既婚者の中には“不倫”という二文字に、ドキッとする人たちもいるのではないだろうか。

2016年はとりわけ芸能人による不貞行為の目立つ年でもあるが、子どもや若者たちの貧困、ひとり親家族、高齢者の孤独死といった社会問題の背景に不倫があると主張するのは、書籍『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』(坂爪真吾/光文社)である。

第1部では「不倫学入門」として、体系的に不倫を概観する本書。その中では、不倫に関するいくつかの気になる統計も紹介されている。

俗説として“性的経験が多い人ほど不倫に走りやすい”という話を聞いたことはないだろうか。

アメリカで1996年に発表された統計によれば、20歳から39歳の女性のうち、結婚前に性体験のなかった女性と比べて、1人から3人とのセックスを経験した女性は4倍、4人以上の経験者になると8.5倍も浮気の危険性が高まるという。

また、出会い系掲示板やSNSがその温床のようにも思えるが、意外にも多いのが職場だという。

本書で引用されている『十年不倫』(衿野未矢/新潮社)によれば、既婚男性との恋愛経験がある30代から40代の女性では、相手と出会ったのが「職場」という回答が58.3%。2位以下は16.5%の「趣味の場」、13.6%の「飲食サービス関連施設」と続いている。

冒頭でも述べたが、社会的にみた不倫の代償は大きい。夫婦関係に亀裂が入り、別居や離婚となれば、やがては貧困に陥り社会保障が必要となる可能性があるのも想像にたやすい。

不倫自体を「インフルエンザのような『感染症』」と表現する著者は、本書において、その予防策である「不倫ワクチン」の考察を試みる。その一例を紹介していきたい。

マスターベーションの充実

不倫に陥る要因のひとつとして、夫婦間におけるセックスレスも容易に考えられる。その回避策として、夫婦がたがいに自分の“性欲”を管理する方法が考えられるという。

ただし、不倫に悩み苦しむ中では「相手との気持ちの通い合ったセックスがしたい」という、性欲とは異なる“性交欲”が潜む場合もあるので、性欲を満たすのみでストレスが溜まり、ある日突然不倫に走ってしまう危険性も、著者は指摘する。

合意のもとでたがいに愛人を作る「オープンマリッジ」

概念的な話とはなるが、アメリカの社会学者が提唱したのが「オープンマリッジ(開放型結婚)」と呼ばれる考え方である。

本書によれば、その目的は婚外セックスそのものではなく、たがいに異なる相手とのセックスを通じて夫婦関係を成長させるというもの。ただし、未婚化と晩婚化の進む現代社会においては「机上の空論」であると、著者は付け加える。

本書の結論として、著者は「現行の夫婦関係を維持するため」ということから、不倫ワクチンとしての「ポジティブ婚外セックスは、条件付き(期間限定・回数限定)で社会的に受容されるべき」と主張する。

しかし、法律上の“不貞行為”をむやみに認めているわけではない。社会における不倫のあり方とは何か。考える上での方向性を本書は示している。

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