日本の警視庁の統計によると、国民の約13人に1人が3.4秒の間隔で緊急コールセンターに電話をしていることがわかっています。最近では、固定電話よりもスマートフォンなどの移動電話からの通報が3件に2件はあるのだとか。そしてその割合は年々増加しているということですが、その分誤発信も増えているという問題が浮き彫りに。

ほとんどの携帯電話はロック状態でなくても緊急電話をかけることが可能なために、これが誤発信や悪戯電話に繋がって来たと言われています。アメリカでも携帯電話からの発信のうち、3分の1が誤発信であったことも調査で明らかになっているのだとか。

通報を受けた以上は、それが誤発信であるかどうかを確認しなければならず、それに対しての時間が大きく割かれてしまうことに。年間約8400万件の誤発信による無言電話を一回一回確認する時間は1分以上と言われており、ただでさえ忙しい緊急コールセンターのオペレーターは、本当に緊急事態の電話がかかっていても、それに大きく時間を取られてしまうことで繋がらないというケースも多発しているといいます。

そんな多忙なコールセンターに一本の電話が…

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忙しい勤務が終わってちょうど家に帰る準備をしていた矢先に、一本の電話を受けたキャサリン・グレーディーさん。それは86歳になる高齢者の女性からの通報でした。「ゴミを…」女性はキャサリンさんに必死にお願いしたのです。「2週間もゴミ収集に来てもらえていない。道路に出してくれる人がいない」とその女性は緊急コールをしてきたのです。

「翌朝、彼女の家に行ってゴミ出ししました」

通報主は、コネチカット州ハートフォードに1人暮らしをしているフランシス・ロイヤ―さんという女性で、電話を受けたキャサリンさんに、40年近くもこの場所に住んでいること。以前は家族と一緒だったが今は病気を患い一人暮らしなこと。いつもは近所住民がゴミを出してくれるのだが、ここ2週間ほどそのままになっていること。障がいがあるので自分一人でゴミ出しができないことなどを訴えました。

「誰に伝えていいのかわからず、思わず911コールをしてしまった…誰かゴミ出しに来てくれる人を探してほしい」そう言われたキャサリンさんは、業務内容を超えて「じゃあ、私が明日の朝、ゴミ出しに行きますよ」とオファー。

そして約束した通り、キャサリンさんはフランシスさんの家に出向き仕事とは全く関係ないゴミ出しをしたのです。フランシスさんはキャサリンさんの親切な行為に感激し何度もお礼を述べていたそう。

「ゴミ出しぐらい何でもないことです」

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キャサリンさんは、毎日の勤務でいかに誤発信や「どうにも解決できないことで電話をしてくる人」が多いかをメディアに語りました。「ゴミ出しは、私が行ってゴミを出せば解決できること。911に電話をしてくるということは、その人にとって問題が大きくても小さくても、解決してほしい問題なわけであって、できる限りは応えるようにしたい」とキャサリンさん。

高齢者が一人で住んでいるという孤独な現状に対し、心無い言葉を投げかける人もいます。今回の一件では「誰か世話してくれる人と一緒に住めば、緊急コールセンタースタッフの手を煩わせずに済むのでは」といった声もありました。でも、高齢者全員がそのような待遇ができるとは限らないということを私たちは理解すべきではないでしょうか。

毎日、数えきれないほどの緊急コールを受けているコールセンタースタッフ。どこの国でもその状況は似たようなものでしょう。中には「救急車をタクシー代わりに使う高齢者」もいて、日本でも問題になりました。アメリカでは「一人で服が着られない」と2歳の女児が911コールをしたことも話題になりました。

キャサリンさんの言うように、「911コールをしてくる人は、自身が緊急事態だと思っている」人がほとんど。こうした電話が多いために、本当に重大な緊急事態の電話が繋がらなくなるというのは確かに問題ですが、キャサリンさんのような行動ができる人は素敵だと思います。

時には、重大な緊急事態でも「重大だとは思わなかった」と救急車の要請を後回しにするコールセンターのオペレーターもいて、誰かの命が失われたりするという悲しい出来事もあります。何が重要かそうでないかの判断は、恐らく通報を受けたオペレーターの判断によるのでしょうが、緊急コールセンターに勤めているスタッフ全員が、キャサリンさんのように真摯に通報に対応していると願いたいですね。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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