初めての出産を終え、退院した日のこと。

当時、夫は仕事が多忙で、不在がちだったため、しばらくの間、私と赤ちゃんは実家で過ごすことになりました。実家に移り、荷物を片づけて一息つき…ベビーベッドですやすや眠るわが子を見ていたら、なぜか涙が。

「どんなことがあっても私がこの子を守る!」と決意する一方で、とても不安だったのです。先生や助産師さんはもう、そばにいません(私は高校生の頃に母を亡くしてるので、心細かったのです)。

しっかり子どもを育てられるのか…という不安と「責任」という言葉が心に重くのしかかる。そんな私の不安な思いを知らずに、天使のように眠るわが子を見ていたら涙がこぼれました。そうです。このとき、この子は確実に天使でした。

里帰りの実家で生活を始めて2、3日経った頃のこと。その日の昼間、わが子はぐっすりおねんね。寝ている間は、自分の用事を済ますことができるので、ずっと寝てくれていれば楽だな~と思いました。しかし、それが甘かった。その日の夜、この子は眠らなかったのです。この日を境に私の昼夜逆転生活がスタート…。

抱っこしていれば静かなのですが、うとうとし始めたのを見計らい、ベッドに寝かせようとしたとたんに…大泣き。結局、夜中じゅう、抱っこし続けなければならない状況に。はじめは、すぐに元の生活リズムに戻るだろうと思っていましたが、そんなことはなく、私はどんどん追い詰められる一方。

さすがに、寝不足が続くとイライラします。明け方にようやく子どもを寝かしつけ、自分もベッドに横になったタイミングで、父が「仕事に言ってくる」と言おうものなら、「いちいち起こさないで!」と言い返し、父が夜中にトイレで起きれば「音を立てないで!」と怒り…。

優しい言葉も返せず、怒ってばかりの自分にも嫌気が。

そのころのわが子は「昼間」は本当によく眠る子。すると、父はよく寝るいい子だといいました。夜になるとこの天使は、ぎゃん泣きモンスターになるともしらずに。私は夜中、子どもと二人きりの部屋にいるのがつらくなりました。「また今夜も眠れない」と思うと、夜が来るのがとても怖かったのです。

ある日の夜。赤ちゃんは満腹になれば眠るものだと思いつき、哺乳瓶いっぱいにミルクを作って飲ませていました。半ば無理やり…。しばらくすると、子どもは飲んだミルクを噴水のようにすべて吐き出し、また大声で泣き始めました。

ベビー布団はミルクでぐちゃぐちゃ。私ももう限界…抱っこしたまま、子どもと一緒に大泣き。するとその日、実家に来て隣の部屋で寝ていた夫が起きてきました。

そして、私の腕から子どもを受け取ると、抱っこしてあやしてくれました。不思議なことに、しばらくすると子どもはぴたりと泣きやみ、すやすや…。

夫は子どもを静かにベッドにおろして、寝かしつけてくれました。そして「次はママの番」と言い、私を抱きしめてくれました。暖かい腕に包み込まれたら、気持ちがほぐれて心があたたかくなると同時に、大切なことに気づいたのです。

私には「この余裕」が足りなかったのだと。いつもピリピリとしていたその気持ちが、きっと子どもにも伝わっていたのでしょう。もっとゆったりとした気持ちで子どもと接すればよかったのだと、その日、夫から教わった気がします。

著者:ささきあい
年齢:27歳
子どもの年齢:3歳、0歳

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。

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