子供への躾。これは個々の家庭のルールがあるためにその厳しさも違ってきます。ただ、何を持って躾といい、虐待というのか、という境界線が非常に曖昧な時もあるのではないでしょうか。言葉の暴力もあるゆえに、体罰だけが虐待とは言えないと筆者は思っていますが、それを理解しているからといって躾が完璧なわけではないというのが、子育ての難しいところ。

体罰に対する法律が規制されている国でも、子供が外に助けを求めない限り家庭内で行われている虐待に目が届くことは難しく、閉鎖的な家庭環境の「グレーゾーン」にはまり込んでいる子供は決して少なくはありません。

アメリカでは州によって法律も異なるそう。体罰を規制していない州が19も存在するということは、言い方を変えれば体罰は許容範囲内ということになります。子供を引っぱたいたりするだけが虐待ではなく、親の不快さを子供に当てつけることで解決しようとする行為もまた虐待と言えるのではないかということが、一枚の写真で討論されている様子。

「お仕置きカット」をされた子供

米アトランタにある理髪店「A-1 Kutz」は、1週間のうち3日間が「悪い子にお仕置きカットをする日」としています。この理髪店の経営者の1人であるラッセル・フレドリックさん(35歳)は、自身も3人の子供を持つ父。

ある日12歳の息子に、ユニークな躾と称してヘアカットで「お仕置き」したところ、効果てきめんだったそう。「息子の態度も良くなって成績も上がったんだ。」これをきっかけにして「お仕置きカット」の提供を思いついたフレドリックさん。

そんなフレドリックさんの下を、10歳の息子を持つ母親が訪問。「この子をすごくダサいヘアスタイルにしてください」と依頼されて、「教育のためならば…」とフレドリックさんはヘアカットを無料で提供。その母親が後にSNSに写真を投稿するとたちまち拡散し「これはいい!ウチもやって!」と続々とリクエストがくることになりました。

写真を見る限り、ダサいおっさんカットは少年には効果があった様子。刈られた後の表情は相当なショックを受けているようにも見えます。フレドリックさんは「最近は、悪い子にも体罰を与えるのじゃなく、別の方法で躾ける親がいるからね。」とコメント。

ところが、お仕置きカットには賛否両論が…

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言うことを聞かない子供には、何らかの形で躾ける方法が必要だとフレドリックさんは話しています。最初、周りの反応も「態度の悪い子が『成長する』という意味では、シニアのおっさんヘアは適切な処罰になるね」となかなかの評判でした。

実際に「変なヘアスタイルにされた子供たちは、クラスメートにからかわれながらも態度を改め、見違えるように勉強していい成績を取るようになっている」ということだったのですが、中にはやはり「これは虐待では」という批判の声も。

「子供がそんな髪型で、周りに侮辱されるのはどうかと思う。私なら家の中でプライベートに罰を与えて、公にはしないね」「子供のことを心から愛しているならこんなことしないはずよ。苛められたりしたら可哀相じゃない。」「子供がこのヘアスタイルで傷ついているなら、それは既に虐待と言えるんじゃないの?」「悪いことをした子供への罰というなら、わざわざ親がお金を払ってヘアカットを依頼するのは理屈になってないのでは?」などという声がInstagramにも投稿されています。

「結局、みんなどうやって子供を正しく躾ければいいかわからないんじゃないかな」

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「おっさんカット」の投稿には、賛否両論があることをある程度は予期していたというフレドリックさん。「結局、どの親もどういう風に躾けるのが正しいのかわかってない人が多いと思う」と述べています。

子育て本などが書店に並んでいるものの、我が子の性格を熟知しているのは親のみ。そして躾の方法は一通りではないために、マニュアル本があったとしてもそれはあくまでも「参考」にしかなりません。子育てをしていく中で、親がどういう躾をしていくかはあくまでも親の基準となってくるでしょう。

子育てに終わりはないと言われるように、躾をするというのはとても難しく子供に教えながら親も学んでいくものなのではないでしょうか。この「お仕置きおっさんカット」に関しては、結果、子供の態度が改まり本人の環境に問題がないようであれば、良しとするべきではないかと思います。

社会で蔓延している児童への虐待問題が後を絶たないために、ついつい敏感になってしまうのも事実。でも、親が必要以上に子供の周りに起こる全ての物事に、繊細に反応していては子供もまた敏感に反応してしまうことしかできなくなるのではないでしょうか。

おっさんカットは、確かにからかわれるでしょう。でもフレドリックさんによると「酷い苛めには発展していないようだ」ということなので、子供自身も大らかにやり過ごしている可能性もあります。

何が正しくて何が間違っているのか。他人の子育てを周囲が批判することは簡単です。でも子育てにそういった答えはないと筆者は思っています。もちろん、行き過ぎた「躾」は虐待と呼ばれてもおかしくはないでしょう。ただ、子供本人やその子供の両親以上に周りが過剰に反応、批判してしまうのも考えものではないでしょうか。みなさんはどう思いますか?

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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