コンビニエンスストアにまつわる様々な話題を、食の流通やコンビニに詳しいライターの日比谷新太さんが、徹底的に分析する当シリーズ。

前回のファミリーマートの経営統合に続き今回クローズアップするのは、ついつい衝動買いをしてしまうレジ横の商品たち。なかでも、串団子をはじめとした和菓子類が、なぜレジ横に置かれるようになったのかを、業界の裏事情も交えながら解説しています。

コンビニ各社が重要視する「レジ横戦略」

コンビニに行くと、レジカウンターの上やその周囲にも様々な商品が並べられているのを、よく見かけると思います。

具体的に挙げると「中華まん」「フライヤー商品」「HOTスナック」「店内調理弁当・惣菜」「パフェ・ソフトクリーム」「生ビール」などなど……以前このコーナーで取りあげた「挽き立てコーヒー」「ドーナツ」もそうですし、なかには渋く「和菓子」なんかを置いているコンビニもあります。

これらの商品群ですが、コンビニ業界ではカウンターFFと呼ばれています。そして、このカウンターFFの販売戦略は、各社ともに最重要事項のひとつとして捉えています。

どうして各コンビニチェーンは、カウンターFFを重要視しているのか……それには、以下のような大きく3つの理由が挙げられます。

(1)利益率が高い

一般的なコンビニエンスストアの利益率は約30%です。コンビニには高利益率のPET飲料(約40%)から、低利益率のたばこ(約10%)まで、利益率がそれぞれ異なる約3000アイテムの商品を取り扱っていますが、それら全体を平均するとだいたい約30%という数字に落ち着きます。

ところがカウンターFFは、概ね40%以上という高い利益率を稼ぎ出しています。特に、近年コンビニ各社が力を最も注いでいる「挽き立てコーヒー」にいたっては、その収益率は60%を超えると言われています。

(2)プラス1品の購入につながりやすい

お客さんはコンビニに入ると、ひとしきり雑誌を立ち読みした後に、「飲みもの」「食べ物(おにぎりや弁当等)」などを手に取って、レジカウンターに移動してきます。一般的に消費者は、店内に入る前に“何を購入するのか”を決めているものです(目的購入)。

ところが店舗としては、お客さんに1品でも多く商品を購入してもらいたいので、様々な仕掛けを準備して待ち構えています。その仕掛けの中で最も成功確率が高いのが、レジ横スペースとなります。

店員が商品を手に取り、商品を「ピッ」「ピッ」とスキャンしている途中で、ふとレジ横に展開している商品が目に入り、思わず「これもちょうだい」と注文してもらえるのです。

この消費行動は、他の商品の購入が決まった後に発生するため、確実に売上が上乗せされ、コンビニ側としては大変ありがたい売上になります。これがレジから遠い売場においてだと、「○○を買いたいから、△△は買い控えよう」となってしまい、売上の上乗せ効果が小さくなってしまいます。

(3)他社と差別化しやすい

ミニストップの「ハロハロ」「ソフトクリーム」のように、カウンター商材はコンビニの独自色が打出しやすく、そのため各チェーンが力を入れているという側面もあります。

これらは店内調理を行っているため、必要な時にすぐ調理(準備)ができ、お客さまの来店数に対してもフレキシブルに対応できます。

また店内調理は、コンビニと外食テイクアウトのハイブリッドのような商品になりますので、外食業界からのノウハウ導入も進めやすいことがあげられます。

和菓子がレジ横に置かれるようになった経緯

そんなコンビニのレジ横に陳列されている商品たちですが、なかでも異彩を放つのが「和菓子」ではないでしょうか。

代表的な商品として挙げられるのが、山崎製パンの串団子。これが実はコンビニ業界の隠れたベストセラー商品で、レジ横やレジ前の平台に陳列すると、驚くほど売れていきます。特に和菓子の日(6月16日)には、通常の10倍という爆発的な販売につながります。

そんな和菓子たちですが、山崎パンや敷島パンなどといったパンメーカーが、コンビニに多くの商品を供給しています。そのためかPOSデータでも、これらの和菓子はパンカテゴリーに入っています。

通常だとカテゴリーと陳列場所(売場)は一致しているものなので、本来なら和菓子が置かれる場所はパン売場の横になるはずです。ところが前述のとおり、和菓子はレジ前やその横が最も相性の良い売場とされています。

これは恐らく、和菓子の主要ターゲットである高齢者が、そもそもパン売場に立ち寄るという消費行動をあまり起こさないことが大きいのでしょう。

ただ潜在的な和菓子需要は持っているので、レジに並んだ際にレジ横の和菓子を「あった!」と発見し、購入しているものと考えられます。それ以外の理由としては、売り場のサイズ感の問題もあります。

コンビニにおいて、パンはゴンドラ棚に陳列されていますが、全体的に小ぶりな和菓子商品は、このゴンドラ棚のサイズが大きすぎて合いません。一見、なぜそこに置かれているのが謎なレジ横の和菓子ですが、このような理由がちゃんとあって、しかるべき場所に収まっているわけです。

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