人に親切にされたらその人に親切を返すのではなく、他の人に親切な行為をすることを英語では「pay it forward」と言います。そんな気持ちで日々生きている人がどのぐらいいるでしょうか。

もし、あなたが仕事中で、規則に拘束されていた場合でも見知らぬ他人に親切にするという行為ができるでしょうか。ひょっとしたらクビになってしまうかも知れません。でも、そのリスクを承知で妊婦と赤ちゃんを救った素敵なバスの運転手がいるのです。

それはロンドンのある夜の出来事だった

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44歳の女性が自宅で救急車を呼びました。この女性、慌てていたために「妊娠9ヵ月」と言うべきところを「妊娠9週目」と言ってしまいました。その時間帯、あいにく全ての救急車が出払ってしまっていたために1時間も待たされた女性。その後陣痛が酷いために自力で病院まで行こうとし、通りに出たのです。

路上で蹲る女性に気付いたバスの運転手

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その時、いつものルートを運転していたバスの運転手サジャド・シャーリフさん(41歳)は一人の女性が路上に蹲るようにしている姿を目撃。12月という真冬の午後11時ごろのことだったそう。サジャドさんはバスを止めて女性に近付くと「赤ちゃん」「病院」と片言でその女性は訴えたのです。

サジャドさんは、一人の女性以外の全ての乗客を降ろした

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お腹の大きな女性が呼吸も絶え絶え助けを求めている…そんな光景を目にしたバスの運転手サジャドさんは、車内に備え付けられている「code red」ボタンを押し、ロンドン交通局に緊急事態の発生を連絡、救急車の要請をしました。

サジャドさんと共に残ったのが乗客のビー・コールさん(27歳)でした。彼女は苦しんでいる妊婦を見て放っておけなかったのでしょう。「外は寒いし、こんな場所で出産なんて良くないと思ったんです。」

運転手は女性の同居人にも連絡

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30分経っても救急車は到着せず、バスの運転手は女性の同居人に連絡。ところがちょうど仕事中だったその男性は、40分遅れで現場に到着。日付は既に変わり、12時13分に。サジャドさんはこれ以上救急車を待っていられないと、女性をバスに乗せ近くの病院まで搬送しました。

ところが病院に着くとここではなく産婦人科病棟に行くように指示されてしまったサジャドさん。またバスを走らせ、無事に産婦人科病棟まで送り届け、女性は午前1時45分に女児を出産しました。

とんだハプニングがあったものの無事に出産

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サジャドさんの機転と思いやりのおかげで無事に女児を出産した女性。健康面にも問題はなかったそうです。業務中であっても、人情を優先し他人を助けるという思いやりを見せる人は立派。

このような出来事は妊娠27週目の妊婦にも起こりました。バス内で急に陣痛を覚えた女性に、バスの運転手は座っているように指示。そして他の乗客を全て降ろし、病院まで搬送。そして自らバスを降り病院の診察室まで付き添ってくれたのです。

翌日、その女性は無事に出産。バス会社に連絡し、1人のバスの運転手が自分にしてくれたことを述べました。運転手を業務違反でクビにしてほしくはないと伝えたのです。するとバス会社は「あぁ、大丈夫ですよ。乗客から苦情があっただけですから。運転手はすぐに会社に連絡してくれましたし、気にしないでください。お体に気を付けて!」と言ってくれたそう。

ロンドンには人情に篤い人たちがいた!

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ロンドンは大都会ゆえに、サバサバとした人も多く人情にはあまり期待できないと言われます。でも、バスの運転手は規則を気にせず人情を優先し、妊婦と赤ちゃんの命を救いました。

大都会だからこそ起こる様々なハプニングも、こうした人情で解決することができるのはとっても素敵なこと。改めてバスの運転手の思いやりに感動せずにはいられません。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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