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居酒屋2軒にバー1軒と、現在都内で3店舗の飲食店を経営する39歳の男性・鶴田さん(仮名)は、30歳のときにそれまで勤めていた会社から独立し、東京・世田谷区にキャパ20人ほどの居酒屋を出しました。

そこから10年も経たないうちに3つの店舗をもつまでになったわけですが、鶴田さんはその成長のイチバンの立役者として、最初に出店した居酒屋でアルバイトとして働いていた当時大学生だった男性・タケルさんの名前を挙げます。

いわく、「タケルが入ってる日と入ってない日では、売上に倍の差があった」とのこと。鶴田さんが“伝説のバイト”として今も従業員たちにその逸話を伝えているというタケルさんは、いったいどんな働き方をしていたのでしょうか?

「店に入って!」とは言わない店頭キャッチ術

独立前に働いていた会社に漂っていた、アルバイトスタッフ間の“ガチガチの上下関係”による新人バイトの委縮した態度がイヤだったという鶴田さん。

お店オープンの時から、「おれは怒らないから、とにかく“お客さんのため”を優先して自由に働いてくれ」というスタンスでアルバイトスタッフに接していたそうです。

そこで力を発揮したのが、友人から「うちの弟を働かしてやってよ」と紹介されたというタケルさん。タケルさんは2浪の後に大学に入学したばかりで、アルバイトできること自体に喜びを感じている雰囲気だったと鶴田さんは述懐します。

そんなタケルさんが何より成果を出したのが、店頭に立ってのお客さんのキャッチ。

鶴田さんも含め他のスタッフたちは当初、「1杯いかがですか?」と通りがかりの人に声をかけていたとのことですが、タケルさんは以下のようなスタイルをとっていたそうです。

鶴田さん:「タケルは、たとえば仕事帰りの集団にはお仕事お疲れ様です!』、休日のカップルにはデート帰りですか?って笑顔で声をかけるだけで、お店へ誘導するようなことは一切言わないんですよ。

で、買い物帰りの主婦とか犬の散歩中の人とか、明らかにいま居酒屋には来なそうな人にも挨拶をする。

そうやって挨拶を繰り返すことで、後日『いつも挨拶くれるから』ってことで店に来てくれる人が増えたんです。これは本当に目からウロコでした。タケルは、『だって単純に“店に入って”って押されるのはうざいじゃないですか』って言ってましたね」

この他にもタケルさんは、以下のような工夫をしていたといいます。

年配の女性には、「お姉さん!」と声をかける。

◆既に1軒飲んで酔っている通行客には、「お水飲まれますか?」と言って無料で店からお水を提供してあげる。

◆入ろうかどうか迷っているお客さんには、「どんなお店行きたいですか?」と聞き、他のお店を教えることもいとわない。最後に、「もしよかったら2軒目でぜひ!」と一言添える。

タケルさんのこのようなキャッチにより、鶴田さんいわく、「質のいい常連客が増えた」そうです。そもそもお店に好感をもって来てくれるから、“質”もよくなるということでしょう。

さらに、タケルさんは当然、接客術にも長けていたそう。

鶴田さん:「たとえば、お客さんが『タケルくんも1杯飲もうよ』と奢ってくれようとするじゃないですか。そうするとタケルは、『あさって店長が誕生日なんですけど、店長も一緒にいいですか?』なんて言って、他のスタッフの分も上手く頼ませるんです。

そうすると、そのスタッフもお客さんとの距離が近付きますよね。だから、タケルがいない時でも来てくれるようになるんです。

他にも、予約で来てくれたお客さんには必ず『ご予約ありがとうございます』って直接丁寧に言うし、お見送りのときには『明日昼から雨降るみたいなんで、洗濯物干すときは気をつけて!』みたいな気の利いた一言を言う。

僕自身、タケルにはいろいろと学ばされました」

そんなタケルさんの効果もあり、お店は徐々に繁盛店に。タケルさんが入って1年経った頃には、毎日満席になるのが当たり前な状況になっていたといいます。鶴田さんは、その売り上げで店舗を拡大していったということになり、まさに立役者といえますね。

ステレオタイプにとらわれず、独自のキャッチや接客でひとつの飲食店を繁盛店にまで押し上げたタケルさん。そのスタイルは、多くのビジネスマンのみなさんにもヒントを与えるものなのではないでしょうか?

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