晩婚化や高齢出産の増加により、ダウン症の子供が生まれる確率は過去15年の間に2倍になっていると言われています。染色体異常の代表的な疾患として知られる「ダウン症」は、日本でははっきりとした疫学調査は行われていませんが、新生児の700人~800人に1人の割合で誕生し、現在は約5万人のダウン症の人が存在するとされています。

イギリスでも日本と同数の5万人、アメリカでは年間6,000人のダウン症の赤ちゃんが生まれているということで、全米には約34万人のダウン症がいると言われています。

日本では、妊娠時にダウン症の子供を妊娠しているとわかったわかれば、97%の人が中絶しているということが判明しているそうですが、欧米では、社会のダウン症の人に対する包容力が日本とは異なるために、ダウン症の子供を実際に出産して周りのサポート団体の協力を得ながら子育てしているという人が日本よりも多いといった現状です。

日本のダウン症の中絶数が97%であると言っても、ダウン症の子供を持つ親御さんは世界中に存在します。日本でダウン症の子供と向き合って、愛情をたっぷり注ぎながら子育てしているお母さんももちろんいます。

でも、ふとした「悲しみ」がサイクル的に心に湧き上がってくると、ダウン症の子供を持つある一人の母親が海外サイト「The Mighty」に語ったことが話題になっています。

普段は、あまりにも完璧すぎて忘れてしまう事実

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米アリゾナ州に暮らすジリアン・ベンフィールドさんは2児の母。赤ちゃんのアンダーソン君はダウン症を患っています。普段は、自分の息子がダウン症であることを忘れてしまうほど普通に生活しているというジリアンさんですが、ふとした瞬間にその「悲しみ」は心の中に広がっていくのだと語っています。

「とっても晴れた雲一つないいいお天気の日に、娘と息子と一緒に自宅のプールで遊んでいたんです。真っ青な空を見上げながらプールサイドから流れるカントリー音楽を聞いていて、私はアンダーソンをタオルで包んで抱きしめていたわ。そしたらふいに涙が頬を伝ったの。」

心配する夫に、ジリアンさんは「もし、この子のウエディングで一緒にダンスを踊れないようなことが起こったら、私はどうすればいいの?」と答えました。毎日が幸せで、愛する家族との日々に何一つ不自由などなく暮らしていても、ダウン症の子供を抱えているという事実は、ふいに頭によぎり「もし、この子を失ってしまったら…」という不安や恐怖が溢れ出て来るというジリアンさん。

「悲しみがサイクル的にやってくるのは自然なこと」

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アンダーソン君の専門セラピストによると、ダウン症を患う子供を持つ親が、サイクル的に悲しみを感じることはいたって自然なことだと述べています。「Special Needs」(支援を必要とする障がい)を持つ子供の親自身も、また支援を必要とすることは自然なのだと。

毎日、子供がダウン症であることを忘れて暮らしていても、やはりアンダーソン君がダウン症であるという事実がジリアンさんの心の片隅に当然あるわけで、時折、それが日々の幸せに反比例して不安な感情を心の中に湧き上がらせてしまうのでしょう。

アンダーソン君の成長の過程を目にし、感じた時は特に「次はあるのだろうか」という不安に苛まれることもあるというジリアンさん。それは、我が子が障がいを持っているから「将来何の保障もないのだ」という現実にぶつかってしまうからだと言います。

「でも、決して諦めているわけではない」

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ジリアンさんは「The Mighty」の中で、「周りに誤解をされたくない。悲しみがサイクル的にやってきたからといって、アンダーソンの存在を悲観しているわけでも諦めているわけでもない。私たちの息子への希望は空に届くほど高く、限界を決めつけて子育てはしたくない。親としてできる限りのことをしようと思っている。」と述べている一方で、「でも息子自身、成長していく中で人よりも数倍チャレンジする努力が必要になってくるだろう」と綴っています。

「アンダーソン自身以外、きっと誰も息子の人生への充実感を得ることはできないでしょう。ダウン症も個性の一つとして息子を受け止め、これから将来、あの子が向き合っていかなければならない苦悩も、人間として息子が成長していく必要な過程なのだと思いたい。」とジリアンさんは心境を吐露。きっとこの気持ちは、ダウン症の子供を持つ全ての親が感じていることではないでしょうか。

「悲しみも悩みも愛しているからこそ」

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ふいに心に押し寄せる悲しみや不安。そして苦悩。でもそれは、裏を返せばダウン症の我が子を深く愛しているという証拠。ジリアンさんはアンダーソン君をしっかりと抱きしめ、その海よりも深い愛でもって自分の気持ちともしっかり向き合っています。

障がいを抱えた子供の多くの親は、きっとジリアンさんの気持ちがわかるのではないでしょうか。時には苦しい心境を吐き出してしまうことで、また前に進むことができるということを、今回、筆者もジリアンさんから学んだ気がします。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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