幼い頃、デパートへの買い物について行く楽しみといえば、“屋上”へ行けることだったかもしれません。なぜならひと昔前までは、多くのデパートに「屋上遊園地」があったから。

そこには、小さなメリーゴーランドやミニレールを走るSL機関車といった乗り物、モグラたたき、メダルゲームといったレトロなものまで、キラキラと輝く遊び場が広がっていました。

日本における常設による初めての屋上遊園地は、昭和6年に開店した松屋浅草店といわれています。日本初の自動木馬(単体の乗馬遊び)などが設置され、その後の高度経済成長の中で、遊園地だけではなく仮設ステージが誕生。テレビ番組のキャラクターショーや人気歌手のサイン会などが開催されるなど、子供たちだけでなく親世代にとっても心の拠り所となっていました。

姿を消していく屋上遊園地と「観覧車」

ですが、かつては一世を風靡した屋上遊園地は、近年は娯楽の多様化や少子化などの影響もあり、来園者数が減少。多くの施設が閉鎖となってしまいます。これは全国的に広がっており、東京都内でもその多くが廃止の道を辿ることに。一昨年には、東京23区の施設から、屋上遊園地の象徴でもあった“屋上観覧車”が姿を消してしまいました

各地域で屋上遊園地の閉園・縮小傾向は続いており、2016年の3月現在、都内の屋上遊園地は3つ。そのうちの2ヵ所、東武百貨店池袋店と東急百貨店吉祥寺店には、屋上観覧車の姿はありませんでした。

前略、屋上遊園地の象徴だった「小さな観覧車」。

今、まだどこかにありますか?

「はい、都内唯一の屋上観覧車を、復活させました」

そう答えてくださったのは、都内唯一の屋上観覧車を設置する「屋上かまたえん」の担当者さん。

蒲田東急プラザ(大田区)の屋上にある屋上かまたえんには、この「幸せの観覧車」だけでなく、昔ながらの足でこぐ乗り物「エコライド」、開放感たっぷりのランポリン「風の丘」などがあり、家族連れを中心に連日賑わいをみせています。

ちなみに、「幸せの観覧車」はネーミングの公募を行い、多くのファンから寄せられた全2,938通の応募から地域に『幸せ』を届ける願いを込めて決定したという背景が。

一時閉園を経て、都内唯一の屋上観覧車としてリスタート

出典 http://kamata.tokyu-plaza.com

初代 通称「お城観覧車」(1968年~1989年)

この屋上観覧車は、1968年の設置から「東急プラザ蒲田(当時の名称)」が一時閉店した2014年3月までの45年間、「蒲田のランドマーク」として地元の方々に愛され続けていました。一時閉店の際、存続を望む応援の声がたくさん届き、その秋に奇跡の復活!東京でたったひとつの屋上観覧車として再出発することとなります。

出典 http://kamata.tokyu-plaza.com

2代目「グレ太の観覧車 フラワーホイール」(1989~2014年)

屋上かまたえんの「今」

出典大田文化情報誌

現在はどんな人たちが訪れているのでしょうか?かまたえんを運営する東急プラザ蒲田の担当者さんに詳しい話を伺いました。

ーーかまたえんを訪れるお客さんは、どのような方が多いのでしょうか。

東急プラザ蒲田 担当者さん以下、東急):ファミリーのお客様が中心ですが、写真好きの方、屋上遊園地ファンの方をはじめ、お昼時にはサラリーマンの方が休憩にいらっしゃることも多いです。

ーー2014年の閉館の際には、お客さんからはどんな声が届いていたのでしょうか。

東急:お客様からは存続を望む多くのメッセージ、お手紙、お電話などをいただきました。閉館時のメッセージボードへの寄せ書きも多くいただきました。こちらが当時の寄せ書きです。

ーー観覧車は1968年から続いてきた歴史があるんですよね。

東急:観覧車は、3世代に渡り親しんでいただいています。休日や夕方の時間帯などは、カップルの方々がデートで利用されていることもありますね。

ーートランポリンの「風の丘」は珍しい形をしていますが、どのようなコンセプトでできた遊具なのでしょうか。

東急:風の丘は、「子供たちがいろんな遊具に見立てて遊べる」というのがコンセプトです。あるお子様は「山に登りたい!」、その隣にいるお子様は「雲に乗りたい!」など、トランポリンというカテゴリではなく、遊べるオブジェという考えのもと、それぞれのイメージで遊びを創りだす装置だと考えています。

ーーかまたえんが、多くの方々に愛されている秘密を教えてください。

東急:お子様の遊びの多様化、また大人を含めたエンターテイメントの多様化により、古くからある変わらない景色というものが珍しくなってきています。そんな中、変わらずあり続ける観覧車や、安心してお子様が遊べる屋上庭園という環境がお客様に支持されていると感じています。

かまたえんは、東京都内に唯一残る屋上観覧車をシンボルに、「遊び」と「屋上庭園」を融合させた施設です。大人にとっては童心に帰れる場所、お子様にとっては珍しい遊び場…といったように、世代を超えたコミュニケーションが自然に生まれ、それが思い出に残り続ける場所として、これからも多くの方々に愛されてほしいと思います。

屋上かまたえんの観覧車からは、天気がいいと富士山が見えることもあるのだそう。都会の喧騒に疲れたとき、心を洗ってくれるに違いありません。

時代が移ろいでも、屋上遊園地に想いを馳せる人がいる限り、その場所は私たちの訪れを待っていてくれるように感じます。そうして刻まれていくかけがえのない思い出は、心の拠り所となり、世代を超えて継承されていくのでしょうね。

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