記事提供:キングコング西野 オフィシャルダイアリー

新刊『魔法のコンパス ~道なき道の歩き方~』は、既存のルールからハミだしたり、独立したりする、圧倒的少数派に向けて書いた仕事&人生の攻略本なのですが、これが凄く売れているそうで、驚いております。

並みいるアイドルさん、人気モデルさんを押さえて、地獄的嫌われ芸人が書いたビジネス書がタレント本ランキングで1位らしいです。

ありがとうございます。

『魔法のコンパス ~道なき道の歩き方~』

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僕は基本的には『ネタバレ上等』の人間でして、もそも本屋さんが立ち読みを許している時点で、「だったら立ち読みする人を100人ではなく、10万人にしてしまった方がいい」という考えなので、今回は『魔法のコンパス』から、バカ親について書いた頁を抜粋して紹介したいと思います。

コピペ、完全オッケーです。

《魔法のコンパス》

『子供向けですか?』と訊く親について

個展会場などで絵本を販売していると、「この本は子供向けですか?」と訊いてくる親御さんが少なくない。

あれは、何をもってして「子供向け」としているのかな?

昔の記憶は、もうほとんど残っていないけれど、親に気を使った日のことは鮮明に覚えている。

我か家はサラリーマン家庭で、4人兄弟。幸せだったけれど、裕福な家庭ではないことぐらい幼稚園の頃から分かっていた。

洋服や自転車は兄のお下がりで、リコーダーは買ってもらったけれど、習字セットは、やはりお下がりだった。

当然、「お小遣い」なんて人生で一度も貰ったことがない。

誕生日ケーキは買うと高いから、毎年、母ちゃんの手作り。キウイが乗っていて、色合いはあまり良くなかった。

言わなかったけれど、友達の家の誕生日会が羨ましかったな。

お正月になると、家族皆で大阪・吹田にある親戚の家に遊びに行った。親戚のオジちゃんや、お婆ちゃんがお年玉をくれた。

家計に余裕がないことは分かっていたけれど、「これ、家計の足しにして」と言って母ちゃんにお年玉を渡すと、母ちゃんが気を使うから、「ちょっと一時的に預かっといて」と言ってお年玉を渡し、返してもらうのを忘れることにした。

幼稚園の頃から、中学に入るまで、毎年だ。

年に一度だけ、家族全員で外食をした。

もう潰れちゃったけれど、近所にあった『やましげ』という定食屋さん。

ステーキなんかも置いてあったけれど、もちろん、そんな高価なものを頼むわけもなく、下から2番目ぐらいに安いメニューを、これもやはり“気を使っている”ということを親に悟られないように、

「これ、メッチャ好きやねん!」

と言って好きでもない安いメニューを注文した。幼稚園の頃の話だ。

たしかに言葉は知らないし、身体も小さかったけれど、考えていることは今とさして変わらない。これは僕だけじゃなくて、皆さんもそうだと思う。

子供の頃、両親が喧嘩をしていたら、アホな子供のフリをして間に入った人もいるハズだ。

「〇〇でちゅよ~」と話しかけてくる大人を気持ち悪いと思ったハズだ。

ところが親になった途端に、そんな記憶はスッポリ忘れて、「これは子供向けですか?」と言っちゃう人がいる。

実は僕の親も、そして幼稚園の先生もそうで、手渡してくれる絵本は、いつもフワフワのクマさんがいて、いつも優しい色の色鉛筆で描かれた“お山さん”があった。

もちろん、それが好きな子供もいるだろう。ただそれは好みの問題であって、年齢で分け隔てるものではない。

事実、幼稚園時代の僕は、親や先生が読み聞かせてくれる絵本の絵が退屈で退屈で、結局、プラモデル屋さんに走って、リアルに描かれた戦艦や戦闘機のパッケージイラストに胸を踊らせていた。

聞けば、タモリさんもそうだったらしい。だから、タモリさんと二人でスタートさせた絵本は、あんな感じになっちゃったわけだ。

「アイツらは子供のことをナメてんだよ」とタモリさん。

それには僕も同感で、「これは子供向けですか?」という言葉に対して、「なんで、子供よりも大人である自分の方が理解力が上であるということを前提で話を進めてんの?」と思い、辟易する。

親や先生が考えている「子供向け」というのは、「子供なら、こういうものを好きであってほしい」というエゴでしかない。

親の段階で振るいにかけて、子供には選択肢なんてありゃしない。

親は、クマさんや、お馬さんで、ニコニコ笑っている我が子を見たいわけだ。

それにより、「理解できるものしか与えないことで、理解できないものを理解する」という可能性を奪う。

生きる上で何よりも尊い「成長」という行為を、親がそぎ落としちゃっているわけだ。

親の頭では理解できないものを理解してしまう(しようとする)子供もいる。「子供とは、かくあるべき」で、未来の可能性を摘んじゃダメだよね。

ちなみに、基本的に僕は年下を尊敬している。

アイツらときたら、今の僕らを見て「これはやめておこう」「これはマネしよう」と取捨選択して生きているわけだから、いつの時代も若い奴はスゴイよ。

とても勝てる相手じゃないし、支配できると思ったら大間違い。

僕は子供の頃に見たかった絵本を描いている。

それは、親が見せたかった絵本じゃないかもしれないね。

それが好きかどうか、向いているかどうかを決めるのは親じゃない。

子供だよ。

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