記事提供:CIRCL

海外では銃の乱射や、ISをはじめとしたテロによる大量殺人が増えている。比較的安全だと思われていたドイツでも、ショッピングモールでの銃の乱射で9人が犠牲になり、ドイツ南部の音楽会場近くの自爆テロでは12人が重軽傷を負った(※1)。

そして、日本でも大量殺人が起きてしまった。神奈川県相模原市にある障害者施設での死傷事件では、同日中に19人が刺殺され、26人が重軽傷を負った。逮捕されたのは施設の元職員であることも、関係者に衝撃を与えた。

一度に大勢の人を殺傷する大量殺人は、連続殺人事件とは違い犯行後に逃げ延びることは難しい。近年海外で増えている自爆を前提にしたテロと大量殺人事件は、事案としては近いようにも見える。

周りを破壊し、自らも破滅するようなテロや大量殺人は、なぜ起きてしまうのだろうか。

テロ、大量殺人 くすぶり消えない社会への不満

テロや大量殺人が起きる理由を探ることで次の事件を防げるかもしれないと、各国の対テロ捜査当局は共通点を見いだそうとしている。犯行に至る経緯や背景に、共通点はあるのだろうか。

海外や日本のさまざまな大量殺人の背景には、宗教や人種差別、貧困などさまざまな問題が潜んでいる。ドイツの音楽祭近くでのシリア人の自爆テロ犯は、難民申請を却下されて自殺未遂を起こしていた(※1)。

共通するのは、社会に対する根強い不満があることだ。自分の現在の状況が思うよう打開できず、膨らむ不満をため続けている。多くの場合大量殺人犯には、前科がない。ため込んだ不満にさまざまな要因がぴたりと重なったとき、大きな事件が起きる(※2)。

大量殺人犯は正義のために殺人!?

そして目立つのは、犯行に自分なりの正義感をもっていることだ。ISが自爆テロを行うのは、イスラム過激派の理想の社会実現を阻むものを取り除こうという大義のためだ。

相模原障害者施設での死傷事件では、犯人は障害者を殺害することが正しいと考えており、衆議院議長宛てに自分の考えを記した手紙を渡そうとして議長公邸を訪れた。手紙には、国家から障害者殺傷を命じられたいという思いがつづられていた。

犯行を作戦ととらえており、自分の行為を正しいものにしたいという強い思いが感じられる(※3)。

また、2001年に大阪の大阪教育大付属池田小学校で起きた小学生無差別殺傷事件の宅間元死刑囚は、事件後の精神鑑定で当時の心境について

「国家の命令で戦争しているような感じ。自分が悪いんと違うて。戦争は国の命令やから、冷静に皆戦ってるでしょう。ああいう。びびってもせえへん。何となく終わりやなあと」

(「宅間守精神鑑定書 精神医療と刑事司法のはざまで」より)と、語ったという(※4)。

テロや大量殺人の原因 他者への依存が潜む

自分自身が納得できるような仮想の敵が社会にあると思い、自分の行為に正義があると思う身勝手な正義感には、他者に認められたい、意義のある行為だと思いこみたいという気持ちがある。

そして、殺傷行為の最終責任は自分にはなく、他者や社会に責任を取らせたいという、他者への依存の気持ちが潜んでいる

破壊願望と社会へのメッセージ

大量殺人の犯行は一見衝動的に見えるが、冷静に凶器の準備をしており、場所の選定などは極めて計画的だ。多くはその場での衝動的な犯行ではなく、数カ月準備された上で実行されている。

実行後の逃亡は重視されておらず、自爆したり、その場で射殺、逮捕されたりすることが多い。大量殺人はそれ自体が、自分の不満を社会に表明する手段であり強烈なメッセージを含んでいることが多い(※5)。

「社会が悪いので、自分が大量殺人を犯すようになったのだ」という社会全体への怒りや攻撃だ。社会を変えるためという歪んだ正義感と、他者への一方的な怒り、現状の環境や自己への破壊願望が犯行へと駆り立てるのかもしれない。

もちろんテロや大量殺人は許されない非道な行為である。しかし、社会に何も問題点が無いかというとそういう話ではないだろう。仕事の待遇ややりがい、移民や人種差別、やり直しの難しい社会性など、見直すべき点は沢山あるのではないだろうか。

参考・引用

※1:朝日新聞
 
※2:BBCNEWS
 
※3:The Huffington Post Japan
 
※4:Japan In-depth
 
※5:THE WALLSTREET JOURNAL 

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス