記事提供:長谷川豊 公式ブログ

女優の高畑淳子さんの会見。

なんであの時間に?そもそも、記者会見を何で母親が?

それ以上に気になるのが…ちゃんと被害者の方に『会見していいですか?』って聞いたのかなぁ…。

など、いろいろ言いたいこともありますが、それ以上に今ネット上で話題となり問題となっていることがあります。

それが『グッディ』や『ミヤネ屋』さんのリポーターが質問した「息子の性癖について」の話です。こちらでも取り上げられています。

高畑淳子謝罪会見、裕太容疑者の“性癖”を詰問したフジテレビ『グッディ!』大村正樹アナに非難轟々(日刊サイゾー)

これは世間で言われている非難の声は当然理解できます。

そして、その非難が起こることもすべて踏まえた上で…もし私があの場にいたら…私も同じ質問を確実にしています。

繰り返しますが、こうやって非難されることを分かった上で、です。みなさま、少しだけリポーターという職業を…実際に14年間していた私の経験談にお付き合いください。

「お前が相手の答えを勝手に決めつけるな!」

私は朝の情報番組で10年半。その後、NYからの中継を2年間。新人時代に8か月間ニュースでリポーター生活を送っていました。

リポーターという仕事は過酷ですが楽しい。ニュースの現場に立ち会える喜びは他の何事にも代えられないほどのやりがいと刺激を感じられるものでした。

もちろん、時にはつらい現場にも立ち会うことになります。

息子さんを無くしたばかりの父親にマイクを向けたときは胸が張り裂けそうになりました。自分がこの相手の立ち場だったら辛いだろうなぁ…。

でも、その場で私が遠慮したり、変に同情したら、その場で実際に起きた「悲劇」はニュースとして全く伝わりません。

被害者のご遺族たちは「少しでも自分と同じように悲しい思いをする方々を減らしたい」と願っている方がほとんどでしたから、私たちの仕事は「伝えること」だと割り切るしかありませんでした。

その過程で…辛い、もう一度ご遺族を傷つけてしまう質問も浴びせなければいけませんでしたが、それを同情するのは視聴者の方に任せるしかありません。私たちは「伝達者」なのだ、と腹をくくっていたものです。

そんな中、厳しく上司から叱責を受けたことがありました。

私があるレイプ事件の取材に行っていた時です。

私たち取材班は他局に先駆けて、加害者男性の親族にたどり着きました。その段階で独占のインタビューです。私はいくつもの質問をしました。すると横から先輩ディレクターが執拗に、

「容疑者の男性の性癖に気付くことはなかったか?」

と聞くのです。

私は疑問を感じました。

一緒に住んでいる肉親であればまだ分かりますが、親族です。いくらなんでもいい歳の若者が自分の性癖を親族に見せるでしょうか?

しかし、次の瞬間、その親族は信じられないコメントをしたのです。

「実はあいつは…我々親族の中でも心配になることがあったんだ。昔からアニメの女の子のポスターを破ったり、顔の部分を執拗に引き裂いたりして…それで嬉しそうな顔をしてた。我々も、少し『あいつ、ああやって喜んでるんとちがうか?』と話題にしたこともあったんです」

これは重要なスクープとなりました。

性的サディズムは生まれつきの性癖です。どこかしらにそのサインが出るときは…実は少なくありません。なんと、そのレイプ犯はアニメのポスターに自分の歪んだ性を吐き出し続け、ついに一線を越えて少女に対して犯行に及んでいたのでした。

取材が終わって、私はその先輩ディレクターにかなりきつい口調で叱責されました。

「なんであそこで性癖についての質問が出来なかったか?」

私はいくらなんでも親族に自分の性癖は教えていないはずだ、と考えた、と答えました。するとその先輩ディレクターは私を怒鳴りつけてきました。

「それはただのオマエの想像だろう!相手の質問に対する答えを、オマエが勝手に決めつけるな!」

言葉を失いました。確かに、と。

そこに「異常」な事件は確かに起きているのです。私の想像の範囲では起こりえないことがすでに起きているのです。

否定され「何も分からない」と答えられることが当然であっても、1万分の1の可能性で何らかの答えが得られる可能性はあるのであれば、それは私たちが聞かなければいけない質問だったのです。

俺たちにしかマイクは向けられない!

そのディレクターとは夜、取材を終えて飲みに行きました。その時に語ってくれた言葉は私にとってとても大切なものとなりました。まだ私が入社2、3年目のころの話です。

「長谷川な、お前の気持ちはよく分かる。でもな、あの現場に、あの取材対象に…日本全国の視聴者が全員話を聞きに行けるのか?行けるわけないだろ。俺らはその権利を与えられている。事件現場に行けるのなんてごくわずかな人間なんだ。そのごくわずかな人間のお前が質問をしなきゃあ、視聴者は永遠に、その解答を得られないんだよ。チャンスを失うんだよ。お前はそういう立場にあるんだから、嫌われてでも聞くところは聞かなきゃいけない」

キー局でも、私が所属していた番組は視聴率がダントツの1番の番組でした。私が出ていた8時台の視聴率は高ければ15%くらい行くこともざらにあった時代です。テレビの前には、概算で1800万人もの方々が視聴している可能性も否定できません。

もし私がひるんで質問をしなければ、それだけの数の人たちの「知る権利」が失われます。私が嫌われる、とか怒られる、は忘れろ!と叱られました。そして、その内容は私も納得できることでした。

冒頭で少し触れた通りで、私個人の印象としては、今回の件で高畑淳子さんがあの時間帯に記者会見を開く必要まであったのかは…少々疑問である部分はありますが、それでも、あの場において「質問をするチャンス」はリポーターをはじめあの場にいる人間しかできないことです。

で、あればどれだけ非難をされたとしても「必要な質問」はするべきだと考えます。

今回の高畑容疑者の許されないレイプ事件は、彼の供述によれば、

「性欲が抑えられなかった」

ということ。警察がこういう時にウソを発表するとは考えられません。と、言うことは高畑容疑者は警察に今回の事件を起こした理由として、

「自らの性欲」

が原因だと話していると想定できます。

性欲は普通の人は抑えるものです。

それを押さえられなかった。しかも、芸能界の多くの場で、高畑容疑者の「異常な性欲の高さ」を目にした目撃談などが報じられ始めていました。

つまり、今回の許されざるレイプ事件の根底の一つに「高畑容疑者の異常ともいえる性欲(性癖)」が挙げられることは…残念ながら明らかです。

で、あればタイトルにある通りで、もし私があの場にいた場合…私もあの質問はしていると思います。

結果、高畑淳子さんは「何も知らなかった」だけで、その解答を勝手に私が決めるわけにはいきません。1万分の1の確率で何かを知っている可能性があるためです。

リポーターとは、世間から叱責されることを受け入れている仕事

では、今回の多数のお叱りを、今回あの場で質問したリポーターたちはどのように聞いているのでしょうか。

これは私の想像でしかありませんが…黙って受け入れていると思います。

あの時に質問したフジテレビグッディのリポーターも読売テレビのミヤネ屋のリポーターも、私よりも多数の現場を踏んできている大ベテランの人物です。

人間として決して礼を失した人物ではありません。現場のスタッフも、彼らのことは全幅の信頼を寄せている二人です。

恐らく、あの二人であれば、心の中で高畑淳子さんには頭を下げながら質問したのだと思います。

でも、繰り返しますが、今回の事件は「高畑容疑者の性欲」が大きな原因となっている以上…あの場で聞かない訳にはいかない質問です。生中継されている以上…こうやってバッシングを受けることも理解したうえでの質問でしょう。

私が現場にいても同じことをしていたと思います。

ただ、もちろん世間の皆様がこうやって嫌な気分になり、バッシングをするお気持ちも重々分かります。当然だと思います。私も最初の頃、よく慣れずにディレクターと衝突していました。「かわいそうだ!」と。

皆さんはそのままでいいと思います。当然のお気持ちだと思います。実際に極めて悪質な質問を執拗に投げかける取材陣も少なくないからです。

ただ、今回に関しては、私もよく知る、尊敬できるリポーターの方だったので、悪意を持ってした質問などではないことは私が保証します。そこは私を信じてください。

難しいですよね。取材は。その時々によってすべて変わりますし。

誠意を持って現場に当たるしかない、と私は思っていますが…未だに正解など見つけられない日々は続いています。

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス