記事提供:LITALICO 発達ナビ

日本の夏の風物詩とも言える「24時間テレビ」。みなさんは、障害者に関する企画をどうお考えですか?私は障害者を使って涙や感動を押し売りしているように見えてしまい、障害児を持つ親として少し違和感を感じています。

障害のある人を、テレビで描くとき。その演出に違和感を持つ

こんにちは。『〈マンガとQ&Aで楽しくわかる〉1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』著者の立石美津子です。

毎年、8月末に放送される日本テレビの「24時間テレビ」、もはや夏の風物詩ですね。障害のある人が出演して歌やスポーツに挑戦する企画も視聴者の感動を呼ぶ恒例のプログラムとなっているようです。

一方今年は、NHKの「バリバラ」という番組が、24時間テレビの裏で「障害者を描くのに感動は必要なのか?」というやや挑戦的な企画を放送するようです。発達ナビでもQ&Aコーナーで2つの番組に対する意見が盛り上がっていますね。

自閉症児の母親として、私自身が思うところを語るとともに、そもそも障害者が24時間テレビで紹介される度に論争が巻き起こるのはどうしてなのかを、考えていきたいと思います。

24時間テレビという「特別番組」で障害者が取り上げられるということ

24時間テレビのような、誰もが知る有名番組で障害者の姿が描かれることには、もちろん意義もあるでしょう。こうした放送を見て、初めて障害者の生活を知る人もいるでしょうし、有名タレントが呼びかけることにより、相当の募金も集まります。

また、出演している障害者やその家族の方は、好奇の目にさらされることも覚悟で、「広く障害や病気のことを世間に知ってほしい」と思って出演しているのでしょう。

でも、実際に放送される内容を見ると、障害者が必死に汗を流しみんなの助けを借りて富士山を登ったり、ダウン症の子がアイドルと一緒に歌って踊ったり…「頑張っている障害者」の姿を強調したような企画に偏っているように思います。

なんだか私には、「障害者の頑張りを見て、皆さん、感動してください」と番組側が視聴者に押し付けている感じがしてしまいます。

もちろん、民放が流している番組なので、連ドラ、お笑い番組、クイズ番組と同種のエンターテイメントの一つととらえれば、好きも嫌いも人それぞれ。番組の内容に良い悪いもなく、観たい人だけが観れば良いわけです。

だけれども、年に一度の「特別番組」で急に障害者にスポットが当たったり、その番組の構成や内容に対する賛否両論が巻き起こるこの現状を見るにつけ、障害児の親としては、「まだまだ、世間にとって障害者って遠いんだなぁ…」と感じざるを得ません。

障害者にも、その家族にも、いろんな人がいて当たり前

障害者がテレビを通して、良くも悪くも特別扱いされる現状では、障害者個人やその家族に対しても、ステレオタイプのイメージが押し付けられがちです。

例えばダウン症児を見て「こういう子たちは優しくて天使だ」と言う人がよくいますが、ダウン症の人だって一人の人間、優しい人もいれば意地悪な人もいます。性格が穏やかな人もいれば、激しい人もいます。

「自閉症の人には特別な秀でた才能があるんでしょう。そこを伸ばしたらどうですか。」とよく言われたりもします。療育施設のスタッフから「必ず伸びる、成長する、発達する、隠れた才能があるに違いない」という期待をかけられたりすることもあります。

これを聞いた親は「わが子はギフテッドチャイルドに違いない」と信じ続け、必死に療育や教育をするかもしれません。けれども、そんな才能が無い人だっているのです。伸びなくたって可愛いかけがえのない子、存在しているだけで十分ではないでしょうか。

また、「障害者は頑張っていて、その周りの家族が賢明に支えている」というイメージが持たれがちですが、実際は障害者だって頑張らない人もいます。支えられない家族もいます。

子どもの心臓病の治療費一億円を集めるために募金を募る親もいれば、子どもの病気を苦に親子無理心中する人、虐待する親、障害児が生まれて離婚して出て行ってしまう母親もいます。

障害者やその家族だって人間ですから、色んな人がいます。ところがこの番組は「障害者はこういう人だ」と美化し過ぎていて、障害者の負の部分を見せていない構成に感じます。そこを放送しないことに偏りを感じてしまうのです。

日常生活のなかでこそ、障害者の姿に目を向けて

年に一回の特番で、障害者の頑張りを見て応援し、涙する。そのこと自体は否定しませんが、こんなお祭り騒ぎをわざわざしなくても、普段、私たちが暮らす地域の中で、障害者と出会い、手を差し伸べる機会はいくらでもあります。

例えば近所の公園で、いつもウロウロしている自閉症の人と出会った時にどうするか。すぐに「不審者だ」と通報する人もいるかもしれませんが、大きなトラブルにならない限りは、ゆっくり見守る姿勢も持ってもらえると嬉しいです。

もちろん、障害者にも色んな人がいるように、障害のない人の考えや反応も人それぞれあって当然です。触れ合ってみて、自分との環境や考えの違いを知り、「面白いな」と感じる人もいれば、「自分と違って、ちょっと怖いな」と感じる人もいるでしょう。

でも少なくとも、1対1で関わってみれば、テレビの特番では描かれていなかった様々な側面があることに気づくことができます。

そうした関わりのなかで、憐みや同情などの上から目線ではなく、対等の人間として障害者と接するようになっていく。お互いに困ったことがあれば、チャリティーではなく日常の営みとして支え合う。

そんな人が、これからもっと増えてくれれば良いなと思います。

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