記事提供:CIRCL

ポケモンの聖地になっていると話題の名古屋市鶴舞公園に行ってみたら、ポケモンを探す人波ができていた。危険や問題も指摘されているが、ポケモンGOは真夏の炎天下にもかかわらず現代人を外出させてしまう魅力があるようだ。

ポケモンGOに爆発的人気が出たのは仮想現実ではなく、現実と結びつく拡張現実(AR)の技術を使っていることにある。そして、拡張現実は今やゲームだけではなく脳外科の手術に使われ始め、高度な手術を可能にする技術にもなりつつある

デジタルが現実と結びつくと、どんなことができるのか、拡張現実(AR)技術の今を追って見よう。

デジタルが現実と結びついた拡張現実(AR)

ポケモンGOの魅力は、今歩いている目の前の景色に、ポケモンが飛び出してくるところだ。こんな風に現実の中にデジタルを表示させる技術を、拡張現実(AR)という。

ゲームはこれからバーチャルリアリティー方面にどんどん進んでいくのかと思っていたら、思いもかけず現実世界に飛び込んできた。そんな意外性も、楽しめる理由の一つだ。

ポケモンGOを楽しむには、ゲーム内の地図が重要な役割を果たしている。今いる場所を位置情報GPSで正確に把握できるので、現時点を中心にした地図が常時表示されて、今からどこに向かって歩いていこうか、目標を探すことができる。

拡張現実(AR)にとっては、位置情報はとても重要なのだ。

脳手術にも拡張現実(AR)が役立つ

そんなポケモンGOの魅力になっている、拡張現実技術に注目している脳外科医がいる。

ニューヨークで脳神経外科医をしているジョシュア・ベダーソン博士は、複雑な脳内で正確な場所を特定して、最も複雑な操作をしなければならない脳外科手術に、ポケモンGOのような技術を使うことを検討している。

カメラで写した目の前の画像にポケモンが入り込むように、脳手術中の脳内画像に未破裂動脈瘤(りゅう)の輪郭などをライン表示で重ね合わせることで、手術が必要な箇所を分かりやすくして、手術用顕微鏡で見ながら手術がしたいと考えているのだ。

そして、正確な施術位置を把握できるGPS機能を脳外科手術に応用すれば、手術中に脳内で迷子になることなく、より効率的に正確な手術ができるからだ(※1)。

進化する、新しい3次元手術ナビゲーション

脳神経外科手術で手術中の位置を知らせる手術ナビゲーションは、すでに一般的に使われている。しかし、今のシステムでは、画像を2つ見比べなければならないという欠点がある。

その問題点を解決できる技術が、拡張現実(AR)なのだ。ARを使えば実画像に手術位置を重ねることができ、効率を上げてミスの削減が期待できる。

日本の大学病院でも脳神経外科手術を開発

九州大学大学院の医学研究院でも、3次元位置測量システムとナビゲーションシステム、高解像度のWEBカメラを使って、AR表示ができる新しい脳神経外科ナビゲーションシステムを開発している(※2)。

すでに腹腔(ふくくう)鏡を用いた腹腔内臓器の手術のときに、腫瘍や尿管をデジタルで映像に映し出す取り組みをしてきた。

そして現在は、脳腫瘍手術で、腫瘍の輪郭を映し出したり、重要な機能を有するところを映し出したりといったARナビゲーションの有効性を探っている(※3)。

ARで遠隔手術もありうる?!

もっともっと未来を見てみると、拡張現実(AR)を使うと、遠隔手術さえもできる可能性がある。地域による医療格差をなくすためには地方にもさまざまな専門医が必要になるが、現実は難しい。

しかし、もし実際の映像にフリーハンドで書き込むことができるデバイスがあれば、医師が手術中に、遠方の専門医からリアルタイムに指導や助言を受けることができる。

医師は手術をカメラで写し、専門医が遠方からその画像に手書きで書き込みをすることで、専門医が隣にいてアドバイスをしているような状況にできる可能性もある(※4)。

拡張現実(AR)には、医療分野だけでも大きな可能性を秘めていそうだ。

※1:ABCNEWS
※2:九州大学
http://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/handle/2324/26450/med2615_ja.pdf
※3:九州大学病院
※4:sign

出展:ポケモンGO

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス