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医師が解説する医療・健康サイト「Doctors Me」編集部です。
薬物依存症は、覚せい剤など違法の薬にかぎったことではなく、市販されていたり、処方されている薬で引き起こる危険性もあります。

特に注意すべきなのが「頭痛薬」「精神安定剤」「睡眠薬」「下剤」です。身近な薬に依存することによっても、重篤な症状が起きる場合も十分に考えられます。

そこで今回は「身近な薬による薬物依存症」と題し、原因、危険性、抜け出す方法を薬剤師の吉澤先生に解説していただきました。

頭痛薬依存

【原因】
頭痛発作への不安から鎮痛薬を頻繁に服用するようになり、飲む回数や量が増えていきます。その結果、脳が痛みに敏感になり痛みの閾値が下がります。

閾値が下がるとは、例えば痛み数値で表した場合、以前なら痛みが7になった時が我慢できない痛みだったのに、頭痛薬に依存するようになると痛みが4でも痛みに耐えられなくなるような現象です。

【危険性】
頭痛薬依存となり痛みの閾値が下がることで更に頭痛薬を使用するようになると薬物乱用状態になり、薬剤性のひどい頭痛を起こす危険性があります。

【抜け出す方法】
頭痛薬の中止後、その反動で離脱頭痛と呼ばれる激しい頭痛や吐き気、嘔吐などが起こる可能異性がありますので医師の指導のもとに中止することが必要です。

最初の1~2週間は、離脱頭痛などが起こりやすいですが、徐々に頭痛が減り、もともと持っていた頭痛の症状に戻ります。そこから片頭痛などのもともとの頭痛に必要な治療を行っていきます。

精神安定剤依存

【原因】
薬の効果を実感していくうちに薬に頼らないと不安が増大する悪循環に陥ることで薬に依存していくのですが、その過程には「耐性」「精神的依存」「身体的依存」が相互に影響し「精神安定剤依存」を形成していきます。

■精神的依存
精神的に薬を使用することを強く欲求し薬を手に入れることを第一に考えてしまうような強迫的渇望をいいます。

■身体的依存
その薬物の使用中止により禁断症状などの身体的な苦痛が起こる状態をいいます。また、薬が慣れてしまい使用量を増やさないと効果が感じなくなる「耐性」を伴う場合が多く、より強い効果を求めて使用する量を増やしていくようになります。

「精神的依存」「身体的依存」「耐性」がそれぞれに強くなると深刻な薬物依存となってしまいます。

【危険性】
精神安定薬は抗不安作用の他に催眠作用・筋弛緩作用・抗けいれん作用があります。このため、眠気ふらつき、倦怠感などが副作用として出現します。

また、依存が強くなるほど薬を中断した時の離脱症状にも注意が必要です。

【依存から抜け出す方法】
精神安定剤は、依存性を形成しやすいものもあるため依存を形成しないような治療計画を立てることも重要です。効果が弱く半減期が長い抗不安薬を選択し、低用量かつ短い服用期間で経過を見ていくことで依存を形成しないよう治療を進めていきます。

通常、医師が依存性出現の可能性まで考慮し治療計画を立てるものですので医師の指示に従い服用することが大切です。もし依存が疑われた場合は、医師の指導のもと少しずつ用量を減らし時間をかけて減薬します。

依存が心配されるようでしたら速やかに医師に相談してください。

睡眠薬依存

【原因】
睡眠薬については「依存」が生じ、睡眠薬がなければ眠れなくなるのでは?といったイメージを持つ方が多いのが事実です。しかし、医師の処方通りに服用していれば「依存」は、ほとんど生じないと言えます。

しかし、医師の処方を無視し過量服用などを繰り返している場合は、依存性や薬物中毒などを招きます。

【危険性】
依存と誤解されやすい症状に反跳性不眠と呼ばれるものがあります。反跳性不眠とは、継続し服用していた睡眠薬を急に止めると反動で身体がびっくりしてしまい、より強い不眠が起こる現象です。

これは薬への依存ではなく、睡眠薬の急な中断で生じる睡眠薬の副作用です。

【依存から抜け出す方法】
反跳性不眠を起こさないためには、ゆっくりと少しずつ睡眠薬を減薬していくことです。反跳性不眠は作用時間の短い睡眠薬で起こりやすいため短時間型睡眠薬を使っている場合は特に慎重に減薬することが必要です。

睡眠薬の乱用による依存が生じた場合は、入院治療などが必要な場合もありますが、やはり医師の指示のもと計画的な減薬が必要となります。

下剤依存

【原因】
下剤なしでは排便ができなくなってしまう「下剤依存症」は、腸が便を押し出す力を促すような下剤を長期に渡り服用することで、本来の腸自身の動きが鈍くなってしまい自然な排便が起きにくくなることで生じます。

【危険性】
「下剤依存症」により下剤を常に使用していると薬に慣れてしまい思うような効果が得られず、徐々に服用する量が増していきます。

下剤による排便は、下痢症状を伴うことも多く脱水症状が起こる危険性や、腸への刺激により本来の腸の消化吸収力が低下する恐れもあります。

【依存から抜け出す方法】
軽度の場合は、食事と運動療法で改善することも可能ですが、重度の場合は、医師の指導が必要です。下剤以外の薬と食事・運動療法などを組み合わせ治療します。治療にも1~2年の期間が必要となることがあります。

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吉澤先生からのアドバイス

市販薬、処方薬ともに正しい用法用量を無視し、過量服用などの薬物乱用を行えば、その薬への依存や健康被害が出ます。

薬は、「有効性」と「危険性」の両方を持っています。正しく使えば有効ですが乱用などをおこなえば危険なものとなります。

医師・薬剤師の指示に従い正しい用法用量で使用してください。

(監修:薬剤師 吉澤恵理先生)

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