1980年代後半に突如としてあらわれた「B級グルメ」という言葉。現在は「B-1グランプリ」が開催されるなど、すっかり「安くてウマイ食べ物」を意味する言葉として定着しました。そんな「B級グルメ」という言葉を作った先駆けが、1980年代~1990年代中盤にかけて文藝春秋社から刊行され、後に文春文庫ビジュアル版で登場した「B級グルメシリーズ」です。

当時の日本有数のB級グルメライターが選りすぐった名店でひたすらB級グルメを食べ続け、「ベストオブラーメン」というまさに「ラーメン写真集」を世に送り出し、「なーにがフレンチだ」「なーにがイタメシだ、チッ」なんて思っていた人々(主にモテない人々)を感動させたのでした。

当時の一流B級グルメライターはラーメンに飽き足らず、続いては「丼」に進出。「ベストオブ丼」を上梓し、カツ丼、親子丼、天丼、牛丼といった定番丼以外にも個性あふれる丼を多数紹介したのでした。25年の時を経ても、まだ世の中に残っている不朽の名作を紹介します。微妙に内容が変わっていたりもします。

ソースかつ丼(新宿・つるかめ食堂)

出典 http://ameblo.jp

かつ丼における和風と洋風の差異を、これほどまでに峻別する店は当節貴重といわねばなるまい。(※画像説明は『ベストオブ丼』より。以下同)

鮭親子丼(小樽・日野亭)

出典 http://blog.livedoor.jp

イクラは粉山葵を溶かしメシと混ぜ合わせて食べよう。そして口中が脂濃くなったら、ほんのり酒粕の匂いがする酒を食べ、お茶で口を洗って、またイクラに取り組まないと、シツコさに負けそう。

あわび丼(札幌・あわびの源太)

出典 http://www5a.biglobe.ne.jp

歯触りが良い北海道特産エゾ鮑と肝と海胆、鮑のトロロを掛けたアツいメシ。かき混ぜると、ほどよく温度が下がって食べ頃になる仕組だ。

きんし丼(京都・かねよ)

出典 http://korokatu0117.blog.so-net.ne.jp

錦糸玉子は薄焼き玉子の極細切りのことなのに、切らずに出すという意表をついた作戦。食べ進むと、中から鰻の蒲焼きが正体を現す。

まむし(大阪・いづもや)

出典 http://alan-smithee.com

こんもり山形に盛られたメシの上に何もないじゃないか。「そそっかしいなあ、忘れ物して」と笑ってはならぬ。これが大阪流の”まむし”なのだ。蒸さずに焼き上げる”地焼き”なので、鰻を熱いメシのなかに埋め、柔らかくして食べるのである。

ビーフワン(大阪・はり重カレーショップ)

出典 http://blog.goo.ne.jp

ビーフワンのワンは椀のことで、牛肉、玉葱、葱、三つ葉を玉子でとじた他人丼(関東では開花丼という)である。安い丼だからと期待もせずに食べてみると、牛肉の柔らかいのにビックリ。和牛の牝を使っているのだそうだ。

いか丼(福岡・河太郎)※写真は呼子店

出典 http://www.mapple.net

生け簀で泳いでいるのを素早く皮を剥き、包丁を入れ、ゴマ醤油にからめて熱いメシに乗せる。いまのいままで生きていた烏賊は透明で、「生きとうとは甘かでしょうが」「なるほど、なるほど」

どて丼(福岡・小金ちゃん)

出典 http://blog.livedoor.jp

湯がいてアク抜き脂抜きしたスジ肉とコンニャクを、白味噌、砂糖、唐辛子などで三時間ほどトロトロ煮込んで出来上がりなのだが、試行錯誤の末、味噌は牛乳で溶くのが最上との結論に達した。

焼鳥丼(高田馬場・鳥やす支店)

出典 http://tabelog.com

「素焼きは備長炭でしないといけない」のだそうで、一流店に負けない高価な炭を使っている。

ビフテキ丼(赤坂・津つ井)

出典 http://tabelog.com

ウナ丼が発想のヒントだったそうで、溜り醤油、味醂、砂糖、かくし味に水飴を加えて作るタレを付けた牛ロース百グラムを網焼き、切り分けてから上にバターを乗せ、黒胡椒を振り掛ける。

ばらちらし(神楽坂・二葉)

出典 http://tabelog.com

刻み海苔、錦糸玉子、カンピョウ、オボロ、烏賊、鮪の赤身とトロ、赤貝、穴子、イクラ、小柱、胡瓜、木の芽、紫蘇の葉、ガリ、柴漬けと十六種類のタネが入っている。下味が付いているので、醤油なしで食べられるのが、東京ではユニーク。

純レバ丼(浅草・あづま)

出典 http://tabelog.com

甘辛タレに唐辛子を振り掛けたレバーは、生でもなく、さりとて火の通しすぎでもない。でも、丼に向かいあうと大量の葱が発する刺激臭がモロに目に滲みて、はてしなく涙が流れたのには閉口。

ソイ丼(新宿・つるかめ食堂)

出典 http://blog.goo.ne.jp

ご飯の上に広がるのは大豆のチリソース煮(薄味)。そして、丼の半分を占領しているのは、自家製スモークポーク(これも薄味)。さらにその下には醤油と砂糖で薄味を付けた合いびき肉や春菊が入っている。

『ベストオブ丼』に登場した個性派丼(普通のカツ丼や鰻丼ではない)を最初のページから選んでいったのですが、いやはや、一軒もなくなっていませんでした。同書を作った「どんぶり探偵団」の皆様の慧眼に、25年の時を経てあらためて感じ入った次第であります。

そして、こうして今の時代にネットにこれら丼を公開する方々も「どんぶり探偵団」のスピリッツを継ぐアツき方々なのであるわけですね。丼よ、永遠なれ!

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