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記事提供:AbemaTIMES

8月2日、農林水産省が日本の食料自給率について発表。カロリーベースで39%と6年連続で横ばいの結果となった。コメの消費量が減少したことや、サンマの漁獲量が大きく減少したことが原因の一端として挙げられている。

政府は2025年までの食料自給率を45%まで高める目標を掲げているが、いまだ遠い。

同日に放送された『AbemaPrime』(AbemaTV)ではこのニュースについて取り上げ、元農水官僚でキヤノングローバル戦略経済研究所・研究主幹の山下一仁氏をゲストに招き、この食料自給率について聞いた。

・実は全く意味が無い!?危機感を煽るだけの数字

山下氏は「食料自給率という概念自体は全く意味がないもの」と口火を切り、食料自給率とは「農林水産省の作ったプロパガンダの中で最も成功したもの」とコメントした。

農業の補助金や高い関税が必要であると思わせるためにわざと低い数値を見せているものだという。

自給率というのは国内で生産しているものを消費しているもので割ったもの。飽食の時代、贅沢をすればするほど分母が大きくなって下がるのだという。

「終戦の時は外国から食料が入ってこなかったから、食料自給率は100%だったんです。だけど飢餓が生じた。終戦の時の方がいいとは誰も言わない」と数字のまやかしについて解説した。

食料自給率が100%を越えるアメリカやフランスについては、消費している以上に生産をしている=輸出をしていることだという。

・いつまでたっても上がらないのは…実は当たり前?

横ばいを続けている食料自給率。1999年に45%に引き上げようと閣議決定し、民主党時代には目標を50%に引き上げた。その当時よりも現在は下がった状態。これはどういうことなのだろうか。

山下氏は、

「食料自給率は上がると『もういいや』となってしまって、農業保護をしなくなってしまう。だからこれでいい。17年間達成できないどころか遠ざかっている。普通の役人であれば責任者が辞めなければいけない。だけどそんなことは絶対にしない」

と低いままであることに意味があるということを示唆した。

・日本と諸外国の生産者を守る政策の違いは?

山下氏はさらに、

「日本の主食はコメだとして、これまでコメ農家を保護してきた。外国は価格じゃなくて予算、つまり財政で保護をした。すると、消費者に安いものを提供でき、消費を増やして自給率が上がる。

日本の場合は、補助金を与えてコメの量を減らして、米価を挙げる形で保護をした。つまり消費が減る」

と日本と諸外国の政策の違いから、日本の食料自給率が上がらない理由を解説。

コメの値段は減反政策を行ってから4倍になっているというが、ほとんど輸入に頼っている小麦の値段は変わらないのだという。コメを保護するという名目で米価を上げるということは、コメの消費を減らすことを意味する。

・日本だけが採用している「カロリーベース」の不思議

食料自給率は「カロリーベース」と「生産額ベース」があるが、日本だけがカロリーベースを主に採用し、両方を表示している。これについて山下氏は「生産額ベースだとコメの値段が上がると自給率が上がってしまうから」と解説した。

減反政策は農家に補助金をあげて米価を上げる政策で、その補助金は実に約4000億円。そのうち6000億円が消費者負担になるという。

高い価格にすることは、諸外国では農業の保護につながらない。なぜなら輸出ができなくなってしまうからだ。山下氏は諸外国にならって、農業の保護の仕方を財政によって守ることを提唱。そうすれば「TPPで関税がゼロになっても全く怖くない」という。

・生産者団体の声は?これからは消費者を軸足に

番組ではさらにJA越前たけふの冨田隆代表理事と電話中継を行い、話を聞いた。

冨田氏は、

「これだけ戦後50年60年の間に食文化が多様化してくればカロリーベースの自給率は下がる。

今まではどちらかというと生産農家を中心に軸足を置いてきたがこれからの全体を見ていく時には食文化が多様化してくれば、消費者に軸足を置いた生産にJAも農家も意識を変えていかなければいけないと思います」

と発言。

お米だけを生産すれば国の助成や援助で経営ができた農家も、多様化する消費者のニーズに合わせて生産を行っていけば、「安いから売れる」のではなく「良いものが欲しいから売れる」に切り替わると、時代とともに生産者も意識改革をすべきと語った。

・日本の「食料」これからどうなる?

山下氏は今後の日本について一番重要なことは、人口減少時代、つまり高齢化社会の中でどう生産者を守っていくかということであると語った。

「いくら高い関税で国内のマーケットを保持しても、どんどん縮小していく。海外のマーケット、例えば中国に輸出することによって、生産は増える。そうするともっと自給率がよくなる」と輸出にシフトできるような生産、補助を行うべきだと提案。

様々な意見がある、日本の食料生産。おいしい日本の食料がいつまでも食べられるのか、今後国が舵を切る方向に注目が集まる。

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