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トラブルがあったわけではないのに母親という存在を疎ましく感じ始めている人はいませんか。

存在を重く感じるとか、苦手であるとか、正直なところで言えば嫌いであるとか、そんな想いを持ってしまっている自分に悩み、苦しんでいる女性が昨今増えているといいます。

女と女の関係には色々あって、なぜかトラブルがつきものだったりします。嫁と姑、女友達、そして母と娘です。前者の2つは所詮、元は他人であるということから諦めや開き直り、気遣いなどが存在しますが、恐ろしいのは気心が知れた母と娘です。

家族である上に同性であることから仲が良くて理解し合えることが当然とばかりの世間の目の中で苦しんでいる人もいることでしょう。そんな母親の存在に悩む女性たちにぜひ手にしてほしい1冊があります。

逃げたい娘 諦めない母』(朝倉真弓・信田さよ子/幻冬舎)です。独身、既婚者、シングルマザーの3人の女性が登場するストーリー仕立てに描かれた本書には、決して特別ではないリアルな母娘トラブルの具体例と、専門的で的確なアドバイスが著されています。

“いい娘”ほど苦しむ“母親による娘支配”から解放されるために必要な母親の扱い方と、“諦めない母”から逃げるための娘のリスク管理、“依存してくる母を我慢する”か“親を切る”かの二者択一ではない上手な母娘関係の作り方について物語を読み進めながらゆっくりと理解していけるようになっているのです。

“娘”たちが苦しむ原因として本書で紹介されている母親の言動には子離れできない母親の定番フレーズ「あなたのためにやっているのよ」の言葉以外にも次のようなものがあります。

“娘”という最高のカウンセラーを手離そうとせず、おしゃべりの相手にする“諦めない母”たち。娘が離れそうになると、わざと弱ったふりをしてつなぎとめようとしたり、娘に心配をしてもらい罪悪感を抱かせるようにしたりして母親の立場を維持します。

自己愛の強い母親は言います。辛い過去などを引っ張り出して「そうするしかなかったのよ」と。さらに「あなたが○○をしてくれないから辛い」と現状をも嘆きます。

実際には、その過去は母親自身の選択による行動でしかないし、辛くなる原因はあなたにあるわけではないのに、娘はそんな母親の悲壮感に同情し、自責の念に駆られてしまうのです。

母の心身の弱りは誰のせいでもなく、すべての人が迎える加齢のせいであったとしても。勇気を出して自分の意見を伝えようと理論立てて話をしても“諦めない母”は諦めません。

上から目線で未熟な“娘”扱いをし、「あなたは経験していないから私の気持ちが分からない」というようなことの一言で話を終わらせてしまうといいます。愛情で強く結びついていた母娘でも娘の成長につれて関係が変わっていくことがあります。

自分ができなかった人生を娘に重ねて娘と一体化して生きようとする母親に対して、娘は自分なりの生き方を見つけて歩き出そうとするからです。逃げきれない娘に大切なこと。それは毅然とした態度だといいます。母親から何かを言われたときには「ノー」とはっきり言うこと。

娘に突然“断言”されて混乱する母親の様子に娘は「傷つけてしまったかな」と反省してしまうかもしれません。

しかし、父親や息子のことを「あの人(あの子)は何を言ってもダメなのよ、あの人はそういう人なの」と言う姿から見えるのは、母親は自分の言うことを聞かない人からは撤退する潔さも持っているという現実なのです。

著者は言います。「本来娘は――というよりも子供はすべて――親に負い目を感じる必要などありません。無事に生まれ、親に子育ての楽しみを与えただけで親孝行は完了しています」と。

「子供は三歳までに一生分の親孝行を終えている」という言葉があるように、立派に独り立ちしたあなたは今、もうすでに親孝行は済んでいるのです。

親が重くて苦しいと本音を言うと生きづらさを親のせいにするななどの世の中からの反論があるかもしれないという現状も踏まえた上で、現実に悩む娘たちにさまざまなアドバイスを与えてくれる本書。

晩婚や共働きなどが進む現代社会に新しく顔を出し始めた新しい母娘の形にどのように付き合っていけばよいのかという問題を前に、親とのつながりを気楽に切ってしまったり、ぞんざいに扱ったりすることができない優しく真面目な“娘”たちに差し伸べられる救いの手となることでしょう。

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