記事提供:幻冬舎plus

「そこそこ」で終わっていいのか。

世の中には、難関といわれる試験をたやすく突破する人もいれば、何年頑張っても成果の出ない人もいます。この差はいったいどこから出てくるのでしょうか?やっぱり合格する人は、生まれつき優秀だからなのでしょうか?

開成→東大文一→弁護士と、いわゆる難関試験を突破し『結局、ひとりで勉強する人が合格する』を執筆した鬼頭政人さんによると、合格できるかどうかの分かれ道は、「独学のコツ」を知っているかどうかだといいます。

ポイントは、いかに効率よく勉強し、それを持続させられるか。この連載では、いちど身につければ一生役立つ、独学のコツをご紹介いたします。

<社会人になったら、もう勉強しなくてもいい?>

あなたがもし、社会人なのに勉強が必要なのか、という疑問を持っているとしたら、仕事そのものが勉強だという意識が乏しく、仕事を「こなす」ことに主眼を置いてしまっているのではないでしょうか。

私には、あなたの10年後が目に見えます。「俺は頑張ってるのにあいつが認めてくれない」「あの上司じゃなければもっといろいろできるのに」と居酒屋で毎日のように愚痴を繰り返し、「頑張ったってみんなが役員になれるわけじゃないんだから」とあきらめムードを漂わせて、周りの足を引っ張っているに違いありません。

少し話がそれますが、そもそも「社会人の目標」は何でしょうか。会社のトップに上り詰める、部下のみんなに好かれる、一流の営業マンになる、などなど、人によって望みはさまざまでしょう。

そして、学生と社会人のいちばんの違いは「勉強せずに済むかどうか」です。学生の場合、多かれ少なかれ、受験や定期テストという形で「勉強しなくてはならない」立場にあります。

<「そこそこ」で終わっていいのか>

一方そういう意味では、社会人の場合「勉強しなくてもいい」環境にあると言えます。

もちろん、最低限の仕事をこなすための勉強は誰でも必須だと思いますし、その最低限のレベルも仕事によってさまざまですが、逆に言えばそれさえこなしておけば、「勉強しなくてもいい」のです。勉強しなくても誰にも何にも言われない、と言い換えたほうが正確かもしれません。

そのため、社会人になって、急に勉強しなくなる人が多いのは事実です。ある程度要領がよい人なら、言われたことをこなしていけば、たいして努力をしなくとも、「そこそこ」の結果は出せますし、「そこそこ」の評価も得られるでしょう。

ですが、仮に「何かの分野で一流になる、トップになる」という目標を持っているならば、勉強なしにそこに到達することはできません。

私は当初、弁護士事務所で社会人生活をスタートしました。弁護士というのは、法律のプロですが、日々法律も変われば、新たな判例も形成されていきます。なので、継続的な学習が必要不可欠な仕事であり、誰もがそれなりに勉強をしています。

不思議なことに、一流の弁護士ほどたくさん勉強しているのです。座学はもちろん、他業界の一流の人との交流やセミナーなどを最大限に活用して、自分のスキルアップに努めているのです。20年選手、30年選手であろうとも、一流の弁護士は、絶対に勉強の手を緩めません。むしろ誰よりも新たな事項について勉強します。

では、勉強をすることの見返りは何なのでしょうか? それは「経験の価値を極大化できる」こと。これに尽きます。

これに近い名言として「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というものがあります。要は、自分の経験だけですべて学べると思うなよ、ということです。

もちろん、人によって経験できる量そのものは異なります。多い人もいれば少ない人もいますので、多くのことを経験できるよう心掛けるべきなのは言うまでもありません。

ただ、いくらハッスルして仕事をしたとしても、人の10倍の経験を「自分自身が」することはできません。1日24時間は皆平等、変えようのないことです。

しかし、勉強することで、その経験の価値を極大化することなら可能です。それは、あるときには過去の成功者の体験談を通し追体験することかもしれませんし、あるときには体系的理論において自分が経験した事象をうまく位置づけることかもしれません。

すなわち他人の経験、思考を借用し疑似体験することで、自らの経験から学習するスピードを速めることができる、ということです。

わかりやすいように単純な例を挙げれば、経理の仕事で「現金を出したら貸方に入れ、借方には相手の費用を入れる」ということを経験し、覚えたとしましょう。

これだけでは、極端な話、「手形を出したらどうする」「債権を出したらどうする」となったら応用が利かず、いちいちすべて覚えなければなりません。

<自分は「使えない」人間だと自覚すべき>

しかし、複式簿記の考え方を勉強し理解していれば、もう少し抽象的なレベルで「資産が出ていって費用化した場合には借方にあったその資産を貸方に入れ、借方に費用項目を入れる」ということを理解できるわけです。

理解していれば、出すものが現金でなく手形であろうと、債権であろうと、応用して仕訳を行うことができます。

こうして背後にある理論を勉強し理解しておくことで、経験をそしゃくする「応用力」が身に付き、経験の価値を最大化して学習スピードを上げることができるのです。

このように、社会人になってからの勉強は疑いようもなく必要ですが、人が勉強の必要性を痛感するのは、自分の至らなさ、未熟さを感じたときです。そのときに初めて勉強が必要であることがわかるものです。

自分の至らなさ、未熟さを痛感するためには、まずは仕事に打ち込むことしかありません。「俺はまだ本気出してないだけ」なんていつかの邦画のタイトルみたいなことを言ってはダメですよ。

まずはしっかり仕事に打ち込んで自分の「使えなさ」を自覚してください。勉強は、その後でも十分間に合います。

実際に勉強を始めてみると、自分が仕事から学ぶことが多くなる、仕事の覚えが速くなることを感じるはずです。

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