いろんな事情があり、路上生活をしている人はどこの国にも存在します。筆者の住むイギリスでは、2010年以降ホームレスとなっている人々の数はなんと102%も増加しているそう。ただ、国内にどのぐらいのホームレスの人たちがいるのかという正確な数字を出すことは非常に難しいとされています。

というのも、イギリスにはホームレスの人々を支える支援団体が多く存在しますが、まず、そこに登録されているホームレスの人とそうでない人がおり、登録していない人は自治体が把握できません。また、登録してある人でも連絡せずに違う土地に行ったり、隠れて生活をしていたりと、明確な統計学的な数字が出せないという現状です。

でも、言えることはホームレスになる人たちの人数は増加の一途を辿っているということ。イギリスでは難民や移民もホームレスになる可能性が高いので、年々数が上昇していくのも納得できるというもの。筆者も街を歩いていて、ホームレスの人を見ない日はありません。

日本で「ホームレス」は2種類に分けられている

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日本は、欧米と比べて移民&難民が「ホームレス」になるというケースはまだ少ないでしょう。サイト「てのはし」によると、日本で「ホームレス」と呼ばれている人たちは「自立精神があるかないか」ということで区別されている様子。

「これまで会社勤め、もしくは事業に携わってきた人が何らかの事情で全てを失い、家賃も払えず家族も失った。仕方なくホームレスになった」という人と「ひきこもりや苛めなどを経験した人が親元に住んでいたが、親と別離したことで自立経験もなく、仕方なくホームレスになった」という人の2タイプだそうです。

共通点は「家族のいない孤独な生活」

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ホームレスの人の中には、何かの犯罪に巻き込まれてドラッグやアルコールなど強い依存症に陥っている人も海外では少なくありません。そのため、イギリスでは「ホームレスの人に物乞いされても、現金はあげないで!ドラッグとお酒に消えるだけです」という注意喚起も促されています。

犯罪に巻き込まれているような人は、どうせホームレスになる前から素行が悪かったのだろうと「ホームレスになるのは自業自得」と思う人もいます。でも、どんな事情でホームレスになっていても、彼らには家族、またその繋がりがない人がほとんどだということに気付かされます。

孤独だけを背負って生きているという路上生活。アルコールやドラッグに依存してしまうことは決していいことではありませんが、毎日繰り返される孤独を紛らせるものなら、何でもいいという人間の弱さもそこにはあるでしょう。

「請えば請うほど惨めになる暮らし」

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家族が周りに1人もいないホームレスの人たちは、自分の気持ちをあからさまに打ち明ける人が周りにいません。そんな状況で、路上での生活に心が荒んでしまうのは仕方がないことではないでしょうか。働きたくても住所不定ではどこの国でも仕事を探すことは、ほぼ不可能でしょう。

生き甲斐や希望、前向きな姿勢…月並みな言葉ではあるけれども、人間はこれらを忘れてはならないと思います。支援団体は、ホームレスの人たちにもう一度社会に復帰できる機会を与えようとサポートしています。

ただ、路上にいるというのではなく「生きている」という実感が少しでも持てるように、明日という日を、ほんの少しでも前向きな気持ちになれるように、サポート団体はホームレスの人たちにシェルター(保護施設)を紹介したり、教会をオープンにして宿泊所を作ったり、日曜にはサンデーランチを提供したりしています。

彼らに本当に必要なものは何なのか

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路上生活者は、ほとんど暖かさとは無縁です。暖かいベッドも服も、そして飲み物さえも滅多に口にすることはありません。路上に座り込んでいても、ほとんどの通行人は足早に通り過ぎて行きます。そんな中で、親切な人が見せるちょっとした行為は彼らの心を深く打ちます。

一つの食べ物を二つに分け合った女性

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Facebookのアカウント「Love What Matters(愛こそ全て)」に投稿されていた2枚の写真を今回はご紹介しましょう。

こちらは、米オクラホマシティのダウンタウンで撮影されたもの。撮影者によると、路上に座り込んでいたホームレスの男性に一人の若い女性が近付き、手にしていたサンドイッチを半分その男性に手渡したのです。そしてそのまま彼女も隣に座り、男性に色々話しかけていた様子だったそうです。

親切な人の中には、紙コップに小銭を投げ入れる人もいるでしょう。自分が食べようとしていたサンドイッチをそのままあげてしまう人もいると思います。でもこの女性は、ホームレスを単なる「助けを必要とする人」と見ずに「ケアして愛されるべき人」として対応したのです。

自分のランチを半分個にして、座って一緒に食べる女性。「どうしてホームレスになったの?どこに住んでいたの?家族はいるの?」この男性は、そんな質問をどのぐらい久しくされていなかったでしょうか。

筆者がホームレスの人たちを見かけてよく思うことは、彼らは「話したそうにしている」ということ。もちろん、食べ物や小銭をもらったりすることは彼らにとってどれほど有難いことか。でも、ほとんどの人が「話しかける」ということをしません。それは、ホームレスが「助けを求めている人」として捉えられているからです。

孤独で、話す人が誰もいない彼らにとって一番必要なのは食べ物や小銭という親切よりも、もしかしたら「話しかける」というヒューマニティ(人情)なのかも知れません。だからこそ、誰かが話しかけると堰を切ったように延々と話し続けるホームレスの人たちもいます。

警官がホームレスの男性と食事

出典 https://www.facebook.com

ミシシッピ州のホーンレイクでも、人間味溢れる素敵な光景が見られました。地元の警察官、マッコイさんはこの日57歳のダン・ウィリアムズさんというホームレスの男性と出会いました。人生に失望し、空腹で身動きが取れなかったダンさんを、マッコイさんはファミリーレストランへ連れて行きました。

ファミリーレストラン「ウエンディーズ」のカウンターでマッコイさんがメニューをオーダーしようとすると、事情を察した店のスタッフが「こちらの男性の分は、店側が持たせて頂きます」と申し出てくれたのです。親切の上に更なる親切が重なって、ダンさんは胸を打たれました。

そして、マッコイさんは「では、自分は職務に戻る」と言って去っていくのではなく、自分もオーダーし、ダンさんと向かい合って食事をしたのです。誰かとこうして向き合って食事をするということが、ダンさんにはきっとこれまで久しくなかったのでしょう。Facebookへの写真を投稿したのは、マッコイさんと一緒にいた同僚の警官によるものだそう。

家路に着けるように寄付をした

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マッコイさんがダンさんから話を聞くうちに、どうやらダンさんは何かの事情があってオクラホマシティに辿り着いたのだということがわかりました。そして離れたところに親族がいると話したダンさんに、マッコイさんと同僚3人は彼らのポケットマネーで、89ドル(約8,900円)のバス代と60ドル(約6,000円)の食事代を提供。そしてメンフィスのバスターミナルまでダンさんを送って行ったのです。

バスターミナルへ着くと、ダンさんはマッコイさんたち警官のあまりの親切な行為に号泣したそうです。高額なバス代と食事代をくれたばかりか、自分の話を信じてくれたという喜びもあったのでしょう。そこには、お金という親切行為を超えたマッコイさんたち警察官の人情が溢れていました。

私たちが決して失ってはいけないもの

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ヒューマニティ(人情)があるからこそ、私たちは繋がっていけるのではないでしょうか。お金や食べ物は確かに有難い「寄付」です。もちろんそれも思いやりです。でも、ホームレスの人たちにとっては、彼らが久しく忘れ去っていた「人としての対応」を、誰かにされることがどれほど嬉しいかということに気付かされます。

だから、ホームレスの人を見ても必ずしも「もの」をあげる必要はないのです。ちょっとした一言、手にしている自分のサンドイッチを分け与える行為、それこそがヒューマニティと言えるのではないでしょうか。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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