記事提供:TOCANA

2016年8月7日(日)博物館明治村(愛知県犬山市)において、作家・山口敏太郎氏がプロデュースする、全国の怪談王を集めて最恐の怪談王を決める怪談イベント「“最恐”怪談師決定戦 怪談王」が開催された。

会場は、明治時代に建造され明治村に移築された「呉服座(くれはざ)」。明治時代の雰囲気を残す芝居小屋で、会場は、いろんな意味で熱気ムンムンであった。

■最強の怪談師は誰だ!?

左から、志月かなで・北極ジロ・田中俊行・ひとみ:ちゃん・口裂け女。

出場メンバーは、以下4名。

・田中俊行(「稲川淳二の怪談グランプリ2013」覇者)
・志月かなで(東京『浅草女子怪談』で優勝した女流怪談師!テレビ他舞台で活躍中)
・北極ジロ(自称「怪談ソムリエ」。実話怪談蒐集家)
・ひとみ:ちゃん(地元・名古屋出身のボードビリアン・あなたのお口の恋人)

王者に輝いたのは、「昼の部」では、田中俊行。「夜の部」では、志月かなでだった。

【結果】

「昼の部」優勝者は田中俊行、怪談王「夜の部」優勝者は志月かなでだった。

表彰式には岐阜柳ヶ瀬お化け屋敷「恐怖の細道」から10秒で駆けつけた口裂け女がプレゼンターとして乱入!会場が大いに盛り上がった。

■最強怪談師の恐怖の実話怪談

今回、怪談王に参戦した2名の最恐怪談師から『TOCANA』のために特別に貴重な実話怪談を披露していただく。読んで蒸し暑い夏にひんやりと涼しくなって欲しい。

オカルト系雑誌専門のイラストレーター&オカルトコレクターという肩書を持つ田中俊行。近所で孤独死したオジサンの腐乱死体の絵を自らデザインしたTシャツを着て出場!販売もしている。

・田中俊行の実話怪談『千葉の幽霊屋敷』

数年前、怪談を撮影すると言うお仕事を頂いたんです。

撮影場所は千葉県の某所、古い庭付き2階建ての一軒家。スタッフの方曰く、そこは生首の霊が出ると言う“曰く付き”の心霊スポットだった。

ぼくは、怪談好きで話もするし心霊スポットも大好きなんですが、実はお化けを見たり心霊体験をした事が一度も無いんです。

心配するスタッフを横目に「生首の霊が動画に映ったら良いですよね!」「なんなら生首を神戸に連れて帰りたいですよ(笑)」と浮かれていた事もあり調子に乗ってジョーダンを言っていたんです。

撮影は無事に何も無く終わりました。

早々にその日の夜、夜行バスで千葉から神戸の実家に戻ったんです。

次の日の朝9時頃、家に着くと仕事に向かう母親と玄関先でちょうど出くわしました。

今、帰ってきた僕に向かって、

「あんた何時間か前帰って来てたよね」

トイレのマットが血だらけになってたけど大丈夫?」

母がミョーな事を言ってくるんです。理由を聞いてみると午前4時ごろ母がトイレに行った。すると床のマットが真っ赤に染まり血だらけだったそうなんです。

何かしら僕が怪我をしてトイレに入り、マットを汚したまま家を出て行った。母はそう言うんです。

しかし、僕はその時間バスの中にいました。しかも、家には母一人だったんです。

「もう片付けたけど…ちゃんとしてよ~」そう言って怒りながら仕事に行きました。

気持ち悪い事を言うな~と思いトイレを確かめてみましたがそんな形跡はない。片付けたと言っていたが、母の勘違いだろうと思い疲れていた事もあってかそのまま居間で寝てしまったんです。

何時間か過ぎたでしょうか、母の興奮した声で目が覚めました。

「あんたちょっと起きて~!!」「こっち来てっ!」

側に行くと、トイレを指差し一言。

「トイレ見てみ~」

僕がトイレのドアを開けると、汚れてなかった真っ白なマットが血だらけで真っ赤に染まっていました。

え、嘘やろ!?こんな事ってっと思った瞬間、母が背中越しに、

「お前が悪いんや、お前が悪いんや、お前が悪いんや…お前のうえ、お前のうえ、上、上、上、上…」

と僕の頭上を指差しその方向を見てみると、

真っ赤な目を見開いた真っ黒な男の顔が!

「あ~~~~あ~~」

僕はそのまま気を失いました。

目を覚ますとそこはトイレではなく居間でした。

「あ~夢か助かった。気持ち悪いな~」安心して周りを見渡すともうずいぶん時間が経ったらしく

帰宅した母が台所で夕飯の支度をしていました。

「もうすぐご飯出来るからね」…そう言ったあとに、声に出さず、

「お・ま・え・が・わ・る・い・ん・や」

たしかにそう言ったんです。(以上)

北極ジロ氏。怪談界で長年活躍している重鎮。面白系から呪い祟り系まで幅広い怪談で会場を盛り上げた。

・北極ジロの実話怪談『汚いサザエさん家』

これより申し上げますは、不動産に纏わる怪奇なお話。

体験者はA子さん、不動産会社入社1年目の新人。

その不動産会社は、さまざまな不動産の宣伝に目を通し、安い物件をピックアップ。そして、その安い物件に直接交渉して改めて自身の会社から売りに出すという手法をとっていた。

ある日、A子さんは、好条件の安い物件を見つけた。その物件は駅から徒歩5分の場所にある一軒家の賃貸物件で、破格の賃料だった。

A子さんは早速、その物件の持ち主(吉田氏)へ電話。出たのは感じの良い40代ぐらいのおばさんの声。

「もともと家族3人で住んでいたんです。だけど最近主人が亡くなって、息子も巣立ってしまったから、1人で住むには広すぎる。だから貸し出そうと思って…」

この件を社長に伝えると「いい物件を見つけたね!経験を積む意味でもこの物件は君が最後まで担当してくれ!」と好感触だった。

A子さんは、晴れがましい気持ちで早速先輩と一緒にその物件へ向かった。

「あーこりゃあかん」

物件を見るなり先輩は溜息をついた。

目の前にあったのは、いわゆるゴミ屋敷。堆積したゴミが異様な空気を放っている。

「ま、まあ初めての経験だし、とりあえず契約を取ってみようか」と先輩。

気が重いA子さん。まあ仕方がない。

覚悟を決めて玄関先へ。予想通り壊れているインターホン。仕方がないのでドアをノックして叫ぶ。

「吉田さん、○○不動産です!吉田さん!」

返事はない。留守か?玄関のドアはゴミが挟まっており鍵はかかっていないようだ。積もるゴミを押しのけながら、恐る恐るドアを開けてみる。

目に入ったのはゴミに埋もれた真っ直ぐな廊下。突き当りには階段が見える。

「吉田さん!吉田さん!」

返事はない。誰もいないのか?

いや、いる。

階段の下のゴミの山の上にお婆さんが、うつむいた姿勢で座ったまま動かないでいる。

ところが、先輩の方を見るとお婆さんには気づいていないようだ。

「ん?ひょっとして私にしか見えていない?」そう思った瞬間、いきなり二階の扉がバーンと開き、すごい勢いでゴミを蹴散らしながらおばさんがやって来た。

そのおばさんが降りて来た途端、ゴミの上のおばあさんがスポーンと下に落ちた。そう、言葉通り落ちたように消えたのだ。と同時に、ドボンという水音。

甲高い声で一応我々を歓迎してくれているおばさん。「汚いサザエさん」というのが第一印象だった。

電話では感じの良いおばさんだったが、実際に会って話してみると、目の焦点が合っていなかったり、随所で話の辻褄が合っていなかったりとどうも変だ。こりゃ大変だな…。

何とか契約の話をし、疲れきって帰社するA子さん達。

「汚いサザエさん」のマシンガントークですっかり尋ねるタイミングを逃してしまった音の事を、A子さんは先輩に訊いてみた。

「ああ、そう言えば何か池に石を投げ込んだようなドボンという音が聞こえたなあ」と先輩は言った。音は聞こえたようだ。だが、お婆さんについては変に思われてもイヤなので話せなかった。

翌朝、先輩が出勤していない。先輩はすごく真面目な人で何かあったらすぐに連絡をするのだが…。昨日の件で何かあったのでは?とA子さんは、心配になった。

何とか連絡をつけようとしてみるも一人暮らしの独身で、近所に身寄りもないためことごとく不通。不安の渦が広がる所へ鳴り響く一本の電話。病院だ。先輩が今入院しているとの事。A子さんは、社長に頼まれて早速その病院へ向かうことになった。

病院に行ってみると先輩は頭に包帯を巻いているものの、意外にも元気な様子。安心した。

何でも先輩は酔っ払って自転車を盗んで乗っていたら転んでケガをしてしまったという。あの真面目な先輩が…?

「気になることがあるんだ。夢だと思うんだけどな…」と言って語りだす先輩。

「昨日、会社から帰って家で寝ていたら金縛りに遭ったんだ。金縛りの最中、婆さんが腹の上に座っていたんだよな。それで、金縛りが解けたとたん、ゴミ屋敷で聞いたドボンという音が聞こえた。婆さんが消えた時、時計を見たら1時15分だった」

その後、先輩は眠れなくなり、お酒を飲みに行った。そして、酔った勢いで自転車を盗み乗り回していたら転んでケガをしたのだという。

先輩がいつもはめている時計がベッドの傍らの棚の上に置いてあった。時計は壊れていた…。

先輩は、

「婆さんが消えたのが1時15分。壊れた時計の時間が1時15分。何か関係あるのかな…」

その夜、A子さんは家で寝ていると、「A子A子」と誰かが名前を呼ぶ。しかし体が動かない。金縛りだ。目を開けると、お腹の上はお婆さんが乗っている。

お婆さんが、顔を覗き込んで来た。

髪の毛がベチョベチョに濡れて、雫が顔の上に落ちてくる。お婆さんは何かをしゃべっていたが、それがまるで水のなかでしゃべっているような声でゴボゴボと聞こえて何を言っているのかわからない。

しかし、突然、

「来るな!」

という声が聞こえた。そして、ドボンという音と共に婆さんは消えた。

翌朝、またあの家に行くのが怖くなり、A子さんは会社に嘘をついて「母親が急病になり実家に帰る」といって休んだ。

それから3日後…例のゴミ屋敷が全焼したとの知らせを聞く。幸い死者は出なかったようだ。

半年後、別の不動産屋がその一軒家の土地を買った。A子さんはその不動産屋と知り合いだったので聞いてみた。すると、焼け跡から井戸が出て来たということだった。場所的にちょうど婆さんが正座している辺りだった…。

お祓いをきちんとせず井戸を塞ぐと祟があるという。

お婆さんは何者だったのか?そして「汚いサザエさん」がどうなったかは不明である。

るーるる るるっる~~ 今日もいい天気~!(以上)

■イベント終了後に撮れた心霊写真?

下は、イベント終了後に撮影した出演者の記念写真。左上の光の玉は、「呉服座」に明治時代から棲み着いている霊なのか?

次回、「怪談王」は、参加人数を増やして8人出場の賞金トーナメントとなる。怪談王に挑戦したいなど詳しい情報は、こちらで確認しよう!

“最恐”怪談師決定戦「怪談王」ツイッター

これから、怪談を東海のブランドとして盛り上げていくそうだ。明治村が怪談師の甲子園となる日も近いだろう。

■お化け屋敷「かさね写真の幽霊」

怪談会は終了したが、博物館明治村では、8月は同村恒例のナイターイベント「宵の明治村」など夏を楽しむイベントがまだまだ盛り沢山である。

村内の明治建築「学習院長官舎」を舞台にしたお化け屋敷「かさね写真の幽霊」(9月19日まで)を開催中。

お化け屋敷プロデューサー五味弘文氏による同村オリジナルのお化け屋敷で、大好評だった前作に続く第二弾だ。本物の明治建築の中で味わうホラーエンターテイメント!

参加料1人600円※入村料別途必要

お化け屋敷に宿る生々しい幽霊たち…。まだまだ続く夏を楽しみに、博物館明治村まで行ってみてはいかがだろうか?

白神じゅりこ

オカルト作家・コラムニスト・ライター。ジャンルを問わず幅広く執筆。世の中の不思議を独自の視点で探求し続けている。

・ブログ「オカスピブログ 東京怪奇大学

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