記事提供:TOCANA

世界中がリオ五輪の興奮に包まれている。連日放送される選手達の素晴らしい演技もさることながら、その鍛え上げられた肉体も惚れ惚れするほど見事だ。これだけの肉体を作り上げるには過酷な食事の節制と、つらいトレーニングがあったことだろう。

しかし、栄養学や最新のウェイトトレーニングを知らなかった古代のオリンピアンも現代のアスリートに負けず劣らずの鋼の肉体を持っていたことが考古学者らの研究により判明したそうだ。

■古代オリンピアンの肉体美

古代オリンピックは紀元前9世紀頃に始まり、キリスト教がローマ帝国の国教として認められた西暦392年の翌年、第293回オリュンピア祭を最後に幕を閉じるまで千年間近くに渡り開催されてきた。

これほどの大イベントだったが、当時のオリンピックを伝える資料は『イーリアス』などの文献資料や遺跡しか残されていなかったため、古代のオリンピアンについて具体的なことはほとんど分かっていなかったそうだ。

古代オリンピアンの肉体美が明らかになったのは、1959年イタリア北西部ターラントで建設作業員により発見された紀元前480年頃の古代ギリシア人の遺骨が調査されてからのことだった。

発見された遺骨は2度の調査にかけられ、強靭な肉体を持った古代のオリンピアンであることが判明したという。

1度目の調査は1980年代、イタリアのベスビオ火山の噴火で失われた古代ローマの遺跡ヘルクラネウムの調査で名の知られていた考古学者サラ・バイセル博士により執り行われた。バイセル博士は、調査の結果を次のようにまとめている。

「生前この人は万能型のアスリートだったと断定して構わないと思います。栄養状態も良く、トレーニングもよくつんでいたことが遺骨から分かりました。まさに、オリンピック精神の体現者と言って差し支えないでしょう」

博士によると、遺骨にはアスリート特有の肥大した筋肉による骨の変形が確認されたそうだ。

2回目の調査は1990~2000年初頭にかけて行われ、Gaspare Baggieri氏率いる調査チームが、より詳細な事実を発見した。

■食生活から競技種目まで判明

Baggieri氏によると、遺骨の身長は173cm、当時の平均身長より少し高い程度で、20~30代にかけて亡くなったことが分かったそうだ。

また、食生活もアスリートそのもので、魚介類や肉類を豊富に摂取していた一方、炭水化物は少なめに抑えていた形跡があるという。

さらに、右肩間接の磨耗状態、背中(僧帽筋)と肩(三角筋)の発達、前腕尺骨の長さから、このオリンピアンが円盤投げ選手だったことが強く示唆されているという。

それに加え、太ももの筋肉の肥大から、立幅跳選手としても活躍していた可能性があるそうだ。これほどの筋肉量ならば、3メートルほどは軽々とジャンプできるとのこと。

その証拠に、遺骨とともに3つ埋葬されていたアンフォラという陶器の1つには、走幅跳、円盤投げ、槍投げ、レスリング、スタディオン走(短距離走)を含む五種競技の絵が描かれている。

残る2つのアンフォラには、それぞれボクシング(もしくはレスリング)と戦車競走が描かれているが、遺骨に打撃による歯や顎の損傷などが見られないため、彼がボクサーやレスラーとして活躍していたかは不明とのこと。

戦車競走に関して、これまでの研究では、このオリンピアンは選手ではなく、戦車競走のスポンサーだったと考えているようだ。

それというのも、古代ギリシアにおいて五種競技の勝者に与えられる賞金は多額であったため、その賞金で戦車を誰かのために購入した可能性があるからだ。

だが、調査チームのリーダーであるBaggieri氏は、脊椎下部の磨耗はデコボコした地面を戦車で走った証拠だと主張しており、両者の意見は対立している。

このように遺骨から様々なことが判明したが、外傷がないためどうしても死因は特定できないそうだ。抗生物質が存在しなかった当時、死因となる疾患は数多くあったとBaggieri氏はいう。

また、この遺骨に関する歴史的資料が欠如しているため、実際に古代オリンピックに参加していたかも断定できない。

さらに、古代オリンピックの優勝者にはオリーブの冠が与えられていたが、2500年前の墓地から植物の残滓を発見することは至難だという。

このように物的な証拠は乏しいが、考古学者らがいうには、五種競技大会で優秀な成績を残していれば、間違いなくオリュンピア祭に招待されていたとのこと。

いずれにしろ、これまで発見された「古代オリンピックと関連がある遺骨」はこの1つだけだ。彼の他にも無数の古代アスリート達が今も地中に眠っていることだろう。

映像に残されなかった彼らの勇姿が、今後の調査で少しでも明らかになることを切に願う。

出典:Forbes

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