「自閉症」と一言でいっても軽度のものから重度のものまであり、個人差があるのは恐らく皆さんもご存知でしょう。症状の中には明確に判断できない自閉症というのも存在するようで、子供でも大人でも自閉症を患う人たちに一番必要なのは周りの理解だと言われています。

特に重度の自閉症の子供を持つ親は、日々懸命に子育てをしていても自分の子供が怖くなったり手に負えないと感じたり、またかなりのストレスにより「虐待してしまうかも」という不安を抱えている人も決して少なくない様子。

普段周りには見えない自閉症の子供の子育てで、大きなストレスを抱えてしまっている親も多いと聞きます。でも子供は敏感。特に自閉症の繊細な子供であれば、親のそうした気持ちはすぐに感じ取ってしまい、更に子供の態度に影響が出るというケースもあるようです。

重度の自閉症の子供には、常日頃から十分なケアと理解を持って接することが必要とされている中で、このほどイギリスで悲しい事件が起こってしまいました。

スクールバスに5時間置き去りにされた6歳少年

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デヴォン州トーベイ在住のブランドン・プレスリー君(6歳)は重度の自閉症を患っています。知的障がいもあり、あまり言葉を話すことができません。毎朝、養護学校ヘは市役所からの斡旋でミニバスに乗って、他のクラスメートたちと一緒に学校へ通っています。

バスの中ではシートベルトをしっかりと締められていたブランドン君。特にブランドン君は突発的に暴れ出すこともあったために、バスの中でのシートベルトは必須でした。ある日、運転手が確認を怠ってしまったためにブランドン君はそのまま車内に残されてしまったのです。

運転手はそのままバスを車庫に入れた

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子供たちがバスを降りる時に、人数確認をしなかったのでしょうか。運転手はシートベルトをしたままのブランドン君に気付くことなく、バスを車庫へ入れてしまったのです。言葉を発することができないブランドン君は、次に運転手が戻って来るまでの5時間もの間、ずっと座席に座ったまま震えていました。

不適切な対応に両親は怒り

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ブランドン君はおむつをしていたためにトイレは問題はなかったものの、5時間も水も口にせず、何も食べず、暗い車庫の中でシートベルトをしながら座席に座っていたのです。このことを知ったブランドン君の両親は当然、学校側に抗議しました。

子供たちを送迎しているバスの運転手にも当然非があるであろうと詰め寄った両親でしたが、学校側は未だこの運転手を起用しており、謝罪の言葉もなく「今後、ブランドン君の送迎はどうるすのか」と聞いてきただけだったそう。

今、イギリスでは日本ほどの暑さではないとはいえ、締め切られた車庫に5時間も置き去りにされるとなると脱水症状を起こす可能性はじゅうぶんにあります。心配した両親は、ブランドン君をすぐにクリニックへ連れて行きました。

幸いにも脱水症状は起こしてはおらず暫く様子を見るようにと言われたそうですが、そんな状態で健康面に大きな被害がなかったのは、本当に運が良かったと言えるでしょう。

「息子は私たちとは違う世界に生きているんです」

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ブランドン君の両親は「息子は私たちとは違う世界に生きている」と訴えます。重度の自閉症であるために、言葉を話すことも、また理解することもあまりできません。そして何か起こっているかという判断能力もブランドン君にはないために、5時間バスの中に置き去りにされてもその危険性を認知することができなかったのです。

ブランドン君の母親ソフィーさんは、この一件を知って泣き崩れたそう。父のアントニーさんは悲しみを超えた怒りを感じたと言います。「特別なケアがいる子供を乗せた場合は、乗る時と降りる時に人数確認をするのが当然」と主張。「苦情を申し立てても、まだ学校側があのミニバス会社を使っているのが信じられない。」

置き去りにされて暫くは車に乗りたがらなかったブランドン君

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繊細なブランドン君の心には、バスに置き去りにされたということが100%理解はできなくても、何かしらの影響があったことは言うまでもなく、その後1週間は車に乗るのを嫌がったそう。

静かにして塞ぎ込んでいるような態度を見せていたブランドン君に、両親は心配していましたが、今ではまたバスを好きになって問題なく乗れるようになったそうで「良かった」と安堵しているよう。

このような出来事は、自閉症の子供でなくてもトラウマになりやすいと言えるでしょう。ブランドン君の場合もそれが懸念されましたが、またバスや車に乗ることを「楽しい」と思えるようになったようで一安心ですね。

学校だけでなく、提携しているバス会社の運転手もやはり子供たちのケアに気を配るべきだという批判の声がネット上でも相次いでいます。バス会社側は特にコメントをしていないそうですが、今後同じような目に遭う子供が出ないことを願うばかりです。

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公式プラチナライター。イギリス在住22年目。いつも読んで下さる皆さんに感謝。Twitterアカウントは@mayonesque18です。よろしくお願いします。

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