・なんのために国歌斉唱をするのか

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何故私たちは国歌を斉唱するのでしょうか。

日本の国家は「君が代」です。2016年に開催されたリオ・五輪では選手たちが表彰台の上で国歌を歌う姿が多くみられました。また、国際大会でサッカーなどスポーツの試合前に国歌を歌う姿は当たり前の光景です。

・国歌斉唱を拒否した選手

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そんな中、2016年8月26日、国歌斉唱を拒否したアメリカンフットボール選手がいました。彼は国内で行われた試合で国歌斉唱時にベンチに座ったまま歌うことを拒否しました。
国歌を歌うことを拒否するなど、普通ではありえないことです。この行動に多くのアメリカ人が驚きました。

2016年8月26日に行われたプレシーズンマッチで試合前の国会斉唱でベンチに座ったまま立ち上がらず、起立を拒否した。

出典 https://ja.wikipedia.org

・クオーターバック、コリン・キャパニック選手(28)

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国歌斉唱を拒否したのはクオーターバック、コリン・キャパニック選手(28)
です。プロアメリカンフットボール(NFL)のフランシスコ・フォーティーナインズに所属している人気選手でした。

コリン・キャパニック(Colin Kaepernick 1987年11月3日- )、カタカナではケイパニック、ケイパーニックとも表記される。ウィスコンシン州ミルウォーキー出身のアメリカンフットボール選手。現在NFLのサンフランシスコ・フォーティナイナーズに所属している。ポジションはクォーターバック。
グリーンベイ・パッカーズとのディビジョナルプレーオフでは、プレーオフ、レギュラーシーズンを通したQBのNFL記録となる181ヤードを走った。NFCチャンピオンシップゲームでアトランタ・ファルコンズを28-24で破りチームを1994年以来18年ぶりのスーパーボウル出場に導いた。

出典 https://ja.wikipedia.org

・国を侮辱する行為だという声が

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国歌は自分がその国の国民であることを誇りに思い歌うものです。彼が国歌を歌わないということは「アメリカ合衆国」という国を否定するということだと視聴者は受け取りました。

大事な試合でそのような行為に出たことに対して「チームや競技に対して失礼だ」と述べる人や、「国の為に仕事を頑張っている人たちに対しても失礼」と感想を持たれる人もいらっしゃいました。
特に「国のために軍役につき、命を捧げる人たちへの侮辱だ」と国の為に命を懸けるアメリカ軍の人たちに対して失礼だという意見が多かったようです。

・何故うたわなかったのか

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では、彼は何故歌わなかったのでしょうか。
それには一つの理由がありました。

・「黒人や有色人種への差別がまかり通る国に敬意は払えない」

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そう、これはアメリカ国内で起こる人種差別に対する抗議だったのです。

・黒人を射殺しても罪に問われない

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アメリカでは警官が黒人を射殺しても罪に問われないという事案が相次いで発生していました。

ルイジアナ州では7月5日、無抵抗だった黒人男性が白人警官に取り押さえられて
射殺されました。その様子を別の車内から撮影していた人が動画をアップしネットで話題となりました。また、その翌日にもミネソタ州で車を運転していた黒人を警官が射殺しました。こちらもこれを目撃した人がFacebookに動画を投稿し波紋を呼んでいます。

・「僕にとってはフットボールよりも大事な問題」

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コリン・キャパニック選手は試合後、メディアにこう話しました。
「僕にとってこれはフットボールより大事なことなんです。見て見ぬふりをすることなんてできない。路上で死体が転がっているのに、職場を離れるだけで給料をもらい続け殺人罪を免れている人間がいてもいいのでしょうか。」

・事前に選手やチームには相談しなかった

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キャパニック選手は国歌斉唱を拒否することを、事前に選手やチームには相談はしなかったと言います。それは誰かに相談してやることではないと思ったからです。誰かに賛成して欲しくてやるのではなく、自分の意思で行動しなければいけないと思ったから、彼は孤独になっても虐げられている人たちのために立ち上がろうと決意しました。

・ユニフォームを燃やされる姿も

成功を与えてくれた国に対して、何をしているんだ。そんな批判的な意見もありました。「アメリカンドリーム」とはよくいったものですが、アメリカという国が支えてくれたおかげで成功できた有名選手が国歌を歌わないなんて信じられないという方もいらっしゃるようです。
中には「ずっと座ってろ。これがおまえへの敬礼だ」と、彼の背番号「7」が刻まれたユニフォームを燃やし、彼の行動に怒りをあらわにする方もいました。

・意外な人たちが彼を支持した

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批判的な声が聞こえる中、彼を支持する人たちも現れました。それが意外な立場の方たちだったのです。

・「#キャパニックを支持する軍人たち(#VeteransForKaepernick)」

Twitterでハッシュタグ「#キャパニックを支持する軍人たち(#VeteransForKaepernick)」を作られたマーカス・ニューサムさんは
2000〜2011年までの11年間、陸軍で従軍していた元軍人の方です。

キャパニック選手の行動が「国の為に命を懸けるアメリカ軍の人たちに対して失礼だ」という批判的な意見に対して抗議をしたかったためハッシュタグを作られました。軍に入隊したこともない人たちが、彼の行動を批判するために軍のことを口にする姿に頭がきたと言います。

・賛同する軍人であふれかえった

するとこのハッシュタグは、キャパニック選手に賛同する選手でたちまちあふれかえりました。上のツイートは「私は現役の陸軍です。キャパニックを支持します」とあります。黒人の軍人の方も白人の軍人の方もそろってキャパニック選手を支持していらっしゃいました。

・「自由を守るために戦っている。国歌の為じゃない」

選手に国歌を歌ってもらうために戦っているんじゃないと抗議する方です。同様の意見を持った軍人たちがTwitterに集まりました。

・「私自身を守ってくれないこの国を私が守らなければいけないなんて、この子たちにどう説明すればいいんだ」

黒人の軍人の方は、国の抱える矛盾に対して疑問を問いかけていました。

・「息子が夜外を出歩けない社会を作るために、兵役についたわけではありません」

いつ息子に銃が向けられるかわからない危険な社会を作り上げるために軍人になったわけではないという、女性の方もいらっしゃいました。

・昔から続いてきた人種差別に触れるツイートも

「祖父はローザ・パークスが座れるように兵役についた。私はキャパニックが座れるように兵役についた。」

ローザ・パークス氏とは1955年に起きた事件の被害者になります。以前、アメリカは人種別にバスの席が隔てられていました。そこで黒人であったローザ・パークス氏が白人に席を譲らなかったために、逮捕されたという事件です。

・「私は空軍で25年働いた。すべての人の修正第1条を守るためだ。あなたを支持する。」

25年空軍に勤めた女性もキャパニック選手を支持しています。

・修正第1条とは

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米国憲法で「言動の自由」に関して規定されている条例です。

修正第1条
(信教・言論・出版・集会の自由、請願権)
合衆国議会は、国教を樹立、または宗教上の行為を自由に行なうことを禁止する法律、言論または報道の自由を制限する法律、ならびに、市民が平穏に集会しまた苦情の処理を求めて政府に対し請願する権利を侵害する法律を制定してはならない。

出典 https://ja.wikipedia.org

・「表現の自由は表現の自由、いつだってね」

キャパニック選手が自由に意見を言って何が悪いんだという考えです。

・自由のために戦っている

「彼の意見に全面的に賛成するわけじゃないけど、彼が意見を述べる権利のために、死ぬまで戦うよ」という方。意見を言える自由を尊重できる社会のために戦っているのだという方です。

・「憲法を守るために、ジェット機で10年飛んできた。国旗や国歌を守るためじゃない」

アメリカ国民の方は修正第一条を尊重し大事に思っているのだという事が伝わってきます。

・「94〜97年の間、言論と表現の自由を守るために兵役につきました」

キャパニック選手を支持する軍人の声はまだまだ鳴りやむことはありません。今後も多くの方からの声が聞こえてくることでしょう。

・選手生命を絶たれても構わない

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勇気ある行動により多くの人の心を動かしたコリン・キャパニック選手。
彼はこうも言っていました。自分の行動によりフットボールを取り上げられ選手生命が奪われるような事態になっても構わないと。正しいことのために行動したという信念が、自分自身の心の中にあればよいのだと。

・彼の選手生命はどうなるのか

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彼は今後どうなるのか気になるので少し調べてみました。

フォーティナイナーズは「宗教や表現の自由をうたう米国の精神に基づき、個人が国歌演奏に参加するかしないか選択する権利を認める」と同選手の決断を尊重するとの声明を発表した。NFLは声明で、演奏中に選手たちが起立することを奨励するが強制ではないと指摘した。

出典 https://ja.wikipedia.org

国歌を歌うか歌わないかは本人の自由とチームも承認しており、選手生命を問われることはなさそうでひとまず安心しました。

・国歌をうたえるか

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人種差別がはびこる国の為に国歌は歌わないという行動、これは日本に住む私たちにとっても決して他人事ではありません。

アナタは日本という国に誇りを持てますか。日本の憲法、法律に不満はありませんか。日本の国歌を歌えますか。国のあり方、そして国歌を「うたう意味」について考えさせられる出来事でした。

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