スーパーでの買い物

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あなたは、スーパーでのショッピングは大好きですか?筆者は、スーパーで真新しい食品を見つけるとすぐに試してみたくなります。大きなスーパーに行くといろいろ見ながら買い物をするので、つい長居してしまうことも。

英ニューカッスルに住むキャサリン・ヴェロさんのお母さんも、スーパーでの買い物が大好きでした。ところが認知症を患って以来、あんなに大好きだった買い物へ行くことがとても困難なことに変わってしまいました。

「母を連れて買い物に出ることで困難とストレスがあった」

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キャサリンさんは、これまでお母さんが大好きだったという買い物になるべく連れて出るようにしてきました。認知症を患っているからといって、社会から遮断した生活をお母さんに送って欲しくないという気持ちがあったからです。

85万人の認知症を抱える英国

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調査によると、イギリスには現在約85万人の認知症患者がいるそう。そして10人のうち、8人は買い物に出ることが好きだったということが判明しています。ところが認知症と診断されると、4人のうち1人は買い物に出るのを諦めてしまう患者も…。

もちろん、その背景には認知症のレベルによって、買い物に出すと危険というケースもありますが、付き添い人と一緒だとしても今までのようには外に出辛くなり、好きでしていた唯一のアクティビティの買い物からも遠ざかってしまうというケースが多いのだそう。

母の死後、キャサリンさんはあるキャンペーンを実行

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キャサリンさんは、お母さんの死後あるアイデアを思いつきました。それは「スローショッピング」。その名の通り「ゆっくりと買い物をすること」。つまり、1週間に1度、そして限られた数時間だけでも高齢者や障がい者の人たちのために、スーパー側が「彼らがゆっくりと買い物できる時間」を提供することによって、ストレスや困難の軽減に繋がるのではと考え付いたのです。

健常者にはわからない大変さ

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筆者もよく見かけますが、スーパーの通路が狭いと障がい者の人が乗る電子車椅子と家族用の大きなショッピングカートを押した人たちがぶつかりそうになるという光景。互いに譲り合うものの、やはり障がい者の方はストレスを感じていることもあるのではないでしょうか。

スムーズに買い物できるスペースがあるスーパーは別ですが、手に届かない上段にある品物を取ってもらうという行為一つでも、周りにスタッフがいなければますスタッフを探すことから始めなければいけません。付添人がいなければ、毎回の買い物には時間がかかってしまうことでしょう。

大手スーパーSainsbury'sがしたこととは…

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そこで、キャサリンさんのアイデアを基に大手スーパーマーケットのSainsbury's(セインズベリーズ)が、この企画を実施することに。ニューカッスルにあるゴスフォースという街では毎週火曜日の午後1時~3時までの間、高齢者や障がいを持つ人達のための「スローショッピング」の時間を設けました。

この時間の間は、希望であればスーパーのスタッフがアシスタントとして一緒に店内を回り買い物をヘルプするという仕組みになっているそう。また、レーンの端々には椅子が置かれ、疲れたりした時にちょっと休憩できるようにとの心遣いも用意しているのだとか。

ストレスを感じずに楽しくショッピングをしてもらえるようにと、店内のカスタマーサービスには、ビスケットやケーキなど試食用のサンプルも用意。

ゴスホース店の店長は、「私も、父ががんになった時に、買い物に行かせて気をしっかり持たせようという気持ちになりました。でも、実際のところは難しかったんです。今回、キャサリンさんがこのアイデアを話してくれたことで、是非、協力したいと思いました」とコメント。

コミュニティとの助け合いで優しい社会を…

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キャサリンさんは「今回、自分のアイデアを受け入れてもらって本当に嬉しい。もっと他の支店でもこのキャンペーンが取り入れられれば」と話しています。

誰かのふとした思いつきであっても、それは社会の在り方を大きく変えることに繋がる可能性も含んでいます。認知症の介護をしている人にとっては、記憶が日々前後する患者になんとかして過去に遡らないようにと、日常、刺激のある生活を求めている人が多いようですが、なかなか、そうした刺激がある場に患者を連れて行くことが困難だという状況の人もいます。

買い物が好きだった患者に、せめて楽しかった記憶を呼び起こしてもらおうと介護をしている人たちも一生懸命。そんな人の訴えを受け入れる社会ができることで、認知症や障がいを持つ人たちが少しでもストレス軽減になっていけば、患者本人のいい心のリハビリにもなるのではないでしょうか。

このセインズベリーズの企画は、とてもいいと筆者は思います。以前にも英国で「自閉症の人たちのための静かな買い物時間」を設けたスーパーも紹介しました。

健常者と障がい者の壁をなるべくなくそうという試みが、小さいながらも少しずつ行われているイギリス。こうした活動がもっと増えていくことで、健常者の障がい者や自閉症の人たちに対する認識も変わっていくのではないでしょうか。是非、そうなってほしいと強く願う筆者です。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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