イングリッシュアフタヌーンティー

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日本人の観光客にも大人気のイギリスでの本格的な「アフタヌーンティー」。伝統ある紅茶の国ならではのこうした催しは、現在では主に観光客メインで行われているイギリスですが、紅茶はやっぱり国民に親しまれている飲み物であることには違いありません。

お湯を注いで待っている時間に優雅にお喋り

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ヴィクトリア時代の貴族がよくしていたアフタヌーンティーは、美味しい紅茶を入れたティーポットに熱いお湯を注ぎ、茶葉がティーポット全体に行き渡り香りと旨味を出すまでの間、ビスケットやケーキをつまみながら楽しくお喋りをするというのが習慣でした。

現在では、忙しい現代人のためのティーバッグが各社から発売されており、スーパーには何十種類というメーカーのティーバッグが並んでいます。時間のある週末でさえティーバッグで飲むのが習慣になっているという国民も今や少なくありません。

手軽に飲めて時間を取らない便利性という点ではティーバッグは合理的なのですが、個人的にはリーフティーが好みの筆者。本来の紅茶の味そのものをじっくりゆっくりと味わうにはやはり茶葉から注いだ紅茶の方が新鮮で味がいいように思います。

とはいえ、ティーバッグであれリーフティーであれ、紅茶を飲んで美味しいと思うことが大切なのであって、イギリス人は紅茶を美味しく味わう時間というのを大切にしています。ところが、このほどそんなイギリス国民の概念を覆すような商品が発売され話題になっています。

ティーバッグも必要なし!スプレー紅茶

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まるでヘアスプレーのような缶には「もうティーバッグはいらない。インスタントで20杯の熱くて美味しい紅茶が作れます」という言葉が書かれてあります。このスプレー紅茶を販売しているのは「YumCha」という会社。

自社ホームページによると、1980年代から創業している会社で最近では斬新なアイデアの還元濃縮紅茶やこのスプレー紅茶を手掛けているようです。

自社ツイッターでも、「本格的紅茶」「ティーバッグのように無駄が出ない」「紅茶の濃さを自由に調整できる」「インスタントなのに熱くて美味しい」などといったセールスポイントが記されています。

いい加減な茶葉ではなくちゃんとした茶葉を使って作られているということですが、これまでにない斬新な紅茶のために、一部のコンビニエンスストアで発売されていても戸惑う人も多い様子。

「な、なにこれ⁉」

驚きのツイートをしている人も。お値段はシンプルなイングリッシュブレックファーストだと約4ポンド(約540円)のようですが、ジャスミンやアールグレーとなると1ポンド値上がりして約680円。約20杯飲めるそうなので、一杯分のお値段はたった34円ということになりますが、このスプレー紅茶に手を伸ばす勇気がある人はいるのでしょうか⁉

このスプレー紅茶を発明したガイ・ウッドウォールさんは「紅茶一杯飲むのに時間がかかり過ぎている。ティーバッグだって邪魔でしかありません」と英紙「Metro」で語っています。

通常、ティーバッグで紅茶を入れた場合煮出す時間は約13秒といわれています。でもこのスプレー缶があれば13秒さえもかからない素早さで美味しく香り高い正真正銘の紅茶が味わえるということなのですが…。

本来、イギリス人が紅茶を飲むのは

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おしゃべりしながらビスケット片手にアフタヌーンティーも、紅茶を美味しく味わえる醍醐味ですが、イギリス人にとってそもそも紅茶を飲むということは「心を落ち着かせるため」。

イギリスでは何か問題が起こった時には「とりあえず、紅茶を飲みましょう」となるわけで、紅茶を飲む時間は頭も心も休めるために大切とされています。喧嘩した時にも落ち着くために紅茶を飲む人は多いということでも、いかに紅茶が国民にとって「時間をかけて楽しむ飲み物」であるかがわかります。

忙しい現代人には、13秒のティーバッグを煮出す時間さえ惜しいと思う人が中にはいるのかも知れませんが、イギリスでは紅茶を飲むことは文化の一つ。早く美味しい紅茶を味わう方が絶対にいい!というイギリス人は果たして何人いるでしょうか。

べちゃりと煮出されたティーバッグが邪魔になったって、イギリス人は恐らく気にしないでしょう。紅茶を煮出しながら話を弾ませるというのも、立派なイギリス文化。最近は全てにおいて便利性が強調される世の中ですが、イギリスの「ゆっくり紅茶を味わう」文化を覆すにはまだまだというのが筆者の正直な感想。

やっぱり紅茶は時間をかけて入れるほうが断然「らしい」。そんな風に思うイギリス人がいるからこそ、伝統のアフタヌーンティー文化が今でも大切に残っているのではないでしょうか。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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