記事提供:長谷川豊 公式ブログ

昨日、こちらのコラムを書きまして「貧困」=「悪いこと」と断言しているNHKの姿勢に対して「そう決めつけるものでもないのではないか?」と指摘させていただきました。

すると…。

様々なコメントを頂戴しまして、いつも通り私にコラムの下記部分「コメント欄」にすべて反映させていただいているのですが…(興味のある方はご一読を)。

「貧困が武器になるのは、最低限の生活レベルが担保されている場合に限られます」

「中国では貧困がひどく、確かにみんなそこから這い上がろうと目がギラギラしてますが、日本をそういう社会にしたいですか?」

「貧困な生活は恵まれた環境だとよ。なら海外のスラム街に言って、そこで生活している貧乏人達に同じ台詞を言ってみろ。バーカ」

まぁ、ラストのはちょっと面白いのでほっとくとして、何通ものメッセージを頂きました。で、興味深いのがハンドルネーム「くろたま」さんから頂いたこちらなのですが…。

「貴方の言う貧困とは?

ファミコンを買ってもらえないのは貧困ですか?

学費がなくて大学に行けないのは貧困ですか?

学費がなくて高校に行けないのは貧困ですか?

水道代が払えないので、毎日風呂に入れないのは貧困ですか?

給食費を払えないのは貧困ですか?

1日三食食べられないのは貧困ですか?

貴方の言う貧困は、「貧しくて困る」レベルではないと思うんですが、貴方も貧困を論じるには、経験的に少々裕福過ぎるのではないでしょうか?」

はい。

ええとですね…(汗)…これは、明確にお答えしますね。もし皆さんの中にもまだご存知じゃない方がいらっしゃるなら、ニュースの説明をもっとよく聞いてみましょう。

■「貧困」とは…ちゃんとした「定義」のある言葉です

皆さんのコメントの中に、世界的に定められた「貧困の定義」をちゃんと理解していない人が多いように見受けられました。

上記コメントのように「あなたにとっての貧困とは何なんですか?」と聞かれましても、そもそも「貧困」を勝手に長谷川が決めることはできません。数式がちゃんと決まっているからです。

私も昔、カンボジアのゴミ山で働く貧困に苦しむ子供たちの取材に行ったことがありました。21日間、ゴミ山でゴミの仕分けをして1日に5円や6円を稼ぐ学校に通うことの出来ない子供たちと寝食を共にしたことがあります。

その報告の時にもちゃんとテレビ上で説明しているのですが、他の番組ではそういう「言葉の定義」の説明をしていることが少ないのでしょうか…。

ええと…「貧困」とはですね…ちょっと難しい話にもなりますが、よく聞いておいてくださいね。

言葉の定義をしているのはOECDです。経済協力開発機構ですね。彼らの「貧困層」の定義とは「等価可処分所得の中央値の半分の金額未満の所得しかない人口」のことを指します。

はい。

何言ってるか全然わからないですよね。

えッと…「可処分所得」ってのは分かりますね。

私がいつも言っている「最も大事な数値」ですね。要は「自由に使えるお金」です。お給料を沢山もらってても、保険料だ、年金だ、税金だ、でバンバン取られてたら、自由にその額面は使えないですよね?

「自由に」「処分することが」「可能」な所得。要は「好きに使えるお金」って思っておいてください。

その可処分所得を世帯人数の平方根で割って調整して…。

…面倒くさいので、具体的な金額とともに言います(涙)。

日本の場合、ネットなどで出てくる最新のデータでは等価可処分所得の中央値は274万円なので、その半分の137万円未満の人が貧困層ということになります。

つまり、妻1人、子供2人の合計4人家族のサラリーマン世帯ならば、月給25万、年収305万円未満ならば貧困層と定義されます。

(概算で、年収305万円のうち社会保険料や税金などを差し引いた可処分所得が274万円。それを4人の平方根の2で割った数値が137万円)

少し分かりました?

要はね、日本って

「子供の貧困率が6人に一人ですぅぅ!!」

「貧困が深刻化しているんですぅぅ!」

とか、何も分かってない人たちが必死になってネットで吠えてるんですけれど、そもそも「貧困」の定義って、日本の経済状況から考えると…。

月収25万円の家庭は「貧困」のゾーンに入れられちゃってるんです。

(より詳しい内容はこちらのサイトでとてもよくまとまっています。もっと知りたい人はご一読を)

月収25万円で「貧困」なんか?って聞きたくなりますよね?

はい。そうですね。

今、盛んに叫ばれている「子供の6人に一人が貧困でぇ!」という言葉って、確かに論点もあるんですけれど、現実的には「ただの政権批判」「政権のマイナスイメージの刷り込み」に利用されちゃってるところが大きいってことを覚えておいてください。

ちなみに私はフリーになって3か月間は、3か月で収入が10万円でしたからね。子供は3人。長谷川、ゴリゴリの貧困層でした。蔦屋でDVDとか借りて家族で楽しんでましたけどね。

そして、もう一つ。

なんでこんなイメージ操作が出来ちゃうか、と言いますと…多くの日本人が「絶対的貧困」と「相対的貧困」の区別がついていないことからくる「誤解」なんです。

コメント欄を読んでいますと、どうも「貧困」と聞いて「絶対的貧困」のことを想像している人が多いようです。

「貧困」には2種類の定義があります。

恐らく、コメント欄の感情論の多くが「絶対的貧困」を考えているようです。これは生きるのすら危ぶまれる…衣食住の確保が厳しく飢餓で苦しんだりと普通に生活するのが絶望的な状態のことを指します。

私が取材したカンボジアのゴミ山の子供などもそれに当たります。義務教育を受けることが出来なかったり、識字と言って文字を読むことが出来ないような状況もそれに当たります。

もう一つは「相対的貧困」です。

多くのコメント欄でガーガー言ってる方は、これをずいぶん誤解されているようです。

これは「死に直面した状況をさすわけではなく、自分が暮らす地域での一般家庭という基準のもとに存在する定義』に当たります。

要は、日本はアベノミクスで金持ちがかなりハイパワー金持ちになりましたね。

でもデフレも進んでいますので、今や最安値の格安スマホなどは月に1980円~で持てたりします。「貧困」とか言いながら他を切り詰めれば、スマホは持てますし、SNSは出来ますし、アニメグッズも買える可能性があります。

それでも「貧困」なんです。「貧困」って言葉は「定義」が存在するので、そのゾーンに入っちゃうんです。

日本の社会保障制度やライフラインの整備状況は、世界的にも最高峰のシステムです。私はこのOECDの基準を踏まえた上で…。

日本における「貧困」は…苦しいことは確かだが、努力で乗り越えられないとまで言えるほど「世界的には」深刻な物は極めて少ない。

ことを取材の過程で知っていたので、前回のような記述になったわけですね。

中国がどうの、スラム街がどうの、と必死に言われてもねぇ…(苦笑)。そんな話してないし…。

最低レベルの生活保障は日本ではかなりなされており、そのシステムは世界中が模範にするレベルです。

それらを整えてきた行政に対するただの『レッテル貼り』は辞めた方がいいと思います。NHKのあの特集はそこを押さえていなかったので同じメディアにいる人間として指摘させていただきました。

四の五のと遠巻きに言ってる変な人たちもいるようですが、日本においては、私の前回のコラムでした指摘はそこそこ大事な指摘だと思いますよ?

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