をリオの表彰台で終えることができたら」という思いで決して練習の手を緩めることはありませんでした。

・トレーニング中の様子

彼女のTwitterにはトレーニングに励む姿が投稿されていました。パラリンピックにかける思いが伝わってきます。

・「リオ大会を最後にする」

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彼女はリオの大会を最後に現役を引退することを明言しています。引退したら「曲芸飛行」など自分のやってみたかったことに挑戦したいとのこと。その選択肢の一つに「安楽死」も入っていました。

・ベルギーでは安楽死が認められている

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彼女の母国ベルギーでは3人の医師による承諾書があれば安楽死が認められる法律が2002年に制定されています。
患者にとって生きることだけが幸せとは限らない、そんなことを考えさせられます。

・死んだ後のことも想像している

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そして彼女は、自信が亡くなったあとのこともすでに想像されているということでした。

葬儀は、教会では行うのではなく明るい雰囲気でシャンパンを飲みながら『マリーカに乾杯。良い人生を送ったね。今はもっと良い場所にいる。新しい場所で幸せが訪れますように』と見送ってもらいたいとおっしゃっています。

・パラリンピックが終わったらすぐに安楽死したいというわけではない

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しかし、彼女はパラリンピックが終わったあとに必ず安楽死をしたいのかといったらそうではありません。あくまで「選択肢の一つ」として用意しているとのことです。
一部メディアが彼女のことを「パラリンピックが終わった直後に安楽死をする予定」と報道したことに対して、パラリンピック開催中の9月11日に「それは誤報だ」と緊急で記者会見を行いました。

・「私はまだメダリストとして楽しみたい、2020年には東京オリンピックを見に行きたい」

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彼女は会見で、生きる希望について語りました。彼女は耐え難い病の痛みから2008年に医師の同意のもと安楽死を行う準備はしてきました。しかし、それは選択肢として用意したまでのことで、残りの人生を楽しみたいという気持ちはたくさんあるということを明かしました。

安楽死という選択肢を世の中に知ってもらうことは大切だけれど、すぐにでも死のうとしているかのような報道のされ方にはどうしても抵抗があったといいます。

・報道の在り方

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24時間テレビやパラリンピックの時期であることもあり、日本でも最近障害者を取り上げて感動させようとする行為「感動ポルノ」という言葉をよく耳にします。
メディア側が困難を乗り越え挑むスポーツ選手の姿を伝えることは大切ですが、読者に伝わりやすくするために障害の悲劇的な部分を過剰に取り上げることに関して、私自身も考えさせられました。

・彼女が出場するのは9月9日から

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ヴェルヴート選手が出場した最初の試合は9月9日(金)女子400M。結果は見事、銀メダルでした。つづいて17日には100Mが予定されています。どんな試合になるのか、息をのんで見守る方も多いのではないでしょうか。

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ヴェルヴート選手だけでなくパラリンピックに出場する選手には試合や表彰台に上る姿を見ているだけではわからない苦悩や決心、パラリンピックにかける思いがあるということを改めて考えさせられました。
またヴェルヴード選手の会見から「感動ポルノ」に悩まされる障害者の心の内というものについても実感させられ、自分自身反省しなければならない点もあったと痛感します。
パラリンピックの試合を見る中で、彼女たちの頑張りを心から応援し、本当の意味で感動できるような自分でありたいと思いました。

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