記事提供:TOCANA

第二次世界大戦中に開発され、現在にいたるまで多くの人を傷つけ、命を奪ってきた対人地雷――。安価に製造できる上、その発見と処理がきわめて厄介である地雷を見つける新たな方法について 7月7日付の英紙「Mirror」が報じている。

■爆発物だけではなかった!人命を救うラットに注目が集まる!!

現在、79カ国の地中に4,500万~5,000万個が埋まっているという地雷。その除去に向け、地雷探知機や車両、重機やロボットなどさまざまな手段の開発が進められている。

なかでも、地雷で年間,1000人近くの被害者が出るというカンボジアでは、嗅覚で地雷を探知する“地雷犬”が活躍しているが、1匹の価格が約100万円と非常に高く、訓練も8~12カ月と長期に及ぶため、量産は難しいといわれてきた。

そこで、犬に劣らぬ嗅覚を持ち、その小さな体ゆえ地雷の上に乗ったとしても爆発しにくいという利点に注目が集まっているのが、ラット(ネズミ)なのだ。

現在、ニューヨーク市立大学のチームが開発を進めている計画は、繊細な嗅覚を持つラットが特定の臭いを検出できるように遺伝子を修正し、その嗅覚を使って爆発物や地中に埋まっている地雷を見つけるというものだが、

この研究が国から承認されたことで、アメリカ国防省から資金援助を受けるまでになっている。

ニューヨーク市立大学の研究チームを率いるポール・ファインスタイン博士と科学者たちは、科学誌『セル・レポート(Cell Reports)』に、

「私たちは、安全確保への挑戦として、爆発物の発見や密輸入の検査、そして健康への挑戦として、嗅覚を利用した病気の診断などに適用できるバイオセンサーを生み出した」

と発表した。

通常バイオセンサーとは、酵素や生物体の一部などが特定の物質に反応する性質を利用し、対象物の検出を行う装置のこと。しかし、ここで彼らがいうバイオセンサーとは“遺伝子組み換えラット”のことなのだ。

■最先端の技術を駆使して嫌われ者から一転、ヒーローへ!!

哺乳類の鼻は、嗅覚を含むさまざまな感覚刺激を伝達する神経細胞である「感覚ニューロン」が発達しており、特定の臭いを探し出すことができる。

今回の実験で誕生したラットは、ある臭いにとても敏感であり、遠く離れた場所からの微かな臭いの痕跡をも嗅ぎ分ける能力を持っている。

ファインスタイン博士と論文共著者であるシャーロット・ドゥハルスト博士は、「動物は外界や体内から発せられる刺激を受け取る細胞、または器官である受容体が人間よりも発達しているため、臭いに敏感なのです」と説明している。

2人の博士は、このラットに“ネズミ感知器”を意味する「マウセンサー」と名づけ、さらに遺伝子工学技術を提供する同名の会社を設立した。

マウセンサー社の研究室は、国防省からの援助を受け、これまでのラットが持つ嗅覚を超える個体を開発し、地雷および工業爆薬であるTNT火薬なども嗅ぎ分けられるよう、さらなる研究と開発に取り組んでいるという。

数年前、ベルギーのプロジェクトチームがタンザニアに創設した企業「APOPO」は、アフリカ原産のアフリカオニネズミを訓練し、地雷を探知・除去する事業を成功させている。

また、マウセンサー社では、訓練されたネズミの嗅覚を利用して人の唾液から結核菌を検出する技術の開発も進められている。

古くはペストやコレラなどの病原菌を媒介し、“害獣”と忌み嫌われ続けてきたラットだが、遺伝子を組み換え、爆発物や病原菌を嗅ぎ分けるスーパーラットとなって人々を救う日が来るとは、いったい誰が考えただろうか。

地雷は年間約10万個が除去されているが、それを大きく上回る数が新たに埋められていると言われている。ヒーローラットやマウセンサーの活躍に是非とも期待したい。

出典:Mirror
出典:MouSensor

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