連日アメリカの大統領選挙が世界的に注目を集めていますが、フィリピンでも大統領選挙が行われていました。今年5月9日にフィリピンの大統領選の投開票が行われ、南部ダバオ市のロドリゴ・ドゥテルテ市長が、アキノ大統領が後継指名したマヌエル・ロハス氏などを破り当選しました。

今回フィリピンの大統領選挙で当選したロドリゴ・ドゥテルテ氏は、その“強すぎる”人物像でも話題となっています。

新大統領ロドリゴ・ドゥテルテ氏とは?

ドゥテルテ氏は検事出身で、1980年代から断続的に20年以上にわたりダバオ市長をつとめ、治安対策に多大な貢献をした実績がありました。選挙戦では、治安回復と汚職撲滅などを掲げ、東南アジア諸国連合(ASEAN)内でも屈指の成長率を実現したにもかかわらず、貧困層の生活は向上しなかったとしてアキノ政権を痛烈に批判しました。その強固な姿勢が既存の政治に不満を持つ有権者から幅広い支持を集めました。

「フィリピンのトランプ」と呼ばれることも

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治安回復・汚職撲滅を掲げ選挙戦を戦ったドゥテルテ氏ですが、その演説では「犯罪者は射殺する」「就任したら腐敗した官僚や警察は皆殺しにする」「水上バイクで中国の人工島に行って旗を立てる」といった過激な発言が多く飛び出し、アメリカ大統領選の共和党指名候補のドナルド・トランプ氏に重ねて「フィリピンのドナルド・トランプ」と報じられるようになりました。

さらに、薬物撲滅のために市長時代には「処刑団」を率い、薬物犯ら1000人以上を正当な手続きなく超法規的に殺害したという疑惑すらささやかれています。

就任直後は心配する声も

その過激な発言や強行姿勢が大きく報じられ、フィリピンは今後どうなってしまうのかという不安を感じた人も多かったです。

当選後も変わらぬ姿勢

ロドリゴ・ドゥテルテ氏は大統領当選後もその過激な発言は変わらず、度々話題となりました。

「腐敗したジャーナリストは処刑されるべきだ」

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フィリピンの次期大統領に就任するロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)は6月2日、報道陣の質問に苛立ちをつのらせ、「お前らバカは私を脅したり出来ない」などと発言した。

出典 http://www.huffingtonpost.jp

5月31日にも、「腐敗したジャーナリストは処刑されるべきだ」と発言している。「報道関係者は言論の自由が法律で守られてはいない。君たちがジャーナリストであるというだけで、もし最低な奴であっても暗殺から免除されているというわけではない」と述べ、女性記者に罵声を浴びせた。

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世界の報道弾圧を監視するNPO「ジャーナリスト保護委員会」によると、1992年以降少なくとも77名のジャーナリストがフィリピンで殺害され、その60%以上が政治記者だったと発表されています。

彼は裁判にかけず殺害することを公然と支持したり、ローマ法王フランシスコを「売春婦の子」と呼んだりしたことでメディアを騒がせた。

5月30日、カトリック教会の指導部から受けた批判について報道陣から質問されたドゥテルテ氏は短く、しかし痛烈に返答した。

「オレをなめんじゃねえぞ」

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「処刑するよ……始末するよ」

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大統領は15日、南部ダバオの麻薬取締局で、同国の麻薬王の一人と疑われる実業家のピーター・リム氏と面談し、面と向かって殺すぞと脅した。

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犯罪に容赦しない姿勢を示しているドゥテルテ大統領は、このギャング映画さながらの奇妙な面談で「処刑するよ……始末するよ」と発言し、リム氏に麻薬から手を引くよう警告した。

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リム氏は、7日に大統領が「彼(ピーター・リム)は飛行機から出てきた瞬間、命を落とす」と演説して以来、殺されるのではないかという不安を抱えているという。

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しかし大統領は「謝るつもりはない。君は麻薬王だと疑われているからここにいるんだ」と言い返した。

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「殺すぞ」と発言することには賛否あると思いますが、この行動力、自身の公約を体現する姿勢は素直にすごいと感じました。危機管理の面から考えれば非常にリスクの高い行動ではありますが、直接面会することで大統領の本気を感じさせ、抑止力をより強める効果はあったと思います。

大統領就任から1ヶ月で麻薬密売関係者57万人が出頭

市長時代から変わらずドゥテルテ大統領が掲げた「麻薬撲滅・治安回復」に対する強行姿勢は、就任1ヶ月で予想を超える事態へと発展しています。

新大統領、ロドリゴ・ドゥテルテ氏が6月30日に就任したフィリピンで、何千人もの麻薬常用者や密売人らの自首が相次いでいる。

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2016年8月4日、フィリピンメディアによると、ドゥテルテ新大統領の過激な麻薬撲滅対策が好調で、殺害を恐れた麻薬密売にかかわる関係者、57万人が自首している。6月30日の就任から、約1か月。ドゥテルテ大統領の本気度はかなり浸透している。

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警察は、麻薬密売人などの現行犯をその場で、402人射殺したと発表しており、大統領の有言実行ぶりに期待感が大きく高まっている。

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一部の人権団体からの情報によると、警察の公式発表の2倍、800人以上が射殺されているとの見方もある。

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ダバオ市長時代から実行してきた「麻薬撲滅・治安回復」への強行姿勢は、大統領に就任したことでより強いものになった印象を受けます。しかし、死刑制度のないフィリピンにおいて、この強行姿勢による取り締まりは超法規的殺人」であると人権団体から批判も上がっています。しかし、この批判に対しても何ら怯むことなく改革を推し進めています。

強行姿勢から見えてくる課題

「やつら(犯罪者)が君たちの近所にいたら、遠慮なく警察かわれわれに通報してくれ。もし手元に銃があれば、自分でやって(撃ち殺して)いい。私が支持する」

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「そいつが死ぬまで戦う気なら、殺して構わない。その人には私から勲章を授けよう」

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「麻薬組織の幹部を殺害した場合は500万ペソ(約1157万円)、生け捕りの場合は499万9000ペソ(約1156万円)だけだ」

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ドゥテルテ大統領のこれらの発言と実際に警察が多くの麻薬密売人を射殺している事実から、前述している出頭者が57万人にも膨れ上がったと言えるでしょう。これにより治安回復が進んでいるという側面があるものの、これらの発言を受け麻薬撲滅運動に同調したとみられる武装した自警団による殺人が増えているそうです。

顔を梱包用テープでぐるぐる巻きにされボール紙製の「麻薬密売人」と書いた札を首から提げた遺体が見つかるケースが相次いでいると報道されています。

過激な発言が注目される一方、確かな実績も

その過激な発言や、麻薬撲滅への強行姿勢が大きく取り上げられているドゥテルテ大統領ですが、ダバオ市長時代は最も危険とされていたダバオの治安回復はもちろん、市民のために成し遂げた功績は大きなものがあります。

水道水が飲めるように

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海外において迂闊に水を飲むことは非常に危険とされていますが、ダバオは日本と同じように世界で数少ない水道水をそのまま飲むことが出来るのです。アメリカから技術輸入して、実現させたそうです。

緊急ダイヤルの一元化を実現

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ダバオは110番の単一ダイヤルで警察も救急車も全てを連絡できるようになっています。これは全世界でアメリカとカナダとダバオだけらしいです。日本の場合も警察(110番)と救急・消防(119番)で分かれていますね。

単一番号にすることで、緊急時の連絡が非常に楽になります。緊急時パニックになると110番と119番をかけ間違えるという事例もあるそうです。

過激な発言はアメリカのトランプ氏と同じと報道されがちですが、20年以上も市長として市政に携わり、犯罪が多発していたダバオの治安回復し、ライフラインなどの整備をした実績は本物です。このことから「フィリピンのトランプ」と報じられることに違和感を感じる人も。

ドゥテルテ氏は、国民や海外投資家を悩ませてき一連の経済問題を糾すと強調。新しい道路や橋、電車の投入して老朽化したインフラを大幅に改善するほか、事業許可の申請過程を迅速化すると述べた。

出典 http://jp.reuters.com

インターネットやwi-fi(ワイファイ)の速度不足を改善する新技術を取り入れるとしたほか、国民皆保険制度の構築も約束した。

出典 http://jp.reuters.com

治安回復のための取り締まりのインパクトが強すぎるため、ほかのことがあまり報じられていませんが、国を豊かにするため、インフラ整備やネット技術、国民皆保険などしっかりと国民に寄り添った政策も打ち出していくとしています。

また、引き続きアジア圏の中で最も著しい経済成長を成し遂げる源となった現在の政策は継続・強化すると表明しています。この前アキノ大統領の現実路線を続ければ「フィリピンは世界の成長センターの一つになる」とオックスフォード研究所がコメントを出すほど、今後もフィリピンが発展していく可能性は十分にあります。

就任からまだ1ヶ月半ほどですが、“超武闘派”と言われるドゥテルテ大統領が今後どんな政策を打ち出し、どのような外交をしていくのか引き続き注視していく必要があるでしょう。

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長野県出身の30代2児の父。ゲーム、アニメ、マンガ、スポーツ、夢の国が好きです。
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