記事提供:キングコング西野 オフィシャルダイアリー

既存の枠からハミ出している人、これからハミ出そうとする人を徹底的に肯定し、応援し、「だったら、こう戦った方がいいよ」ということを書いた新刊『魔法のコンパス~道なき道の歩き方~』の評判が上々で、既存の枠をハミだそうとするニッチな層に向けて書いた本なのに売れ行きも好調で、出版社がニヤけているらしい。

発売3日後には重版が決定して、現在、Amazonや楽天ブックスでは在庫が切れているので、お求めの方は僕の友人がやっている『スタンダードブックストア心斎橋店』に電話してみてくださいな。

配送サービスもされております。

スタンダードブックストア心斎橋店 06‐6484‐2239

(※9月14日には僕のトークショーもあるので、合わせて是非)

さて、今日は、今回の本に少し関係のある話をば。

新刊『魔法のコンパス ~道なき道の歩き方~』を出版した直後、この本を読んでくださった本屋さんの店主から、こんな質問をいただきました。

「西野さんが本屋を開くなら、どんな店にしますか?」

とても面白い質問だと思ったので、今日はこのことについてお話します。

当然、僕自身、今現在、本屋さんを経営しているわけではないので、あくまで『外野の意見』、「素人がギャースカ言っとるわ」ぐらいに捉えておいてください。

いろんな本屋さんを巡っていて、「もったいないなぁ」と思うことが2つあります。

僕が本屋さんを開くなら、そこを改善します。

《魔法のコンパス》

~僕が本屋さんを開くなら①~

本棚を減らして、体験を増やす。

書籍『魔法のコンパス ~道なき道の歩き方~』で僕は、こう綴っています。

「作品の生存率を上げるなら、おみやげ化すべき」

様々なエンタメがスマホでゼロ円で楽しめるようになった時代。

人がわざわざお金を出してモノを買う理由は、「生きていく上で、必要か、必要でないか」、その部分がこれまで以上に強くなりました。

お米は必要だから買いますし、牛乳は必要だから買いますし、

少々高くても、エアコンは必要だから買いますし、

CDはYouTubeで聴けるから買いませんし、握手券付きCDは必要だから買います。

これは別に今はじまった話ではありませんね。

90年代のCDは、楽曲の素晴らしさは言うまでもなく、ついでに言うとインテリアとしても機能していて、「オシャレな自分」を演出する為に必要で、CDを買うまでの距離が近かったのです。

今では考えられませんが、CDがズラーッと埋まっているCDラックがある部屋が『オシャレ』だったのです。

つまり、いつの世も至極当たり前のことですが、我々は『必要なモノ』を買っていて、必要なモノ枠がスマホの登場で少し狭まったと考えていいと思います。

しかし、悲観的になる必要は1ミリもなくて、スマホである程度のことが片付いてしまう分、スマホでは再現できないモノに余計に価値が出てきます。

『体験』です。

音楽で言えば、CDではライブ。

「CDは買わなくてもライブに行く」という人が、90年代に比べて確実に増えています。

そして、ライブに行くと、普段、あれだけモノを買うのに渋っている自分が、ホイホイとライブグッズを買ったりしています。

ライブの満足度が高ければ高いほど、買ってしまいます。

演劇を観に行った時もそうです。

本屋さんで本を買うときは、「この本、本当に面白いのかなぁ」と懐疑的なのに比べ、劇場ロビーで販売している『2~3000円なのにペラッペラのパンフレット』には、ついつい手が伸びてしまいます。

シンガポールに行った時のマーライオンの置物も、

宮島に行った時のペナントも、なんか買ってしまいます。

人は『作品』にはお金は出さないけれど、『おみやげ』(グッズ)には、なんかお金を出しちゃいます。

そういえば、時代が変わっても『おみやげ屋さんは』ずっと生き残っています。

このことが不思議で、ずっと考えていたら、ある時、気がつきました。

そうか、おみやげは思い出を残す為に、『必要』なんだ!!

感動したライブや、恋人と行ったシンガポール、親友と喧嘩をしてしまった宮島…それらの思い出を残して、いつでも思い出せる装置としての『おみやげ』。

『おみやげ』は作品のフリをしておいて、その実、カテゴリーとしては、お米や、牛乳や、エアコンと同じ、『生活必需品』だったのです。

そして、『おみやげ』に必要なのは、その前の『体験』です。ライブだったり、演劇だったり、シンガポールだったり、宮島だったり。

ここからが面白い話です。

今、人は『体験』を求めていて、だから『おみやげ』には、どんどん価値が出てきています。

んでもって、この『体験』と『おみやげ』の両方を兼ね備えているのが、何を隠そう本屋さんです。

電子書籍は『体験』を提供することができないので、(まぁ生き残る文化だとは思いますが)マネタイズの方法としては先細りで、YouTubeのようにゼロ円化になると思います。

ていうか、ゼロ円化しないと、生き残っていけないと思います。

今、どう考えたって、本屋さんの時代なのですが、町の本屋さんはバッタバッタと倒れていっています。

そりゃそうです。

本を『作品』として売っているんだもん。

作品として買うなら、それこそ電子書籍で十分です。かさばらないし、安いし。

モノとして買うとしても、Amazonに頼んだ方が、早いし、確実です。

では、なぜ、それでも本屋さんに足を運ぶかというと、その理由の一つとして、本屋に『宝探し』的な要素が含まれているからだと思います。

「この本に、めぐりあえた」といった。

つまり体験です。

今、人は体験に流れています。

そして、体験の満足度が高ければ高いほど、人は、それを思い出として残しておきたいから、おみやげを買うまでの距離が近くなります。

先日、『西野亮廣独演会』という僕の単独公演がありました。

終演後の物販ブースでは、新刊『魔法のコンパス』が1000冊売れました(実際は960冊なので、少し盛ってます)。

ライブの中で、新刊『魔法のコンパス』について、延々と喋ったかというと、そうでもなくて、じゃあ、どうして、それだけのお客様が終演後に新刊に手を伸ばしてくださったかというと、その理由は『体験の満足度』に他なりません。

で、結論です。

僕が本屋さんを開くなら、品揃えはAmazonにとっとと白旗をあげて、Amazonが提供できない部分で勝負します。

新刊の販売促進の為の『出版記念トークショー』は、どこの本屋さんも、机をガーッと動かして、無理矢理スペースを作って、頼りない音響設備と、エンタメする気がまるでない蛍光灯の下、おこなわれます。

いやいや、その『体験部分』こそが今、一番力を入らなくちゃいけないところで、僕が本屋さんなら、本棚を減らして面積を確保して、小さくてもキチンと設備が整ったステージを作って、トークショーの満足度をあげます。

そして、「あの店でトークショーをしたら本が売れる」と作家さんに思ってもらうように働きかけます。

書いていたら、ものすごく長くなってしまったので、続きはまた今度。

9月14日に大阪のスタンダードブックストア心斎橋店でトークショーがあるのですが、そこの店主にも、前々から「絶対にステージを作った方がイイ!」と無責任なことを言っているのでした。

当日は、そんな話になるかもしれませんね。

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