犬がもたらす効果

ただ1人で歩いているだけだと、誰からも関心を持たれませんが、愛犬と一緒に散歩をしていると、知らない人も含めて、よく声をかけられます。犬を飼うということは、人にとって様々なメリットをもたらすことになります。

・規則的な生活リズムができる
・1日2~3回、散歩に行くので運動不足が解消される
・犬がきっかけとなり知り合う人が多くなる
・1人暮らしだと家の中では話すことがなくても犬がいれば、自然話しかけている
(家族と一緒に暮らしていても犬がきっかけで会話が生まれる)
・犬をかわいがることで癒し効果が生まれ、ストレス緩和になる
・子供にとっては情操教育にもなる

など犬がいるといないとではその違いは歴然としています。

犬好きの高齢者の悩み

しかし、犬の寿命は10年~16年もしくはそれ以上です。犬を必要としているであろう1人暮らしの高齢者たちは、「犬を飼いたいけど、最後まで面倒看れないかもしれないので、もう飼えない」というのが悩みとなっています。

実際、筆者も愛犬との散歩中に高齢者の方たちから声をかけられ、そういう言葉を幾度となく聞いています。

殺処分されるはずだった犬

そんな声が上がっているにもかかわらず、筆者の住む町の動物愛護センターでは「譲渡犬として選ばれる犬は7歳までの健康な犬のみ」という規則があるようです。つまり8歳以上の老犬は、どんなに健康でも殺処分されてしまう運命なのです。(殺処分対象となる犬の規則は各動物愛護センターによって決められます)

迷い犬で実年齢が判らず、歯の状態から推定年齢8歳とされてしまった犬がいました。それは殺処分を意味しています。犬の健康状態は良好でした。更にとても人懐こくしつけもできていました。そのため、動物愛護のボランティアの人たちがこの犬をなんとか助け出そうと里親探しをしている中、偶然筆者が「殺処分にされる犬を引き取りたいのですが。。」と電話したため、その犬を特別に引き出すことができました。

出典My dog

殺処分寸前で引き取った犬です

高齢者と高齢犬に厳しいルール

更に筆者が住む町の動物愛護センターでは、最後まで面倒を看れない可能性が高いということで、高齢者への犬猫の譲渡は保証人がいない限り行われていません。

つまり高齢者と高齢犬にとっては、とても厳しい考え方をしている町となってしまっています。

この犬を引き取って、高齢者たちの「犬が飼いたいけど、もう年齢で飼えない」という声を聞いて、なんとかならないのかとずっと思っています。筆者は、高齢者には高齢犬が必要なのではないかと考えています。

ドイツの「シニア for シニア」

ドイツのミュウヘンで、「シニア for シニア」という画期的なプロジェクトが始動しました。これは、高齢者に高齢犬をマッチングさせるというアニマルシェルターが行う新しい里親プロジェクトです。

ドイツではペットショップから犬を購入するのではなく「ティアハイム」というアニマルシェルターから犬を引き取るという世界的に注目されているプロジェクトが行われています。現在、アメリカでも、同様なプロジェクトが稼働し始めています。

そのドイツが互いの年齢を考えて、高齢者には高齢犬をという新しい試みをミュウヘンで始めたのです。

出典 http://www.merkur.de

「シニア for シニア」プロジェクトの責任者のニコルさん

高齢犬がもたらす高齢者への相乗効果

この「シニア for シニア」は、‘孤独に暮らしている高齢者にとって、そしてなかなか引き取り手が現れない高齢犬にとっても、双方がパートナーになることで良い効果をもたらすことになる‘という考えからこのプロジェクトが始められました。

犬がいれば、話し相手にもなり、脳が活性化され、もしかしたら認知症予防にもなるかもしれません。また、犬がいれば散歩も必要となるため、規則正しい生活になり、高齢者にとっては良い運動となります。若い犬だとその力を高齢者は持て余してしまいかねませんが、高齢犬はそういう面でも最良のパートナーだと考えられています。また、犬を連れて散歩に外に出ることで、コミュニケーションが自然広がってきます。犬をきっかけとして、話しかけてくる人は意外にも多いことは筆者も実感しています。年齢的にも若い犬だと、最後まで面倒が看れないかもしれないという不安が出てきますが、同年代の高齢犬でその不安は、少し解消されるかもしれません。

アフターサポートも充実

この「シニア for シニア」プロジェクトの本当の意味で素晴らしいことは、そのアフターケアーにあります。

普通の里親探しの場合は、犬に里親が決まれば、それでシェルターの役目は終わりです。ですが、高齢者に高齢犬を世話をするということは、メリットも多い中、デメリットも当然生じて来る可能性が高くなります。

たとえ高齢犬だとしても、高齢者が病気になったり、他界したりした場合、最後まで面倒を看れないということもあるでしょう。また、高齢犬が病気になる確率も高くなります。

「シニア for シニア」で高齢者に譲渡された犬が万が一病気になった場合は、その治療費を寄付によってサポートするアフターサービスも考えられているようです。また、犬の飼い主が病気で引き取った犬の面倒を看きれなくなったり、死亡した場合は、すぐにサポートが入るそうです。

高齢者に高齢犬を譲渡するには、こうしたアフターサービスの充実が不可欠となります。「シニア for シニア」は、それらすべてをサポートできることを考えられている素晴らしいプロジェクトなのです。

参考資料

最後に

本当にこのプロジェクトは画期的で理想的です。日本には、まだ健康で十分生きられるのに、高齢だからという理由だけでセカンドチャンスを与えられることなく殺処分されている高齢犬たちがどれほどいることか。。その傍らには、孤独な高齢者たちが犬を飼いたいと思っても飼えないようにしてしまっている行政があります。高齢者には高齢犬が必要だという考え方ができれば、もっと健康的で幸せな社会づくりができるのではないでしょうか?

このドイツ・ミュウヘンの「シニア for シニア」の話が高齢社会になっている日本の未来にとって、とても貴重だと筆者は感じたので、ここに書いておこうと思いました。これが、何かのきっかけとなることを心から願います。

この記事を書いたユーザー

さくらまい このユーザーの他の記事を見る

最後まで読んでいただきありがとうございました。
日本生まれですが、米国に30年間住んでいた米国籍のライターです。2014年に家族で日本に移住してきました。どうぞよろしくお願いします。

得意ジャンル
  • 話題
  • 社会問題
  • 動物
  • 美容、健康
  • 感動
  • コラム
  • ニュース

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス