記事提供:Doctors Me

医師が解説する医療・健康サイト「Doctors Me」編集部です。
睡眠に問題を抱えていると心身にさまざまな悪影響を及ぼすことは広く知られています。近年「睡眠の質が悪い状態が続くと、脳が萎縮する」という驚くべき研究が発表されたのをご存知でしょうか?

なんと、睡眠時間が適切でなかったり、質が悪かったりすると、認知症アルツハイマー病のきっかけになる恐れもあるそうです。

今回は、睡眠と脳の関係性についてお伝えしていきたいと思います。

寝すぎも要注意! 脳が小さくなり、認知症のリスクも!?

そんな睡眠と脳の関係が注目を集めるきっかけとなったのは、カナダで行われた米神経アカデミー第68回年次学会で発表された、「睡眠時間の長さと日中の眠気が、脳の萎縮と関連する」というアメリカのコロンビア大学研究チームによる研究。

その研究内容とは、疫学研究「ワシントン・ハイツインウッド・コミュニティ加齢プロジェクト(WHICAP)」のコミュニティから65歳以上の高齢者501人を選出し、被験者の睡眠障害、いびき、息切れや頭痛をともなう睡眠などを調査するというもの。

実験は、睡眠の質を評価する「12項目医療アウトカム研究睡眠スケール」を用いると同時に、MRIで被験者の脳容量を測定するという方法で行われました。

実験結果によると、夜に睡眠を長時間とった人ほど、記憶や空間認知にかかわる脳内の「左嗅内皮質」が萎縮。

日中の眠気は要注意!

日中の眠気が増えると、長期的な記憶を司る「大脳皮質」および、神経細胞が密集する「灰白質」も減ることがわかりました。

この「大脳皮質」は知覚や思考システムにも深く関係していて、「認知症にいたる過程で侵されやすい領域」と言われています。

・つい寝過ぎてしまう
・寝不足でいつも眠い

という人は気づかぬうちに脳が小さくなっているかもしれません。

睡眠の質も脳容量と関係している!?

2014年には学術誌「Neurology」で、睡眠時間の長さはもちろん、「睡眠の質も脳容量と関係している」という研究が発表されました。

実験内容は20~84歳の成人147人を対象に、「ピッツバーグ睡眠質問票」を用いて睡眠時間や入眠までの時間などを評価するというもので、同時に脳容量を調べるMRI検査も3年半の間をおいて2回実施しました。

その結果、睡眠の質が悪い人は脳右上前皮質の容量が減少し、前頭、側頭、頭頂の広い領域で脳の萎縮が増大した。

また、この現象は特に60歳以上の高齢者に多く見られたと言います(※1)。

睡眠の質によって脳の大きさが変わってしまうとはにわかには信じがたいことですが、脳が受けるダメージの大きさを考えると、「睡眠時間を削ってまで仕事に打ち込もう」なんて考えるのは馬鹿らしいと思えますね。

≪最近ぐっすり眠れていますか?十分な睡眠を取れていないと脳に影響も…?≫
毎日眠れていますか?あなたの【睡眠の質】をチェックしてみましょう!

脳の萎縮をストップ! 最適な睡眠時間とは?

脳の萎縮に影響の出ない睡眠時間、睡眠の質とはどのようなものでしょうか。

「米国立睡眠財団」が発表した「年代別の最適な睡眠時間」を一つの参考例として、自身の眠りと比べてみると良いかもしれません。

この「年代別の最適な睡眠時間」は、様々な分野で活躍するプロフェッショナル18人が集結し、「推奨される睡眠時間」に関する文献を参考に導き出したもの(※2)。

【年代別の最適な睡眠時間】
・新生児…14~17時間
・乳児…12~15時間
・幼児…11~14時間
・就学前の児童…10~13時間
・10代…8~10時間
・成人…7~9時間
・高齢者…7~8時間

この結果が全ての人に当てはまるというわけではありませんが、「寝不足ぎみ」「寝すぎかも…」とお悩みの人は、1つの目安として睡眠時間を見直してみましょう。

このように、密接な関係がある「睡眠と脳」。これまで睡眠に無頓着だった人も、自分に合った睡眠時間を見つけてしっかりと眠る時間を確保しないと、「認知症」という大きなリスクを背負うことになるかも?

手遅れにならないうちに、まずは睡眠への関心を高めていきましょう。

この記事を書いたユーザー

Doctors Me(ドクターズミー) このユーザーの他の記事を見る

Doctors Me(ドクターズミー)は、医師、薬剤師、歯科医、栄養士、カウンセラー、獣医に相談できる、ヘルスケアQ&Aサービスです。医師をはじめとする専門家が解説する人気コラム、病気・症状の体験談等を配信中!

権利侵害申告はこちら

Spotlightのライターなら1記事最大3000円もらえる!日本最大級メディアでライターデビューのチャンス