記事提供:Conobie

家族になる、ってなんだろう。NICUに入院した赤ちゃんのきょうだいが教えてくれた、いろんな家族のかたち。

NICU(新生児集中治療室)に入院している赤ちゃんたちの中には、きょうだいがいる子も、たくさんいます。

けれども、日本はNICUを含め、まだ病院での「きょうだいの面会」が充実しているとはいえない環境です。

(私はとても大切なことだと思っているのですが…)

そのため、両親から「妹(弟)ができたのよ」と聞いても、実際には窓越しに時折しか赤ちゃんに逢えない(あるいはそれもなかなか叶わないことが多い)お兄ちゃんやお姉ちゃんも、少なくありません。

きょうの診察室:兄になる

NICUで出逢った赤ちゃんのひとり、Kちゃん。

Kちゃんには、5歳くらい歳の離れたお兄ちゃんがいます。

そんなKちゃんは、低体重で生まれ、誕生後からしばらくNICUで過ごしましたが、いろいろなことを乗り越え、先日やっと退院が決まりました。

喜びと不安な気持ちが入り混じったご両親が、「退院のときには、お兄ちゃんも来てもいいですか」と尋ねます。

わたしは、「もちろん、ぜひそうしてください」とお伝えしました。

そして、待ちに待った退院の日。

ご両親と一緒に、お兄ちゃんも迎えにきてくれました。

NICUから出てきたKちゃんに、わっ、と駆けよるお兄ちゃん。

「Kちゃん、いっしょに、かえるんだよ!いいこだねー、いいこだねー」

そう言いながら、いっぱい赤ちゃんを撫でます。

かと思うと、先頭をきって廊下を歩いていき、「きょうはおうちに、連れて帰るんだよ!」とみんなを先導。

そんなお兄ちゃんを見て、お父さんやお母さんはちょっとハラハラしながらも、嬉しそうな顔をしています。

毎日逢うことができなくても、触れることがかなわなくても。

もうその子はしっかり「お兄ちゃん」になっていたのです。

「家族になる」ということ

この赤ちゃんとお兄ちゃんのように、出生直後からずっとは一緒にいられないご家族。

事情があって、離れて住むことで折り合いをつけるご家族。

おじいちゃんおばあちゃんが、主に育児をしているご家族。

あるいは親御さんが病気で入院していて、子どもが時々の面会を楽しみにしているご家族。

小児科医をしていると、本当にいろんな家族のかたちに出逢います。

どのご家族もいろんな葛藤があって、うまくいくこともいかないこともある。

自分を責めたり、家族の誰かを責めたり、境遇を責めたりすることも、時々ある。

でもいっぱい迷いながら、それぞれ違った形の愛情が確かにそこにあるのを、感じずにはいられません。

今まで出逢った多くのご家族は、家族にはいろんな絆の築きかたがあることや、親子・きょうだいのつながりかたがあることを、わたしに教えてくれました。

家族のかたちに、正解はない。

多様な個々がどう共存し、生かし合うかは、現代のチャレンジの一つです。

個人にとどまらず、多様な「家族」のかたちが、それぞれ輝ける世の中でありますように。

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