記事提供:CIRCL

食肉を高温で調理したり、焦がしたりした際に、一部の成分が「発がん物質」に変化する。

マウスを使った動物実験でこの発がん物質「ヘテロサイクリックアミン」を大量投与すると、乳房や結腸(大腸)をはじめとする多くの臓器や器官にがんが発生した(※1)。

高温調理で有害物質が発生するのは肉や魚ばかりではない。野菜でも発生し、こちらは「アクリルアミド」という物質だ。この二つの物質を中心に安全な調理について考えてみよう。

やっぱり肉や魚を焼いた焦げに発がん物質は存在している

バーベキューなどで肉を焼いて食べる時、焦げた所を食べるかどうか迷った人は少なくないだろう。この焦げの中に有害な発がん物質が含まれているかどうかといえば、答えはYes

確かにヘテロサイクリックアミンと呼ばれる発がん物質が含まれている。マウスを使った動物実験でも大量投与で多くのがんを発生させることが確かめられている(※2)。

毎日1t以上の焦げを食べないとがんを発生させる量にはならない!

だがこれを人間に当てはめると、その量は体重60kgの人が毎日1t以上の焦げを食べないと達成できない量だ(※3)。焦げを少し食べたからといってただちに健康を害するわけではない。

じゃあ野菜は平気なの?いえ野菜も

ヘテロサイクリックアミンは動物性たんぱく質に含まれるチロシンやトリプトファンなどのアミノ酸が焦げて発生する(※3)。これらの含まれない野菜類は安全かというと、また別の危険がある。

野菜類に含まれるアスパラギンというアミノ酸と糖質が合わさり、120℃以上に加熱されると、アクリルアミドが発生する。

こちらも大量に吸収すると神経毒性や肝毒性があることが確認されており、国際がん研究機関(IARC)が1994年に「人におそらく発がん性がある物質(グループ2A)」に分類している(※2)。

調理の一工夫で加熱による有害物質の発生は抑えられる

何とも食欲のなくなりそうな話だが、救いはある。加熱調理で発生する発がん物質は、加熱温度の高さと加熱時間の長さに比例して増えていくのだ。また、アクリルアミドは食材の温度が120℃を超えないと発生しないので、これらを考慮した対策が有効だ(※4)。

・イモ類や野菜類は、切った後水にさらしてアクリルアミドに変わる成分を減らしておく。

・食材の加熱に電子レンジを使うとアクリルアミドができにくくなる。

・煮る・蒸す・ゆでるなど、水を使った加熱を行うと、1000℃を超えることがないため、アクリルアミドができにくい。

・炒め調理や揚げ調理の火力は弱めにする。

・火の通りにくい食材は、電子レンジや下ゆでなどであらかじめ加熱しておいてから炒め、炒め時間を短くする。

・炒める時には食材をよくかき混ぜて一部だけが高温になるのを防ぐ。

忘れてはいけない加熱調理のメリット

農林水産省は、加熱調理によって生じる発がん物質への注意とともに、加熱調理による健康維持上のメリットも提示している。

・加熱調理によって食品に付着した寄生虫や細菌などの微生物が死に、食中毒の危険を減らすことができる。

・食品を加熱することによって食品が柔らかく消化吸収されやすい状態となり、必要な栄養素を効率よく摂取できるようになる。

・加熱によって食品にとって好ましい味・色・香りを加えることができる。
などである(※4)。

焦げを避けるのはがん予防14カ条の1項目

揚げる・焼く・炒める調理で食品についた独特の色や香りも、料理の魅力の一つだ。調理をする時に発生する発がん物質をゼロにすることはできないし、がん予防には焦げ以外にも注意しておく食生活の項目がある(※5)。

「源氏物語」の中で光源氏も「嫉妬とは、ほどよく焼くのがいいのだよ」と語っている(※6)。恋も料理もほどよい火加減がポイントだ。

参考・引用
※1:「焦げた肉は食うな」は正しい教えだった!
※2:焦げを食べるとがんになる、は嘘?発がん性の嘘とホント
※3:焦げた肉や魚は、発がん性があるって本当?~がんを予防する14の掟
※4:安全で健やかな食生活を送るために~アクリルアミドを減らすために家庭でできること~ http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/pdf/aa_kani.pdf
※5:米国版・がん予防のための食生活14カ条
※6:ウェブ石碑名言集

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