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記事提供:messy

お金を節約するとしたら、あなたは生活のなかの、どの要素を削りますか? 食費や服飾費や交際費など、既に減らそうと工夫してみたことがあるかもしれません。そのうえで、節約してもなかなかお金が貯まらず、しかも日々の潤いまでなくなってしまった……という残念な経験もあるのではないでしょうか。

今回インタビューした豊田さんは、住まいを賃貸から分譲に切り替えることで、住宅費を節約しようと試みています。それも月々のローンの支払いを少なくするのではなく、「人生を通して住宅費を大きく節約する」ための物件の運用を考えているのだそう。

豊田さんの購入時の年齢は30歳。まだまだライフプランが定まらない年齢ですが、結婚などの生活の変化も織り込み済みで購入したのだといいます。30代ならではの物件活用の展望とは、どういったものなのでしょうか。

金融関係事務職の豊田さん(33歳)の場合

【豊田さん&お部屋のプロフィール】
豊田さん:金融関係事務職。大阪府在住で3年前に不動産を購入。当時の年収は、約300万円。今春、物件購入時すでに交際していた男性と結婚したばかり。パートナーが豊田さん購入の物件に移り住み、新婚生活を始めている。両親は愛知県在住、姉は東京都在住。

所在地:大阪市 JR東西線御幣島駅徒歩7分
専有面積:約59㎡
築年数:購入時31年(S56建築)
間取り:1SLDK(10帖のLDK、6帖の和室、8帖の洋室(納戸)、バス、トイレ)
価格:870万円(諸費用込み)
管理費:8,600円
修繕積立:1万2460円
月々のローン返済:月々5万5,000円 10年ローン(親ローン)

ーー30歳で購入というのは、シングルで買うケースにしては比較的早い決断だと思います。

豊田「ほかの方とは少し考え方が違うかもしれないのですが、一生モノの不動産を買うという意識ではなく、賢くお金を使いたかったんです。そもそも私は年収300万程度と、そんなに収入があるわけではなく、将来の大きな昇給も見込めません。収入が変わらないなら、支出を変えるしかないだろうと……」

ーー賃貸ではなく、購入することが、賢いお金の使い方だと考えられたんですね。

豊田「一番大きかったのは、家賃の支払いをもったいなく感じたこと。以前の家賃は5万8000円。購入するまでは4、5年ほど賃貸で暮らしていましたが、結局高い賃料を払って手元に何も残らなかった。私にとって大きな支出といえば住居費と社会保障費でしたから、そのどちらかを節約すると効果が大きいと思ったんです。たとえば食費を節約するといっても、ひとり暮らしではたかが知れてます。そうなると、社会保障は削れないから住宅費を節約するしかない! というところに行き着きました」

ーー購入することで、月々のローンが低く抑えられるから、節約になるということでしょうか?

豊田「いえ、確かに普通は購入すると月々のローンの支払いが、同ランクの物件の賃料より安くなることが多いのですが、私の場合は月々の支払いは賃貸と変わらなくてよいので、早く支払い終えることを優先しました。返済期間は10年と決めて、それで返せる金額の物件に限定して買うことにしたのです。それで予算を1,000万円までに決めました。現在の月々の支払いは、管理費等を含めると約7万6,000円なので、賃貸のときと比べれば月々の支払いは増えましたが、家の広さは倍近くなって、現在の家を賃貸で借りた場合と同じくらいの支払いになっています」

キャリアアップが見込めないからこそ

ローンの返済期間が長くなれば、そのぶん払う利息も多くなります。つまり、返済期間を短くすると毎月の返済額が上がりますが、長い目で見ればその方が節約になるということ。たとえば3,000万円を金利2%で借り入れした場合、返済期間が35年の場合と34年の場合とでは、支払う総額が37万円も変わるのです。

ーー目先の支払いを減らすことではなく、人生を通したトータルの支出を減らす考え方。30歳の若さでその判断ができるなんて、立派すぎます!

豊田「キャリアが頭打ちだという感覚があったので、その他の部分で頑張るしかないと思っていました。私は仕事柄、破産や倒産を扱うことも多く、このままの収入ではマズイという自覚があったんです。それで思い切った方針に打って出ようと……。恋人や家族にも、『30歳までにはデカい買い物をする!』と宣言していましたね」

ーー逆に、お仕事で破産した人を見ていて、投機的にお金を使うことに対する恐怖は湧かなかったのでしょうか。

豊田「収入の限界まで借り入れてしまうのは怖いですよね。仕事でも、相当な収入があるのに行き詰まっている方もたくさん見ています。私の場合は限界どころか、自分の支払い水準より借入金額をかなり下げるようにしないと不安でした」

――それが上限1,000万円の予算につながったということですね。予算のなかで、どのように物件を探しましたか。

豊田「将来結婚の予定もあるかもしれないので、貸したり売ったりできる物件と考えると、立地のよさは絶対条件でした。最初は大阪で人気の市営地下鉄御堂筋線沿線を狙っていたんですが、物件が予算を越えてしまって、断念。結局JR東西線の御幣島駅にしたんです。正直、考慮に入れてない路線でしたけど、御幣島駅は大阪で一番の繁華街の北新地から3駅。そこから徒歩7分で、梅田で遊んでタクシーで帰っても2,000円で着く。街としては準工業地帯ですし、それほど魅力はないんですけど、都心からのアクセスのよさが気に入りました」

市営地下鉄御堂筋線は、新大阪駅 – 梅田駅 – 難波駅 – 天王寺駅を直線的に結ぶ大阪の主要な都市交通機関で、この沿線は全体的に地価が高めです。一方で、御幣島駅が指定されている準工業地帯というカテゴリーは、環境悪化の恐れのない工場が建てられる地域。住宅と工場が混在しているがゆえに、騒音などのトラブルが起こりがちだという一面もありますが、そのぶん地価も控えめな傾向にあります。

独身のままでも、結婚しても

豊田「結果的に、今のところは街の雰囲気よりも交通の利便性を重視してよかったと思っています。自分がひとりで暮らすにしてもそうですし、結婚したとしても絶対共働きだとは思っていたので、そうなると通勤時間は短ければ短いほどいいですよね。ただ、将来的に子どもができて外で遊びまわるようになると、ちょっと話はちがってくるかもしれません。私が住んでいるあたりは緑が少ないんです。子どもが育てば家も手狭になりますし、その頃には今の物件を貸すか売るかして、引っ越すつもりです」

――元々、一生住むつもりはなかったというお話でしたね。

豊田「もし結婚しなかったら、ずっと住んでもいいと思っていました。独身なら緑の多さよりも交通の便を重視するので、住居に関してはこれといった不満なく暮らせそうです。物件を売ると考えた場合も、私が買ったマンションは既に築31年なので、そう値崩れしないと思うんです。ですから結婚して家族が増えたら、売却益なり賃料なりを資金の足しにして、新しい家を買うつもりでした。子どもを育てるために理想的な家を買おうとすれば、2,000万円か3,000万円はします。急に思い立って用意できる金額じゃないですよね。その場合も資産として家があれば助けになる。今のマンションは、私が移り住んでから空き部屋が残っていたことはないので、いざというとき売れない・貸せないリスクは、少ないと踏んでいます」

30歳になったばかりの頃は、将来設計もはっきりしていない人が多いと思います。それは豊田さんも同じ。しかし、それで購入を諦めるのではなく、未来の可能性をシミュレーションし、いくつかの物件の活用方法を想定する考え方は、とても参考になると思いました。

後編では、ローンの詳細から、結婚したばかりのパートナーと不動産の関係。そして将来、親の老後をどうするかという問題まで、ご家族にも参加していただいて聞いていきたいと思います。

(蜂谷智子)

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