カイロの郊外のある街に、およそ50棟の建物を使って描き出された素晴らしい壁画が誕生しました!ストリートアーティストによって生み出されたその光景には、この地域と人々の平和を願う心が込められています。

エジプトの首都・カイロの郊外に生まれたアート

そのイラスト(壁画)があるのはエジプトの首都・カイロの郊外です。遠くから眺めると全体像が見え、円を描いているのがわかります。

アナモフィックアート

人間の錯視効果を利用して立体を平面に(あるいは平面を立体に)見せる技法は「アナモフィック」と呼ばれており、カイロに現れたデザインは街を利用した巨大なアナモフィックアートと言えます。

eL Seed(エル・シード)/ストリートアーティスト

この地域ぐるみの壮大なプロジェクトを発案したのはチュニジア系フランス人のストリートアーティスト「エル・シード」氏です。

エル・シード氏はアラビア語を使って作品を作っており、彼の作風は「カリグラフィティ(calligraffiti)」というジャンルだとされています。音楽のように「意味が分からなくても感じ取れる」絵で「希望」や「平和」を表現してきました。ストリートアートというと雑な壁の落書きを連想する人も多いと思いますが、エル・シード氏の作品の高い芸術性はメディアにも取り上げられ、大きなビルにも使用されています。

地域への偏見に向き合う

この町にはムスリム(イスラム教)の国では少数派のコプト教徒の人々が住んでおり(コプトコミュニティ)、長い間市内のゴミ収集で生計を立て、効率的で収益性の高いリサイクルシステムを開発してきました。そのシステムはとても素晴らしいのですが、別の地域の人々や何も知らない人々からは「汚い場所」という偏見を持たれていたそうです。

この社会問題に光を当てようと立ち上がったのがエル・シード氏だったのです。

このプロジェクトのデザインの基となったのは、4世紀のエジプトのアレクサンドリア大主教・アタナシオスによる『陽の光をはっきりと見たいならば、まず己の眼を浄めよ』という意味の言葉です。
※「Anyone who wants to see the sunlight clearly needs to wipe his eye first.」(英)

偏見を捨て、まっすぐに人と人が向き合えるように…という祈りを感じます。

圧巻のデザイン!

遠目には平面のような円でしたが、こうしてみるとかなり奥行きがあります!およそ50棟のビルにデザインが描かれたそうですが、どう計算したらこうなるのか…すごいです!

デザイン案を出すために写真、スケッチ、Photoshopなどが駆使されたそうです。そしてもちろんエル・シード氏ひとりの力では完成できないため、プロジェクトチームや現地の人々の協力がありました。

出典 https://www.youtube.com

別アングルより。奥へ奥へと続いているのがわかります。そして、この絵画がなかったら町がレンガ色(砂色)一色だったのも感じられます。

平和のプロジェクト

出典 https://www.instagram.com

この素晴らしいアナモフィック壁画は、コプト教会のあるMoqattam山の頂上から街を見渡したときに完全な円として映ります。エル・シード氏の「平和のプロジェクト」はこの地域に住む人々だけでなく、それまでこの地域に無関心だった人々の心にも、ひとつの光を当てたのではないでしょうか。

エル・シード氏はこれからも世界の様々な場所で、その素晴らしいデザインで地域や人の心に光を当てていくことでしょう!今後のご活躍を祈ります。

エル・シード氏の公演動画

出典 YouTube

このプロジェクトに関するエル・シード氏の公演動画です。英語ですが興味がある方はぜひご覧ください。

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