記事提供:AbemaTIMES

AbemaTV『AbemaPrime』10日放送で、ちょっと変わった旅をしている人“奇人”をお届けする「REINAの知らない世界奇人紀行」コーナーにて、ノンフィクションライターの水谷竹秀さんが出演。

2004年からフィリピンを拠点に活動する水谷さんは、2012年から3年間、経済的理由などで日本を離れ、フィリピンに移住する高齢者を取材。著書「脱出老人」にまとめた。

■海外への移住に、人生の最後をかけた日本人

フィリピンに住む日本人は、2年前の統計では、1万8000人。3分の2は男性だ。高齢の日本男性が、フィリピンの若い女性と結婚するケースもある。その理由は、やはり「お金と女」の関係性なのだろうか。

水谷さん)単刀直入に言ってしまうと、そういうことになりますね。ただ良いか悪いかは別にして、フィリピン女性と日本男性だからというわけでもないと思っています。日本人女性でも年収400万円以下の男性は結婚の対象外とするという統計もありますし。

本の表紙になった小林さんは、「日本と比べたらこっち(フィリピン)のほうが楽。いろんなしがらみがない。日本にいたら21万円の月収と年金だけの生活。とても無理だったでしょうね」という。

幸せな最期を求めて、フィリピンという土地に移住した高齢者たち。“脱出老人”がなぜ生まれるのか。キーワードの一つが「困窮邦人」だ。

■「困窮邦人」とは

困窮邦人とは、海外で経済的に生活困難になっている日本人をさす。各国にある日本大使館などに助けを求めた困窮邦人は、2014年は世界で359件。うちアジアは255件だった。中でもフィリピンは、“困窮邦人”が非常に多い。

水谷さん)高齢化社会の中で、みなさん多かれ少なかれ息苦しさを抱えておられて、ふと海外に行ってしまう。もともと日本のフィリピンパブで知り合っていたことからフィリピンに行ったり、女性が国に帰るのを追いかけたり。

(そうした)女性にハマってしまって、路上生活を送ってしまう方々がいるんです。

フィリピンでは困窮老人が年間100人前後大使館に駆け込むという状況が10年くらい続いていて、世界的にもダントツです。

――困窮邦人はどういう生活を送っているのでしょうか?

水谷さん)僕が取材した方々は、ダンボールをしいて路上で寝ているような人もいたし、(女性を)追いかけたものの捨てられて、行くあてもなくという人も。

またある方は教会で生活していたり…わりと教会は、そういうことに寛容なので。

――そういう男性たちはなぜ、日本に帰ってこないのでしょう?

水谷さん)ビザの延長ができないので自動的に不法滞在になるんですよね。

そして、ご本人たちの状況もある。(日本でもともと)派遣労働者で働いていたりして、老後の生活を考えたときに、行く先が暗いというなかで、先輩に誘われたなどのきっかけでフィリピンパブに行く。

そうすると、(フィリピン女性たちが)もてなしてくれるんですね、年齢が(かなり)上であっても。そうすると自分はまだまだイケてるんじゃないかと思ってしまい、通ってしまう。

――生活困難になって、親族に助けを求めるということは…。

水谷さん)そのために大使館に駆け込んで、助けてくださいというんですが、大使館ができるのは親に電話をかけること。でも家族からは“長年不義理をかさねていて、今さら何言ってるの?”と切られてしまうんです。

「脱出老人」のもう一つのキーワードは、日本の高齢化問題だ。

■老老介護

厚生労働省が発表したデータでは、介護が必要な高齢者がいる世帯で、65歳以上の方が介護をしている世帯は51.2%。75歳以上の方が介護している世帯は29%に上る。こうした高齢者が高齢者を介護することを「老老介護」と呼ぶ。

水谷さん)一人暮らしの高齢者が、寂しさから開放されたい、人と触れ合いたいというなかで、介護の問題もある。「老老介護」と「脱出老人」は、合わせ鏡になっているんです。

最初、(フィリピンに行くきっかけ)は女性が発端かもしれないけれど、取材した人たちからは、こぞって日本の高齢化社会のなかで生きていくことの希望のなさが感じられます。居場所がないといいますか…。

自ら日本を脱出する老人がいる一方で、両親をフィリピンへ移住させる人たちもいる。

水谷さん)日本では(施設に入れると)拘束されたり、睡眠導入剤を飲まされたりするので介護ができないなどとして、フィリピンなら面倒をみてくれるんじゃないかという期待をもって、親を連れていって面倒をみてもらおうとする人は意外といますね。

うまくいく人もいるし、そうじゃない人もいます。フィリピン人メイドとうまくいかないというケースもあります。

取材したなかでは、認知症なのでお金を下ろしてくれといったら余分にお金を下ろされたりとか。でも日本じゃなくて、フィリピンに連れて来てよかったと語ってくれた方もいました。

この日ゲスト出演したブラザー・トムは、女性を追いかけていくことには「それだけの恋ができたということ」と前向きに捉えつつ、

「フィリピンではどんなことがあっても家族といる。日本では年をとったら、一人で生きていく施設に行く…。どっちが“裕福”なのかわからないですね」

と話す。

MCの宮澤エマも、「温かさを、住んでいる国のコミュニティに求められないのは寂しい」とコメントした。

“脱出老人”の現状はごく一部の人たち。まだまだ知られていない人々の姿がある。

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