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「障がい者なんていなくなればいい」

この言葉は、神奈川県相模原市の大量殺人事件で逮捕された植松聖容疑者(26)の言葉です。多くの人が衝撃を受け、そして、逮捕されて尚、障がい者の方その家族の心を見えないナイフで刺した言葉。その不安や悲しみは計り知れません。

この、どこまでも暗く退廃的な言葉へ一筋の光が差し込むように、Facebook上で障がい者の息子さんを持つ父親が思いを綴ったメッセージを発信し大きな反響を呼んでいます。

出典 https://www.facebook.com

今回、Facebookに障害がある子の父としての思いを綴ったのは、RKB毎日放送の東京報道部長、神戸金史さん。

今、その言葉はご本人の想像を超える反響を呼び多くの人にシェアされ続けています。中国語や英語にも翻訳され(英語は現在、専門家が翻訳中)世界中への広がりを見せ始めました。

神戸さんの言葉を読んだ人々からは、「救われました」「温かい気持ちになりました」「当たり前を感謝します」との声で溢れています。では、早速、ご紹介させて頂きます。

私は、思うのです。
長男が、もし障害をもっていなければ。
あなたはもっと、普通の生活を送れていたかもしれないと。

私は、考えてしまうのです。
長男が、もし障害をもっていなければ。
私たちはもっと楽に暮らしていけたかもしれないと。

何度も夢を見ました。

「お父さん、朝だよ、起きてよ」
長男が私を揺り起こしに来るのです。
「ほら、障害なんてなかったろ。心配しすぎなんだよ」
夢の中で、私は妻に話しかけます。

そして目が覚めると、
いつもの通りの朝なのです。
言葉のしゃべれない長男が、騒いでいます。
何と言っているのか、私には分かりません。

ああ。
またこんな夢を見てしまった。
ああ。
ごめんね。

幼い次男は、「お兄ちゃんはしゃべれないんだよ」と言います。
いずれ「お前の兄ちゃんは馬鹿だ」と言われ、泣くんだろう。
想像すると、
私は朝食が喉を通らなくなります。

そんな朝を何度も過ごして、
突然気が付いたのです。

弟よ、お前は人にいじめられるかもしれないが、
人をいじめる人にはならないだろう。

生まれた時から、障害のある兄ちゃんがいた。
お前の人格は、
この兄ちゃんがいた環境で形作られたのだ。
お前は優しい、いい男に育つだろう。

それから、私ははたと気付いたのです。

あなたが生まれたことで、
私たち夫婦は悩み考え、
それまでとは違う人生を生きてきた。

親である私たちでさえ、
あなたが生まれなかったら、
今の私たちではないのだね。

ああ、息子よ。
誰もが、健常で生きることはできない。
誰かが、障害を持って生きていかなければならない。
なぜ、今まで気づかなかったのだろう。

私の周りにだって、
生まれる前に息絶えた子が、いたはずだ。
生まれた時から重い障害のある子が、いたはずだ。
交通事故に遭って、車いすで暮らす小学生が、
雷に遭って、寝たきりになった中学生が、
おかしなワクチン注射を受け、普通に暮らせなくなった高校生が、
嘱望されていたのに突然の病に倒れた大人が、
実は私の周りには、いたはずだ。

私は、運よく生きてきただけだった。
それは、誰かが背負ってくれたからだったのだ。

息子よ。
君は、弟の代わりに、
同級生の代わりに、
私の代わりに、
障害を持って生まれてきた。

老いて寝たきりになる人は、たくさんいる。
事故で、唐突に人生を終わる人もいる。
人生の最後は誰も動けなくなる。
誰もが、次第に障害を負いながら
生きていくのだね。

息子よ。
あなたが指し示していたのは、
私自身のことだった。

息子よ。
そのままで、いい。
それで、うちの子。
それが、うちの子。

あなたが生まれてきてくれてよかった。
私はそう思っている。
父より

出典 https://www.facebook.com

神戸さんのご長男は3歳の頃、自閉症と診断されました。相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件を報道で見た時、容疑者の憎悪が息子に向けられたようで深く傷ついたと語っています。

神戸さんを始め障がい者やそのご家族のやりきれない気持ちは言葉になりません。しかし、この神戸さんが綴った言葉には、ふたりの息子さんに対しありったけの思いと溢れる程の愛情に溢れているように感じます。

・はじめまして。指先しか動かず、言葉も幼い、福山型筋ジストロフィーの娘の母です。娘のFacebookを手伝っています。この娘との生活は、大変だけど、幸せです。

・私もまた運良く生かされてきただけだった、という事実に今更ながら胸が熱くなりました。

・どれ程多くの肉親が涙してきたことでしょう。誰もが障害を持つことと隣り合わせで生きているんですね。心して私たちは思考し生きていかなければなりませんね。ありがとうございました。

・ニイなんて捨ててきて、と泣いたウチの娘が社会福祉士の試験を受けます。障害者施設で仲間を守る支援者になりました。兄弟っていいです(^ω^)

・娘が産まれ、退院後すぐに先天性の病気があることがわかりました。先のことは想像ができず、ただいつか病気のことで娘が涙を流す日もくるのかな…と、落ち込む時もあるのですが、私も娘が生まれてきてくれてよかった。ありがとう。と心から思います。まだまだ5ヶ月、これから一生、親としてしっかりと娘と向き合っていきます。二人目に対し不安はありますが授かれるといいなと思えました。ありがとうございます。

・私の息子は、重度の知的遅れを伴う自閉症児です。発語もありません。弟は小6です。難しい年頃になりました。でも、根は優しい子です。お風呂も一緒に入って、介助してくれています。長男が居てくれるから、今の私達家族があると思います。

出典 https://www.facebook.com

「ちょっとした想像力と優しさだと思うんです」と語る神戸さん。体が不自由な人がいる、けれど健常者だっていつ障がいを持つかなんて分かりません。病気や事故や災害いつだって隣り合わせなのではないでしょうか。

それだけではなく、「歳をとったら体が言うことをきかなくなる」と言う言葉もよく耳にします。それは、誰にでも平等に訪れます。

植松容疑者は、返事ができない人のことを『生きる価値がない』と供述していると報道されました。それは違います。返事ができなくても、何もできなくても「生きる価値がない」人間はいません。そして、植松容疑者が決めることでも誰が決めることでもありません。

ある病院では、テレビで相模原の事件が流れた直後、高齢者の女性が「生きてていいの?生きてていいの?」と叫び不安に陥ったそうです。駆け寄った看護師はしっかり手を握り「生きてて下さい。生きてほしい」と声をかけました。

バスの中、電車の中、子どもが泣く、奇声を上げる、冷たい目線に何度も晒されたと神戸さんは言います。仕事でくたくたに疲れて重い足を引きづり電車やバスに乗り込む、ほんの少しの間、ゆっくり目を閉じ体を休めたい。そんな時、耳をつんざくような声、深いため息と軽い苛立ちと共に冷たい目線を送ってしまう。これも分かります。誰も悪いんじゃないんです。筆者は、まだその場面に遭遇したことがないのですが同じ状況だったら、ため息をつくかもしれません。「優しく見守ろうよ」って綺麗ごとなのかもしれません。

でも、ほんの少し想像してみて下さい。「自分の子どもかもしれない」「泣いてる自分は赤ちゃんだったかつての自分だったかもしれない」って。すると、親御さんの気持ちも理解できると思うんです。周囲の皆さんに迷惑をかけている、いたたまれない気持ち。ほんの少し想像すると、ほんの少し優しくなれるんです。

相模原の事件は、多くの人の心を深く傷つけ今も尚、その悲しみと不安は消し去られていません。弱き者が「生きてていいの?」と尋ねる、そんな社会になってしまった。障がい者へ給付される障害年金等を「社会の役に立たない人になぜ無駄なお金を使う」と「無駄」という言葉で切り捨てる、そんな社会になってしまった。しかし、その発言をネット上などで見る度に、人々はやるせなさを感じ、心を悲しみに満たしてしていると思います。そして、その社会は間違っていると多くの人が感じたはずです。

この事件は隠れていた社会の憎悪が今、世の中に噴出してきたようにも感じられます。今、私たちは悲しみ憤るだけではなく、改めて「命の重さ」を社会全体で考え、人と人との繋がりを、信頼を、思いやりを、自分の足元をキチンと見直すべきではないでしょうか?皆さんはどう考えられますか?

Thanks for reading to the end.

※権利者の許可を得て掲載しています
神戸さまには快諾していただけたこと心からお礼申し上げます。

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