記事提供:CIRCL

ニューヨーク、シンガポール、東京――。ビルや家庭からの照明、そして街灯が一面に広がる都会の夜景は素晴らしいが、その人工的な明るさが、いずれ満天の星を完全に奪う日が来るかもしれない。

イタリア、アメリカ、ドイツ、イスラエルの共同研究チームが地上と衛星データを測定したところ、世界の80%以上の人が過剰な明るさの下で暮らしていることが分かったのだ。

北米に住む80%はもう天の川が見られない

研究チームは、街から溢れる人口光が原因で、世界総人口の3分の1以上が地上から天の川を見ることができなくなっていると明かした。

大都市が多いヨーロッパとアメリカの場合、人口の99%は光害の影響を受けているとされ、ヨーロッパでは60%、北米では80%以上の地域ではすでに天の川を見ることができない状態なのだ(※1)。

また、人口光が反射するせいでこれらの地域は自然の星空より10%近くも明るいのだという(※2)。

明る過ぎる夜間の光で視力機能に異常も

たとえ人工的な光でも、街を明るく保つことは治安のよさや都市の発展につながるが、まぶしすぎる夜間の明かりは、人や動物の体に異常をもたらす可能性がある。

人や動物には「夜間視力」の能力があり、夕方から夜にかけて暗くなってくると、はっきりとした視界を保つために自然とその能力がはたらくものだ。しかし、夜間でも明る過ぎる環境ではこれが機能しなくなる

研究チームの1人、物理学者のクリストファー・カイバ氏は、世界的には14%、ヨーロッパでは20%、アメリカでは37%の人口が夜間視力を使わずに生活していると話している(※2)。

光害で生体リズムが崩れる可能性も

また、人間は明暗などを含めた周りの環境によって体のリズムを24時間周期で調整する。夜間の異常な明るさはその生体リズムを崩し、「概日リズム睡眠障害」を引き起こしかねない。

概日リズム睡眠障害とは、朝に目覚めて夜に就寝するという健康にとって望ましい生活リズムに合わせることができない状態のこと。代表的なものに「時差ぼけ」があり、症状としては覚醒や入眠異常、頭痛、消化器の不調などが挙げられる(※3)。

真っ暗で何も見えない場所と比べれば、明るい街中はやはり安心感があるかもしれないが、世界中の夜空が完全に人口光に包まれてしまう前に、何かしらの対策を打つ必要があるだろう。

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