「何か違和感あるんだけど、そう思わない?」

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自分と同じ気持ちが相手にもあるんじゃないか?

と思い、またはそうであってほしいと願い、自分の気持ちを相手に聞いてもらいたくなる時があります。しかし、相手に1ミリも理解をしてもらえなかった時は少なからずショックを受けるものです。

自分と相手の考えは違うので理解を示してもらえないことは良くあることです。私にも経験があります。

職場でぶりっ子な言動をする女性従業員に違和感を感じた私は仲の良い同僚にも同じ気持ちがあるのではないかと確かめたことがありましたが、見事に・・

「全然なんとも思わないよ」

と言われ、ちょっと期待外れでがっかりしました。逆に同僚から、「あーこの仕事だるいよな?」と言われ・・・

「え?だるい?何それ何言ってるの?」

と返したこともあります。同僚にとっては期待外れだったでしょう。生まれ育った環境の違う他人なので、考えに違いがあって当然です。

自分の考えに同意を求めたい気持ちは理解出来るのですが、下手をすると顰蹙を買うだけということを目の当たりにした出来事があります。


勤め先の食品スーパーで、数年前にエコバッグが浸透し始めてきた頃の話です。
アルバイトの失言君がアルバイトのまじめ君に・・・

自分の気持ちに同意を求めるアルバイト君

出典私のイラスト

失言君 「あのさーーエコバッグ出されたらイラッとしない?」

これに対してまじめ君は・・・

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まじめ君 「え?全然思わないよ?何でそんな事言うの?」

失言君 「い・・・いや・・その、なんか『入れろ』と命令されてるように思わない?」

まじめ君 「いや、全然思わないな。むしろ良い人じゃないの?レジ袋削減で環境に優しいだろ?」

失言君のこの時の「うわーー言うんじゃなかった」という表情は今でも忘れられません。失言君はこれだけではありません。ある日・・・

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「あのさーお客さんに『ありがとう』って言われるとなんかイラッとしない?」これに対してまじめ君は・・・

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まじめ君 「って言うか自分、性格悪いよなー。普通はありがとうって言われたら嬉しいと思うけど?」

失言君 「いや・・・その・・・下に見られている様な気がするんだけど.・・・」

まじめ君 「そんなことを考えてるの自分だけだよ」

そばで聞いている私は話に参戦したくてしたくてたまりませんでした。

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しかし、参戦したら話が長くなりそうで諦めました。まじめ君に一ミリも理解を示してもらえない失言君の姿を見て・・・

「うわーーそれを言っちゃうか?正直者は馬鹿を見るというそのものだな」

と思いました。しかし、正直な気持ちを隠せなかった失言君に可愛らしい物を感じた私でのす。若いころの自分はもっと酷かったと思うからです。

今の失言君よりも、さらに正直に自分の気持ちにある毒を周囲に振りまき、周囲の人をあきれさせていました。

ちなみに、失言君が言いたかったのは恐らく・・・

「店員が『有難うございます』と言っているのにお客様は『ありがとう』と言うのは店員を下に見ているからではないか?」

と言うことでしょう。例えば目上の人には『有難うございます』というのに対して、そうじゃないから『ありがとう』になるのだろう」と言う考えです。

それは、お客様に知られてはいけない店員の不都合な感情の一つなのです。しかし無理に考えを変えるのは難しいものです。

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人と違うイラっとするスイッチは仕方がないものです。気にするなと思えば思うほど気になるのが人間心理なのです。

まじめ君は失言君のことを「性格が悪いなー」と言っていましたが、さらに性格の悪い私は二人のやり取りを見て・・・

「面白いことをやってるよな」と思いました。

昔、小さな居酒屋の店長に弟子入りした時、接客業では「自分を出すな」と教えられたのですが、まさにそうだと思います。

人と接するのが好きという理由ではなく、ただ単に「自分にも出来そうだな」という簡単な理由でする人も多い接客業です。

本当は人と接するのは苦手という人も実はいるのです。なぜなら「こんな自分でも雇ってもらえる所はないかな?」と学歴不問の職を探し、「あっ!これなら自分にも勤まりそうだ」という考えで来る人もいるのです。

まじめ君は、接客業にプライドをもってやっている感じがあり、それはそれで立派だと思いますが、失言君はどうなんでしょう?

「最低!」と思われる人もいるでしょうが、私は個人的にこう思うのです。

性格悪くても、それを表に出さなければ、それはプロの仕事として成立すると。

では、もしあの時私が彼らの話に参戦していたら?

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若さからくる失言君の、「なあなあ、そう思うだろ?」と言う発言は様々な人の気持ちを知り、相手とぶつかりあいながら学ぶという点ではありだと思います。

もちろん、「ありがとう」の言葉や「エコバッグ」に対してイラついた言動をお客様にぶつけてはいけませんが、従業員同士の会話です。そこで自分の考えの未熟さや心の狭さに気付ければ人間的に一歩成長できるのです。

ちなみに彼らから「熊さんはお客様からの『ありがとう』の言葉にどう感じますか?」と聞かれたら?

言葉そのものの感じ方は後ろに「ございます」がついていない分馴れ馴れしい感じはするのですが、そこは、そう言うものだと割り切っています。

私の場合は言葉そのものよりも、声の調子や表情で、「あっ随分上から言われているな?」と感じることが多いと思います。

いずれにしても、「ありがとう」の言葉一つでも言った人、言われた人それぞれで感じ方は違うのです。

そこで感じ方そのものを否定するつもりはありません。無理に考えを変えようと思っていてもそう簡単なことではないのですから。

しかし、形では演じることは出来るでしょう。気にしない自分を演じることで、そのうち接客業の楽しさも分かり、イラついた気持ちもやわらいで行くのです。

そういう意味では、「ありがとう」と言われたらイラっと来るという彼に対して、まだまだ接客業に慣れていない証拠だと思うのでした。

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