この夏、北川景子さん主演のドラマ『家売るオンナ』(日本テレビ系)が3週続けて視聴率10%越えと好調なようです。

「私に売れない家はない」と豪語する主人公・三軒家万智(さんげんや まち)はトップクラスの不動産営業ウーマン。その鮮やかな営業テクニックによって、自身の成績をガンガン伸ばしていく姿が描かれていますが、このドラマを見ていて、「実際の不動産の営業の人って、どんな風に仕事をしているんだろう?」と興味が湧いた方もいるかもしれません。不動産の仕事では、一体どんな「営業テク」が使われているのでしょうか?

そこで今回は、東京都練馬区にある不動産会社「株式会社ハウジングサクセス」の代表・金子徳公さんにお話を伺ってみました!

ドラマ『家売るオンナ』の描写、どこまでホント?不動産会社代表に聞いてみた

出典「株式会社ハウジングサクセス」の代表・金子徳公さん

『家売るオンナ』では、部下に徹夜をさせたり、厳しく叱責したりすることも行われていました。実際に不動産業界ではそのようなことは行われているのでしょうか? まずは、そのことについて金子代表にお聞きしました。

「昔はありました。むしろ、昔の業界は『家売るオンナ』のドラマより厳しかったと思います。上司からガンガン怒られましたし、殴られたり、モノが飛んできたりも日常でした。しかし、ドラマと同じようなことを現代でやっていたら、スタッフがついてこれません。むしろ非効率的で生産性が落ちると思います」(金子代表)

なるほど。ドラマのように時間と根性をフルに使っていてこそ、「営業テクニック」がさえわたるのかと思っていましたが、どうやら今はそうではないようです。

不動産は、命の次に高い買い物です。人の人生を左右する商売なのです。だから、お客様の都合に合わせなければならないことも多々あります。それができなければ、昔は上司からこっぴどく注意されることがありました。今はそういうシーンは減った反面、売り上げがなかなか上がらない若手の営業がつらくなり辞めていく。そんなケースが多いような気がします」(金子代表)

昔と比べて、上司が怒る場面は減ったといいます。しかし、今も昔も「お客様の都合に合わせる」ことが重要という点では、お客様が必要とすることに自分で気付いて、行動に移す気持ちが大事ということなのでしょう。

不動産営業のテクニックを7つ教えてもらった!

「お客様の気持ち」を第一に考えなければいけない不動産の営業。どうやって、お客様の懐に入り込み、不安・悩みを解決し、心を開いてもらうのでしょうか?金子代表の営業テクニックを7つ教えていただきました。

1. 日常的にたくさんの街並みや環境をチェックする

「街並みを眺めることによって、インスピレーションが湧いてくるんです。たとえば、たくさんの地域の街並みを知っておけば、『▲▲と●●の条件を満たしたA地区の物件』をご希望されているお客様がいるとして、『これって、B地区にも当てはまるな。B地区もおすすめできないだろうか?』と気づき、提案することができます」(金子代表)

お客様が希望する物件以外にも、たくさんの地域の物件・街並みを幅広く知っておくことで、提案のバリエーションが増えるのだそうです。確かに、思いがけない場所から、自分の希望に当てはまる物件を提案されたら、つい心が動いてしまいそうですね。

2. お客様の「譲れない6割」を明確にしてもらう

「お客様のご希望条件を10個(それ以上でも可)出していただいて、その6割以上クリアしている物件は、お客様にとってきっと後悔しない物件です、とお話しています。残りの4割はあったらうれしい程度というのが実際のところです。ですから、譲ってはいけない6割を明確にしていただくようにお話しします」(金子代表)

家探しをする時はついつい「あれもこれも!」となってしまいがちですが、何が譲れないのかを明確にして期待値を上手にコントロールしておけば、条件を多く満たしている物件に出会えた時はすんなり納得できそうです。

3. 営業車の運転で細道を走ってみせる

「お客様を乗せて車を運転するときにも気を払っています。今はあまりやることはありませんが、昔は細道を大きめの車で走って、『この車で大丈夫なのですから、運転に関しては心配ありませんよ』って話したりもしていました」(金子代表)

車を所有している人にとって、物件の周りの交通環境は気になるものです。あえて大きい車でスムーズに運転することで、お客様に安心してもらうという、細やかな気配りを感じさせるテクニックです。

4. 営業車の中で音楽を流して、話しやすい環境を整える

「営業車の中では、ラジオや音楽を微妙に聞こえる程度の音量で流します。お客様に、見た物件の感想を話してもらいやすいように環境を整えているんです。無音だと話しづらいですから。物件の感想を聞いて心配事を解決してあげたり、逆に『あの物件はやめましょう』とお話して選択肢を絞ってあげることもあります」(金子代表)

物件の見学にせっかく行ったのに、そこで感じたことをうまく話せなかったら、家を買う気持ちにも少し影響が出てしまうかもしれません。感想を話しやすい環境を作ることが、物件への気持ちを高めたり、購入の決め手となる踏み込みにつながるようです。

5. 業界の裏話で、お客様の心の中の「盾」を外す

「不動産業界には、1件目に良い物件を案内し、2件目、3件目、4件目…と悪い物件を紹介していく、という営業の手法があるのですが、私はお客様に『業界にはこんなテクニックがあるんですよ』と打ち明けて、お客様の心の『盾』を外しています。その上で、『気になる物件だけを見ましょう』とお話しています」(金子代表)

不動産は高額な買い物であるからこそ、営業マンが盾を外すことで、親身になってもらうことが大事だといいます。お客様との距離を縮めることが、家を買う気持ちを引き寄せるのでしょう。

6. ご近所の人間関係を、売り主の「目の様子」から見抜く

「高額な住宅・マンションを購入すると、簡単には引っ越せないですから、『ご近所がどんな方なのか?』を心配されるお客様もいらっしゃいます。中古の場合、私は直接、売り主さんに『ご近所づきあいどうですか?』と話を聞きに行きます。ただし、売りたいがために『みなさん仲が良いですよ』と嘘をつく売り主もいるんです。

ですので、『仲が良いって、具体的にはどんな感じで仲が良いんですか?』とエピソードを聞き出しています。嘘をついていたら、具体的なエピソードは話しづらいからです。また、話しているときの表情や眼の動きも見ています。人は嘘をついているときは、眼の動きが変わるんですよね」(金子代表)

不動産仲介を通じて家を購入する場合、売り主から上手に情報を得ることも大事なんだとか。そこで得た情報が、買い主が家を購入する決め手になることもあるので、売り主と関係性も重要だといえます。

7. お取引が終わった後も、お客様とコンタクトを取る

「取引が成立したら、もうそのお客様とは連絡を取らない不動産業者も多いようですが、当社は取引後も本当に長いお付き合いをさせていただいております。売買でお取引させていただいたお客様には、毎年お花をお送りさせていただいているんです。『常にあなたのことを意識しています』ということを感じていただきたいと考えています。モノを贈ると邪魔になってしまうので、お花をチョイスしています。

ほかにも、リフォームはローンではなく分割でお受けしたり、特選情報も定期的にお送りしたりしております。そのため当社では、既存のお客様から新たなお客様をご紹介していただけることが多いです」(金子代表)

不動産営業の仕事において、お客様の離婚問題を解決したことも

出典練馬区にあるハウジングサクセスの店舗

「表面上の話をするのではなく、お客様の真意をお聞きする」ことをモットーとされている金子代表の営業スタイル。なんと、お客様の離婚問題を解決した経験も複数回おありだとか。

「私がこだわっているのは、お客様に『ハウジングサクセスという会社のお客様』になっていただくのではなく、『各担当営業マンのファン』になっていただきたいということです。ただ家を売るのではなく、お客様の明るい未来の提供のお手伝いをさせていただく不動産会社という立ち位置で、自信を持ってお客様に接しています」(金子代表)

「不動産営業マン」と「顧客」の枠を超えて、「人間同士」として深く付き合おうとする姿勢には驚かされます。結局どんな仕事でも、人間と人間のやり取りになるわけです。普段、営業や接客をはじめ、人と向き合う仕事をされている方は、金子代表のテクニックを明日から参考にしてみるといいかもしれませんよ!

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