記事提供:まぐまぐニュース!

昨年あたりから、各コンビニのレジ脇に並ぶようになったドーナツ。定番商品として早くも定着した感があるいっぽうで、セブンイレブンでは先日より個包装で販売するスタイルに変更されるなど、売上アップに向けての試行錯誤が続いています。

そこで今回は、食のトレンドやコンビニ事情に詳しいライターの日比谷新太さんが、前回の最新ビール事情レポートに続き、コンビニドーナツの現状を徹底分析。コンビニドーナツが「真の主力商品」となるためには、何が必要かを解説しています。

コンビニ各社の販売方法とターゲットの違い

15年にセブンイレブンが全国での販売を開始したのを皮切りに、他のコンビニチェーンもすぐさま追随し、今ではすっかりおなじみの光景となったコンビニでのドーナツ販売

以前取りあげたコンビニコーヒーとも相性が良い商品ということもあって、各チェーンともに大いに力を入れています。

そんなコンビニドーナツですが、販売方法など各社で大きな違いがあります。まずは大手3社のドーナツ販売の現状をチェックしてみましょう。

・セブンイレブン

発売アイテム数:11

レジカウンターにて販売(店舗スタッフに注文し購入)

・ローソン

発売アイテム数:14

レジカウンターにて販売(店舗スタッフに注文し購入)

・ファミリーマート

発売アイテム数:7

パン売場にて販売(お客さんがセルフで手に取り購入)

「店舗スタッフが提供」するセブンイレブンとローソン、「お客さんがセルフで購入」するファミリーマートという、2つのパターンに分かれている販売方法ですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。

「店舗スタッフが提供」するスタイルは、いかにも出来立てのようで美味しそうに見えるものの、店舗スタッフに注文をしなくてはいけないので、お客さんによっては心理的なストレスになることも。また、提供スピードが遅れるデメリットもあります。

いっぽうで「セルフ購入」スタイルは、お客さん自身が自分で選べ、販売スタッフに声をかけなくても良いということで、気軽に購入できるという利点があります。ただその反面で、出来立てっぽくないというイメージがついてしまいます。

また、各社のドーナツの価格帯を確認してみると、各社の戦略が見えてきて面白いです。

セブンイレブン、ファミリーマートは低価格勝負。ローソンは健康志向商品(スコーン等)も加えて、幅広い価格帯を持っています。

商品回転数を上げて、売れ筋商品中心にしたいセブン・ファミマに対し、ローソンは女性客も含めた幅広い顧客獲得を狙っていることが窺えます。

なぜコンビニドーナツは苦戦しているのか

このように各社が鎬を削るドーナツ販売ですが、実際のところ現状はどこも売上が厳しい状況です。

ドーナツ導入時の目的は、挽き立てコーヒーの“ついで買い”をレジカウンターで実現させて、挽き立てコーヒー購入客のプラスαの売上(客単価アップ)を図る、ということでした。

言い換えますと、通常の他の商品とカニバリ(共食い)を起こすことなく、売上が上乗せされることを目指していたのです。

ところが実際には、それまで挽き立てコーヒーを購入していたお客さんは、同時にパンやスイーツなどを購入していました。

そこにコンビニドーナツが登場したことで、売上がそのまま上乗せされることなく、それらの他商品からの切り替えが発生したのです。その結果、当初目論んだ売上の上乗せには繋がりませんでした

ましてや、パン売場に展開する「セルフ購入」スタイルを導入しているファミリーマートでは、特にパンとのカニバリが強く発生する可能性が高いです。

また商品パッケージも、出来立て感よりもお菓子感が強く出てしまっていることも、売上上乗せ効果が低かった理由ではないでしょうか。

くわえて、コンビニドーナツが今ひとつ人気が出ない原因のひとつとして、お店で出来立てを提供しないという点も挙げられるでしょう。

コンビニのカウンター商材といえば、レジの裏でフライヤー調理を行ったり、中華まんを蒸したりと、出来立て感が強くひと手間かかっているところが、お客さんにとっても大きな魅力でした。

しかし残念なことにコンビニドーナツは、他のカウンター商品とは異なり、店舗で最終調理をするのではなく、トラックが運んできたドーナツを、販売什器に陳列しているだけでした。

発売当初、筆者自身もこれには非常に残念な印象を持ちましたし、他のお客さんも同様だったのではないでしょうか。

支持拡大を目指し続く試行錯誤

そんななか、これまで行ってきた販売方法を変えるという決断を下したのがセブンイレブンです。

セブンイレブンでは、お客さんの注文に応じて販売スタッフが販売什器から商品を取り出し、一品ずつ袋に詰めて販売するという方法を採用していました。

しかし今年7月下旬より、ドーナツが既に個包装された状態で各店舗に納品されるという方式に改めたのです。これによって、注文から商品提供までのスピードアップに成功しました。

また店舗サイドにとっても、個包装された状態で納品されることによって販売期限が伸びるため、商品廃棄のリスクが減少するというメリットがあります。

廃棄リスクが減れば、陳列ケースにより多くの商品を並べることが可能になり、賑やかになったケースを見せることで、お客さんの購買意欲を掻き立てるという効果も期待できます。

このように販売方法の変更等を行いつつ、コンビニ各社はまだまだドーナツマーケットに攻めこみ続けるでしょう。しかしながら現状では、本質的な課題解決ができていない印象です。

そもそものコンビニドーナツの使命とは、コンビニコーヒー購入客にプラスαで購入してもらうこと。これが出来ずして、通常商品とカニバリが発生せず、狙い通りの売上アップには繋がりません。

筆者としては、ここはコンビニのカウンター商材としての基本に立ち戻って、店内で「出来立て」を提供する方向を模索して欲しいですね。そうすることで初めて、従来のパンや菓子との違い(ポジショニング)が明確になるのではと考えます。

コンビニドーナツの最大のライバルと言えばミスタードーナツ。言わずと知れた日本のドーナツ市場におけるナンバーワン企業で、ブランド力では勝てませんし、商品開発力も段違いです。

そんなミスタードーナツの売れ筋上位商品をチェックしてみると、実は「ポンデリング」が一番人気なんです。

コンビニドーナツが今ひとつブレイクスルーできていないのは、このような独自のヒット商品を開発できていないことも、ひとつの要因ではないでしょうか。

文/日比谷 新太(ひびや・あらた)

日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで:u2_gnr_1025@yahoo.co.jp

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