記事提供:日刊サイゾー

出典 http://www.cyzo.com

警察当局の取り締まりが厳しくなり、ヤクザの“シノギ”がなくなったことで構成員の数は軒並み減っている。当局の努力の賜物だが、一方のヤクザはどうなのだろう?

ヤクザといえど家族や恋人だっているだろうし、何よりドラマでみかける毎月の上納金や事あるごとに必要になる“カネ”。彼らはどんな生活を送っているのだろうか?

本書『ヤクザライフ』(双葉社)は、長い間ヤクザと密接に関わり取材を続ける上野友行の一冊だ。ひとえにヤクザといっても、さまざまな形で不特定多数の人間が関わっている。

若い衆を多く抱える兄貴や、その若い衆と親分との間に挟まれる中間管理職的ポジションで日夜苦悩する中堅のヤクザ。さらには、入社した企業がたまたま組のフロント企業だったせいで、劣悪な環境下で働く30代の男。

また、ヤクザ映画になくてはならない“愛人”だが、本書でも“ヤクザ専門の愛人”として数々のヤクザを渡り歩く女や極妻まで登場。まさに“2010年代の任侠の世界”を網羅している。

上野が取材した“ゆとり世代”の若い衆を抱える、とあるヤクザ。ある日、路地裏でリンチの現場に鉢合わせてしまう。

袋叩きにされていたのは身内で、最悪なことにこちらは2人、相手方は5人だった。もともと犬猿の仲だった相手方とは乱闘になり、彼はあっという間に抑えこまれてしまった。

引き連れていた若い衆に視線を向けると、路地を抜けた先でまったく関係のないサラリーマンと揉めていた。「なにやってんだ、この野郎!」と叫び声をあげると、若い衆は「こいつら、動画撮ってやがったんスよ!」と答えたという。

目の前で自分の兄貴が殺されかけているにもかかわらず、これである。しかも、かなり真剣な剣幕でだ。

ヤクザの世界にもSNSが爆発的に広まっている。フェイスブックやTwitterにインスタグラム。躊躇なく本名で登録し、刺青や事務所の内部を撮影して無邪気にアップしているという。

昨年のパリ同時多発テロの際に、自分の写真をフランスの国旗と同じトリコロールカラーにするのが流行したが、例外なくヤクザの間でもこれが大流行。

刺青などの上にトリコロールカラーが上乗せされた意味不明な写メがタイムラインを埋め尽くし、さらに義理堅い彼らは続々といいね!を押しまくる。ヤクザが、である。

難癖を付けてみかじめ料を巻き上げ、不祥事を起こせば己の指を切り落とすヤクザが、である。

その“指を詰める”場面にも、上野は立ち会ったという。任侠映画で想像するような、ドスを用い、苦悶の表情で切り落とす。そんなものを想像していたが、道具を買いにヤクザが向かったのは、なんと100円ショップ。

指を詰めることになったヤクザは、ある理由から兄貴分を病院送りにしてしまったらしい。

現在の業界では、慰謝料としていくばくかの金銭を支払うことが主流。切り落とした指を組長に渡しても突き返されることが常という、なんとも世知辛い話だが、指を後でくっつけるために長さを計算しているんだとか。

そんな昔ながらのヤクザらしいケジメの付け方を選んだ彼の手には第一関節から先がない指が、すでに1本あった。その理由を聞くと「親父の愛人とヤっちゃったんですよ」と、間抜けな答えが返ってきたそう。

ほかにも、定時きっかりに実家に帰るヤクザや、上野に「モンハン一緒にやりましょうね!」と喜々として誘う親分など、知られざる業界の素顔を437ページ、全5章にわたって紹介。人間味溢れる彼らに思わず笑ってしまうだろう。

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