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睡眠薬に頼ることなく、再発のリスクも避けられる…。不眠に悩む人にとっては夢のような治療法が、不眠症治療の場で実際に活用されています。その名も「認知行動療法」。

同療法に詳しい臨床心理士で早稲田大学人間科学学術院助教の岡島義先生に、認知行動療法における不眠改善への第一歩として、患者さんにも伝えているという、睡眠の基礎知識についてお話を伺いました。そこには、意外に知られていない眠りに関する秘密が隠されていました。

不眠改善のための「睡眠衛生指導」と「睡眠教育」で意外な勘違いを発見

認知行動療法によるカウンセリングの初期段階では、「睡眠衛生指導」「睡眠教育」を行うことがあります。

【睡眠衛生指導】
目的:眠りを妨げる習慣や睡眠に悪影響を及ぼす物質などをコントロールし、不眠を改善するための指導。

内容:アルコールやタバコ、カフェインとの付き合い方や、運動や食事の仕方、睡眠環境の整え方など、より良い睡眠に必要な情報を伝えていく。

【睡眠教育】
目的:眠気をもたらす深部体温とは何か、1日おおよそ24時間の概日リズム周期、睡眠と年齢の関係など、睡眠のメカニズムに関する内容を学習し、良質な睡眠をとること。

内容:それまで睡眠にとってプラスの効果があると思い込んでいたことが、実は間違っていたことに気づく人もいるといいます。症状が軽い人であれば、情報をもとに睡眠習慣を改めることで不眠が改善されることもあるそう。

「不眠症の人は、睡眠衛生はきちんとコントロールできているケースが多いですね。そのため、睡眠衛生指導を行ってもあまり効果はないという研究もあります。しかし、睡眠教育を受けることで、さまざまな“睡眠に良い”とされていることの裏付けが分かるため、自分に合わせた工夫ができるようになっていくのです」(岡島先生)

不眠の症状や程度、原因は人それぞれ。一般的に良いとされていることをそのまま取り入れても、改善されるとは限りません。そんなとき、睡眠教育で得た知識があれば、自分に合った対策をとることができるというわけです。

あなたもやってるかも! 間違いやすい睡眠習慣

普段の習慣が、知らない間に睡眠に悪影響を及ぼしているということもあります。睡眠教育で扱う話題の中でも、特に間違って認識している人が多いことを教えていただきました。

・朝起きたら光を浴びる
睡眠リズムを整えるため、朝起きたら光を浴びることが大切と言われていますが、それにも正しい光の浴び方があるのです。ただ光を浴びるのではなく、目から光を取り入れるようにすること、起きて2時間以内に30分以上浴びる、というのが不眠改善のためには重要です

・寝る前の晩酌
朝の過ごし方だけでなく、寝る前の晩酌が習慣になっている人も要注意。アルコールの摂取で眠気が訪れることもありますが、アルコールで睡眠が浅くなることもあります。

「お酒を飲んで眠れていると思っている人は多いのですが、お酒を飲むと眠りの質が悪くなるので、日中に眠気を感じているはずです。夜にお酒を飲むなら、眠る4時間前までにしておきましょう」(岡島先生)

・時計を見ること
眠れないことが気になると、寝入るまでに何度も時計を見てしまったり、夜中に起きるたびに時間をチェックしたりしてしまうものです。しかし、それによって余計に“眠れない”という意識が強まるので、時計は見ないようにしてください。

「不眠がひどい人は、置き時計などを目に入らないところに移動させるほか、どうしても目に入ってしまう壁掛け時計などは布をかけるなどで見えないようにしてもらうのが改善への第一歩です」(岡島先生)

最近眠れないと思っているあなた、時計を見る頻度が増えていませんか? いったん目覚ましをセットしたら、あとは時計の存在を忘れてしまったほうがよさそうです。

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ベッドでゴロゴロ過ごすのは不眠の原因? 寝床での正しい過ごし方

よく、寝床に入ってテレビを観たり本を読んだりする人がいますが、不眠の原因にもなる良くない習慣なのだとか。

「寝床に入っても寝ない習慣がついてしまうので、基本的に寝床は寝るためだけに使って下さい。ただ、場合によっては、そうした習慣を続けるように指導することもあります」(岡島先生)

不眠症の人にとっては、「眠れたという結果」が重要です。もし、寝床で本を読むことによって寝つきが良くなるのであれば、それを続けてもよいのだとか。

ただし,結果を確認するためには、一喜一憂するのではなく,1〜2週間の実践が必要です。長い目で見て睡眠の問題が改善する方法であれば、どんどん活用しましょう。

「“眠れない”という状況に変化が起きることが大事なので、継続的に良い結果(=眠れること)が続いて、かつ日中に支障が出ないのであれば、そのままでもOKです」(岡島先生)

ちなみに、本を読まないと眠れない人の場合、脳が興奮して覚醒することを防ぐため、あまりドキドキ・ワクワクするような内容の本を選ばないようにしましょう。写真集や、何度も読み返している雑誌などを眺める程度が、脳の興奮を抑えるためのポイントになります。

不眠症とまではいかなくても、なんだかよく眠れないと感じている人は、何か間違った習慣が身についてしまっているのかもしれません。普段は意識していない自分の習慣について振り返って考え、その習慣が正しいかどうかをチェックしてみてください。

監修:岡島義(早稲田大学人間科学学術院助教)

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