記事提供:It Mama

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大学卒業後、まともに就職活動もせず、ふと見つけた広告に応募し採用され、現代美術ギャラリーで楽しく働く私に向かって、ある日母はこう言放ちました。「あんたはきっと“いきおくれ”て、30過ぎで猫と一緒に1人暮らしするんでしょうね」と……。

しかし、人生には時に天変地異の如き出来事が降り掛かります。25歳で出会った彼と、次の日からおつきあいをスタート。半年後に妊娠、入籍する事に!

ドタバタの海外出産後、酷寒の地ボストンでの生活から、夫の就職を機に新天地カリフォルニアに住居を移した私たち一家、そして後陣痛と恥骨痛に苛まれた2人目出産。育児に頑張りすぎた結果水分補給も忘れ、肌荒れに苛まれてしまった前回

海外出産奮闘記最終回の今回は「伝わらない和製英語…アメリカお出かけ事情」編をお送りします。

■「ベビーベッド」じゃ伝わらない!? 和製英語の落とし穴

これは渡米後すぐの話です。高校受験レベルの英語力しか持たない私と、英語は堪能でも育児にまつわるボキャブラリーはゼロだった夫がまず着手したのは、育児グッズを探す事でした。

しかし、“ベビーベッド”、“ベビーカー”、“ベビーシート”を探すために、それをそのまま、“Baby Bed”、“Baby Car”、“ Baby Seat”などと英語にしてインターネットで検索しても、全然結果が出てこないのです。なんとか試行錯誤して、私たちはやっとそれらを意味する、正式な英単語を発見しました。

・ベビーベッドは、クリブ(Crib)
・ベビーカーは、ストローラー(Stroller)
・ベビーシートは、カーシート(Car Seat)

さらにベビーベッドの中でも、ゆりかご的なものはクレイドル(Cradle)と言うことなどを発見していく中で、これぞ生きた外国語だわ、と異国に住んでいることをじわりと実感したものです。

■年子の姉妹用に「ダブルストローラー」をゲット

次女を出産する前に、私たちはベビーカーを新調することにしました。このようなグッズは、生活スタイル、子どもの性格などを総合的に考えて選ぶものです。わが家のベビーカー考慮ポイントは、大まかに以下のような感じでした。

・これからは年子連れで外出する事になる。
・長女は爆弾持ち(いつでも泣き出し、暴れ出す可能性大)
・長女は基本的に抱っこ星人
・次女はしばらくは米俵のように運ばれる存在
・買い物、公園などの、車移動がほとんど
・平日、年子2人と動く大人は私一人
・散歩コースは主にサンタモニカ・ビーチ沿い

これらのポイントを熟慮した結果、私たちがゲットしたのはこれです。

2人乗りベビーカー、英語で言うとダブル・ストローラーです。

このストローラーには、1歳までのカーシートががちゃりとハマり、いわゆる対面式になります。(実際この写真に映るストローラーの後部座席では、次女が口を開けて眠っています)アメリカではとても有名な“グレコ(Graco)”というブランドのものだったら何でもハマるのが素晴らしく合理的です。

さらにこのゴツい見た目通りの頑健さなのに、お値段は約1万円ほどでした。アメリカは貧富の差が激しいからか、育児グッズにも様々なレンジのものがあって感心したものです。

ボストンで長女用に使用していたカーシート&1人乗りベビーカーがやはり同じブランドだったので、そのカーシートを次女用に使い回す事ができました。

■「アメリカお出かけ事情」の前に、思い出してしまった日本の事を少し。

アメリカではどこのレストランでも、どこのカフェでも、ハンバーガー屋だろうがメキシカンだろうがタイ料理だろうがどこでも、必ずベビーシートがありました。掛け値無し、誇張無しに、本当の事です。

大人が子どもを連れて外食をすることは、ありふれたことなのです。考えてみればこれほど当たり前のことはないのですけどね。

一方でまた日本の悲しい育児環境の話をしてもいいでしょうか。私たちはこの後、次女が1歳になるのを待たずに東京へ引っ越す事になります。引っ越してすぐ後のことです。

ある日の平日、都内の小さなカフェに、私たちは次女のみを連れて入店しました。お店の人は1歳前の赤ちゃんである次女を見て、「子どもも一人前頼むのが決まり」ということを私たちに告げました。

思わず、膝の上にちょこんと座る自分たちの娘を見つめます……うん、何処からどう見ても、まだ人間の食べ物は食べられない生き物です。

「デザートでもいいでしょうか」と恐る恐る頼んだところ、かなりキッパリと「いいえ、だめです」と言われた事を憶えています。辺りを見回すと、席はガラガラ。ピークの時間でも、週末でもありません。私ではなくとも、“子連れ歓迎”のムードではないことを感じることと思います。

私たちはもう1人前頼み、当然ながら全ては完食出来ず、多くの部分を残してお店を後にしました。

もちろん日本の全てのお店がそうだとは言いませんが、アメリカの気安い子連れお出かけ事情を思い出す時、日本の息苦しさ、堅苦しさはいつも対極として私の心にほの暗い影を落とします。

■紙のテーブルクロス!? 「子どもフレンドリー」な嬉しいお店の工夫

さて一方アメリカでは、多くのお店で子連れがもらえるものがありました。それは塗り絵と小さな色鉛筆、もしくはクレヨンのセットです。

このカフェではさらに面白い事に、テーブルクロスが紙でした。そしてそこに「スキなだけ描いていいよ」と子どもにクレヨンをくれます。長女も楽しそうでしたが、もう少し大きな子であればダイナミックな絵を展開出来そうです。

子どもに楽しく、親にありがたい工夫です。親がカフェに来る時に胸に抱くささやかな目的は、ほんのひとときでも子どもから解放されて一服することなのですから。

■リラックスするアメリカ人親達の姿

具体的な場所を言うと、この写真のカフェはサンタモニカとベニスビーチの間くらいに位置する、Rose Cafe Restaurantです。この日は私の誕生日でした。誕生日は朝ご飯を食べにいきたいと言っていた私を、夫が連れてきてくれたのです。

広々としたテラス席が気持ちいい、お洒落な雰囲気のカフェでした。

そしてこの日、周りには赤ちゃん連れのママさんグループが来ていました。皆口々におしゃべりをしながら赤ん坊をあやし、時には授乳し、時には膝の上にぴったり収まるサイズの赤ちゃんをごろんと寝転がせて、オムツを替えていました。

数年前に、ニューヨークで“公共の場で授乳することの是非”が取沙汰されていましたが、少なくとも私が住んでいたカリフォルニアでは、そのようなぎすぎすした雰囲気は皆無でした。皆大らかに授乳し、大らかにオムツを替えていました。

公共の場での授乳やオムツ替えについては個々で、地域で、国で、考え方は様々です。しかし特に日本にいると、ひとつの考え方に凝り固まってしまいそうです。何故なら周囲の目がとても厳しいから。

しかしこの時、カフェでにこやかにオムツを替えるアメリカ人ママを糾弾する人は誰もいませんでした。空は良く晴れていて、サーブされる料理は洒落た盛りつけで美味しく、こども達はお絵描きに夢中で、ママ達はおしゃべりを心から楽しみ、総合的に見て世界は平和そのものでした。

それは善悪を越えた一つの事実として、確かに私が経験した事です。この時、アメリカの西海岸で肌で感じた緩やかな空気は、私にとっては今も、海の底でひっそりと眠る宝物のように息づいているのを感じます。

さて、全14話に渡ってお送りした海外出産奮闘記。この後、私たちはまだ小さな年子姉妹と共に、日本へ居を移す事になりますので、この連載はここで終わりとなります。次弾連載をお楽しみに!

★今回の教訓★

(1)注意!和製英語はアメリカでは通じないこともあります。
(2)ダブル・スとローラーは、狭い日本では邪魔者扱いされます。
(3)公共の場での授乳やオムツ替えは、当たり前ですが場所を選びましょう。

【著者略歴】

mica・・・夫・姑・4人の子と共にシンガポール在住のご機嫌妻アドバイザー。著者ブログにて、記事の裏話を更新しています!執筆依頼はブログよりどうぞ。

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